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ウイスキーとともに、人生の夢を熟成させる。
  • ウイスキーとともに、人生の夢を熟成させる。
  • VOL.29 2021 EARLY SPRING ISSUE PART2 マスターブレンダー 肥土伊知郎「夢の熟成」

    現在、日本は世界のウイスキー五大産地の一つに数えられ、
    国際的に「ジャパニーズウイスキー」はジャンルとして確立されている。
    ジャパニーズウイスキーを楽しむことを目的に来日する外国人も増え、
    肥土伊知郎氏が手がける「イチローズモルト」への関心から秩父を訪れる人も。
    ウイスキーの風味をつくり出す風土と年月の味わい方を知る彼らは、
    日本、そして秩父という風土に生きるつくり手たちの物語も楽しんでいる。

    • さまざまな手法を試みてきたことから、新しい会社ながらすでに数十種類の商品を発表していて、世界のファンは希少なボトルとの出会いを楽しんでいる。

      さまざまな手法を試みてきたことから、
      新しい会社ながらすでに数十種類の商品を発表していて、
      世界のファンは希少なボトルとの出会いを楽しんでいる。

    • 第一蒸溜所・第二蒸溜所とも見学は業界関係者のみ受け付けていて、近年は国内外の酒販業者やバーテンダーが秩父に足を運んでいる。

      第一蒸溜所・第二蒸溜所とも見学は業界関係者のみ受け付けていて、
      近年は国内外の酒販業者やバーテンダーが秩父に足を運んでいる。

    日本では、スコットランドを手本にウイスキー製造が始まった歴史を背景に、
    「スコッチが本物」という意識が根強かった。しかし二十一世紀においては
    日本でスコッチそのもののウイスキーをつくっても意味がない。
    ジャパニーズウイスキーが持つ、他の産地にない魅力が評価される時代なのだ。

    日本はものづくりにすごいこだわりを持ちますよね。いいものをつくるために妥協しないとか。それがジャパニーズウイスキーの味に反映しているのかなと思います。

    私は「秩父らしいウイスキーをつくろう」とよく言うんですけれど、最近は妥協しないものづくりをしてさえいれば、「らしさ」は後からついてくるんだと思うようになりました。 人間ひとりひとりも個性的な存在ですけれど、こういう風になろうと目指したわけではない。ありのままに、良い人間になろうと、何か正しいことをやろうと生きていたら、 それぞれの人が個性的な人間になっていった。それとすごく似ています。いいものをつくろうと妥協しないでつくっていると、それぞれの蒸留所の個性というのが生まれてくるんじゃないか。 そして、ジャパニーズウイスキーという括りになったときに、それぞれの蒸留所に個性はあるけれど、共通点もある。それが、ものづくりに対する真摯さ、だろうと思います。

    • 秩父は盆地のため、寒暖差が激しい。「そのおかげでウイスキーの熟成が早く進むようです」と肥土氏は故郷の風土に感謝している。
      秩父は盆地のため、寒暖差が激しい。「そのおかげでウイスキーの熟成が早く進むようです」と肥土氏は故郷の風土に感謝している。
    • 秩父は水の質が良いことから、昔から酒造がさかんだった。現在も4軒の酒蔵が残り、近年はクラフトビールの醸造所も加わった。
      秩父は水の質が良いことから、昔から酒造がさかんだった。現在も4軒の酒蔵が残り、近年はクラフトビールの醸造所も加わった。
    • 樽は何十年も使用でき、世界を転々とする樽も少なくない。肥土伊知郎氏は多種類の樽を使う他、樽を替えて2回熟成させる等の技法にも取り組んでいる。

      樽は何十年も使用でき、世界を転々とする樽も少なくない。
      肥土伊知郎氏は多種類の樽を使う他、
      樽を替えて2回熟成させる等の技法にも取り組んでいる。

    • 世話になった羽生市にあった樽工場が閉鎖されるにあたり機械を引き取り、社内に樽工房を新設。樽づくり、樽修理が自社でできるのは蒸留所として大きな強みだ。

      世話になった羽生市にあった樽工場が閉鎖されるにあたり
      機械を引き取り、社内に樽工房を新設。
      樽づくり、樽修理が自社でできるのは蒸留所として大きな強みだ。

