第3回高齢者いきいき居住アイデアコンテストの応募作品は、前回を上回る258作品の応募があった。住まいの設計の部は182案が出展され、第1次審査を12月13日(土)に大阪市立大学学術情報センターにて審査を行い、9作品が第2次審査に勝ち残った。暮らしの工夫の部は76案の応募があり、住まいの設計の部の審査のあと、引き続いて審査を行った。
第2次審査の公開プレゼンテーションは1月30日(土)に大和ハウス工業株式会社大阪本社で行われ、プレゼンテーションを行った9作品は、第1次審査で図面化されたアイデアがパワーポイントによってビジュアル化され作品の特徴がより明らかにされた。 発表後、各審査員の持ち票により審査を行った。審査投票にばらつきはなく、最高得票で最優秀賞に「あまりものねっとわーく〜斜面戸建て住宅地全部一階化計画~」が選ばれた。この作品は斜面地に建てられた住宅の使われなくなった2階部分を空っぽに整理をして、隣家の1階の部屋とつなげるアイデアである。実現可能な提案が評価された。 優秀賞には「ひとは、いきなり高齢者にはならない」が選ばれた。住み慣れた家を子供の成長に合わせて改修を行う提案であった、が、外部空間と内部空間の関係をもう少し提案してほしかった。
もう一つの優秀賞は、「呼吸する小学校-少子高齢化時代における小学校の役割」と決戦投票の結果、「わがまち。TOWN オアシス。」が最後に決まった。町内をリノベーションする提案は空き家を都市のストックとして考え、安心でくつろげるスペースを確保している。まちがいきいきとする住まい方は好感が持てたが、空間を仕切る壁のあり方についてもう一歩踏み込んだ提案が欲しかった。
全体の審査を通して考えられるのは第1回、第2回と回数を重ねる度に応募作品のレベルが高くなっていることである。超高齢化社会の居住デザインの解答は無数にありそうだが、住み続けることが可能な街のデザインはコンペを重ねることで少しずつ本質に迫っていくことなのかもしれない。