    • 工房で製作中のミズナラの樽。ミズナラはまろやかな風味をもたらすが、樽材に適した樹齢100年前後のミズナラは希少で、森の価値を生み出すミズナラの植林も行われている。

      工房で製作中のミズナラの樽。ミズナラはまろやかな風味を
      もたらすが、
      樽材に適した樹齢100年前後のミズナラは希少で、
      森の価値を生み出すミズナラの植林も行われている。

    ウイスキーの樽

     ウイスキーの製造過程では、蒸留した後に木製の樽による熟成を欠かすことができない。樽の成分によって無色の液体が琥珀色になり、香りや味わいも豊かさを増すのである。 樽に用いられる材はオーク(ナラ)で、北米のホワイトオーク、フランスのフレンチオークなどが多い。日本では北海道のミズナラも用いられる。
     バーボンウイスキーの場合、表面をバーナーで焼いた新しい樽を使うことが現地の法律で定められているが、それ以外では古樽を使用することも一般的だ。ワイン、シェリー、 バーボンなど、前に入っていた酒もウイスキーの風味に影響する。
     熟成期間中には蒸散によりスコットランドでは年間で2~4%程度の量が減る。これを、ウイスキーづくりを手伝う天使が飲んでいる、という意味で「天使の分け前」と呼ぶ。

    ジャパニーズウイスキーの人気の上昇の裏で、その定義を問う声も高まっている。も
    日本では海外の原酒をブレンドしても「国産」として販売できるが
    肥土伊知郎氏は外国産の原酒をブレンドした商品を、
    「ワールドブレンデッド」として販売し、業界に一石を投じている。

    ある意味シングルモルトのウイスキーは風土のお酒。蒸留所でつくられたお酒だけをブレンドしていて、蒸留所ごとの個性が際立ちます。それに対してブレンデッドウイスキーは個性の組み合わせを楽しむお酒です。 自社以外のお酒をブレンドすることによって、新しい風味をつくります。両方ともいい原酒がなければできないですけれど、両方とも面白いと思います。先輩プレンダーが言っていた話ですけれど、 「ソロの楽器もすばらしい、オーケストラもすばらしい」。要はそういうことなんだろうと思います。

    ただ、海外の原酒を日本でブレンドした場合にジャパニーズウイスキーと名乗っていいのかな、とは思いますね。かといって海外の原酒を使ってはいけないとは全然思っていなくて、 中身について消費者が理解したうえでの選択で、海外の原酒をブレンドしたものもいい、ジャパニーズウイスキーならこちら、と選択肢を明確に与えてあげるのがものづくりには重要じゃないではないでしょうか。

    • 様々なタイプのウイスキーづくりに挑戦し、それぞれで高い評価を得ている。ブレンデッドウイスキーでもウイスキーの国際コンペティションで世界最高賞を獲得した。
      様々なタイプのウイスキーづくりに挑戦し、それぞれで高い評価を得ている。ブレンデッドウイスキーでもウイスキーの国際コンペティションで世界最高賞を獲得した。
    • ふだんは嗅覚が鋭敏な午前中に、20~30種類の原酒をテイスティングする。ブレンダー室には自社の原酒、輸入原酒を合わせ約3000種類が並ぶ。

      ふだんは嗅覚が鋭敏な午前中に、
      20~30種類の原酒をテイスティングする。
      ブレンダー室には自社の原酒、輸入原酒を合わせ約3000種類が並ぶ。

    • テイスティングの印象を記録しながら、使い方をイメージする。ブレンデッドウイスキーでは1つのボトルには35~40種類の原酒が含まれている。

      テイスティングの印象を記録しながら、使い方をイメージする。
      ブレンデッドウイスキーでは
      1つのボトルには35~40種類の原酒が含まれている。

    • テイスティングの印象を記録しながら、使い方をイメージする。ブレンデッドウイスキーでは1つのボトルには35~40種類の原酒が含まれている。

      テイスティングの印象を記録しながら、使い方をイメージする。
      ブレンデッドウイスキーでは
      1つのボトルには35~40種類の原酒が含まれている。

    • シングルモルトは複数の樽の原酒をブレンドしている。ブレンダーの組み合わせ方によって、その商品の味がつくられる。

      シングルモルトは複数の樽の原酒をブレンドしている。
      ブレンダーの組み合わせ方によって、その商品の味がつくられる。

    肥土伊知郎氏は時代の先を読んで行動する人と評されるが、
    ウイスキーのつくり手としては当然のことかもしれない。
    熟成後の味を想像し、その未来に向けて今を調整するのが彼の仕事なのだ。

    ブレンダーの仕事は一見目の前にある原酒をブレンドするだけに見えますが、5年先にどういうお酒をつくるために今どういう原酒を樽に保管しておこう、と先を見越した仕事もやっています。 外国のいろいろな原酒をここで樽に詰め替え、経年変化を知ることによって、さらに先の計画を立てられるようになるんです。

    今はあまりにも供給量が少なすぎて、まさに幻というようなウイスキーになってしまっていますが、やはり少しでも多くの方に飲んでいただけるように仕込みを増やしていきたいと思っています。 とはいえ熟成に年数がかかり、急に増産ができないのがウイスキーなので、ゆっくり時間をかけながらですね。また、ウイスキーはやはり楽しい飲み物ですから、味のバリエーションをつくりこんで、 みなさんに楽しんでいただけるようにしていきたいと思っています。自分としては、秩父で30年熟成したシングルモルトを飲むのが夢ですね。それができたら最高の人生だったと思えるんじゃないでしょうか。

    • 2019年、第二蒸留所が稼働を開始。より伝統的な直火式の蒸留器を備えた。第二蒸留所から世に出るのは2022年以降である。
      2019年、第二蒸留所が稼働を開始。より伝統的な直火式の蒸留器を備えた。第二蒸留所から世に出るのは2022年以降である。
    • 第二蒸留所でも自動化はせず、人の力で管理する。自動化設備を導入するより、人を育てていくほうが確実だと考えている。
      第二蒸留所でも自動化はせず、人の力で管理する。自動化設備を導入するより、人を育てていくほうが確実だと考えている。
    • 第二蒸留所の発酵樽は高さ3m以上。一般的にその大きさならステンレス製を選択するが、フランスの樽会社に依頼。来日した職人がフレンチオーク材をここで組み上げた。
      第二蒸留所の発酵樽は高さ3m以上。一般的にその大きさならステンレス製を選択するが、フランスの樽会社に依頼。来日した職人がフレンチオーク材をここで組み上げた。
    • 秩父で三十年熟成されたウイスキーを口にするとき、肥土伊知郎氏は七十代。起業を助け、ウイスキーづくりを導いた人々の多くはすでに世を去っているだろう。
    しかしそのウイスキーには彼らの人生が溶け込み、忘れがたい、深い味わいとなっているはずだ。
    秩父で三十年熟成されたウイスキーを口にするとき、肥土伊知郎氏は七十代。起業を助け、ウイスキーづくりを導いた人々の多くはすでに世を去っているだろう。
      しかしそのウイスキーには彼らの人生が溶け込み、忘れがたい、深い味わいとなっているはずだ。(了)

    秩父で三十年熟成された
    ウイスキーを口にするとき、
    肥土伊知郎氏は七十代。
    起業を助け、ウイスキーづくりを
    導いた人々の多くは
    すでに世を去っているだろう。
    しかしそのウイスキーには
    彼らの人生が溶け込み、忘れがたい、
    深い味わいとなっているはずだ。
    (了)

    VOL.29 2021 EARLY SPRING ISSUE PART1 マスターブレンダー 肥土伊知郎<PART1「宝の発見」編>

    2000年代に彗星のごとく登場し、一躍ジャパニーズ・ウイスキーの旗手となった「イチローズモルト」。ウイスキーの天使に導かれたかのように、廃棄処分寸前の原酒をきっかけに夢への扉を開いた肥土伊知郎氏が、ウイスキーへの情熱と、それを分かち合う人々との出会いについて語ります。

    PLATINUM SALON MOVIE VOL.29 AKUTO ICHIROH
    PLATINUM SALON AKUTO ICHIROH PHOTO GALLERY 2
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