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子どものスランプ(1) 親ができる心理的サポートとは?


今回のテーマは、「子どものスランプ」。どんなお子さんでも、いつもいつも100%の状態でいられるわけではありません。ときに落ち込んだり、ふさぎ込んだりすることもあります。季節性のスランプ(ゴールデンウィーク明けの五月病、クラス替え、転校時など)や通年起こりうるスランプ(友達関係や学習上のトラブルなど)に対し、親は何ができるのでしょうか? その対処法についてまとめてみました。

我が子可愛さゆえの親の行動が、逆効果になっていることもある!?

子どもの元気がない、学校に行くのを嫌がる……。こんな気になる子どもの様子を目にすると、親は何とかしてあげたいと思います。しかし、そんな親の思いがときに空回りを起こし、事を複雑にしてしまうことがあります。ここでは、2つの典型例をご紹介します。

1.叱咤激励
子どもがスランプに陥ったとき、親がやりたくなること、それは「励まし」です。子どもが怖気づいていたり、覇気がなかったりすると、親はついつい、「負けるな」「頑張れ」と叱咤激励したくなります。もちろん、そこで頑張れる子には、励ましが効果的です。しかし、励まされると逆に辛く感じてしまう子もいます。「そう言われても頑張れないから困っている」というのが本音だからです。

2.原因究明
また、親は何よりもスランプの原因が気になります。「最近、なぜ元気がないのか?」 そして、「幼稚園、楽しかった?」「学校はどうだった?」のような質問を投げるかもしれません。それに対し、子どもはこんな風に答えます。「別に…」「分かんない」「いつもと一緒」。親はすぐにでもスランプの原因を知りたいのに、スムーズには引き出せないことがほとんど。なぜなら、子どもは、自分の気持ちを言語化するのは苦手だからです。小さければ小さいほど、その傾向は高まります。

親は心配なあまり、励ましたいし、原因も知りたい。しかし、親の思いばかりをぶつけすぎると、大事なサインを見逃してしまう可能性もあります。お子さんの様子が「変だ」と感じたその直観を大事に、その子の気持ちに寄り添ったアプローチで、スランプから抜け出しましょう。

感情のラベリングで、気持ちを代弁してあげよう

スランプへの働きかけで、もっとも大事なことは、親が子どもの気持ちを正しく察することです。

たとえば、
・最近、すぐに友だちとケンカになる
・ちょっとしたことで泣いてしまう
・おねしょ、おもらしをするようになった

などの行動の変化があったとしましょう。それを、単体の問題として捉えてしまうと、スランプの全体像が見えにくくなります。これらの現象は、親にサインを送っているのに、それに気づいてもらえない、受け止めてもらえないというフラストレーションから出てしまっていることもあるのです。

大切なのは、察する力です。これを心理学では、「応答感受性」と言います。お子さんの気持ちを「感受」し、適した「応答」をしてあげることは、子どものスランプ対策として、とても大事なスキルと言えます。

おすすめの方法は、感情のラベリングです。お子さんが見せる「寂しそうな表情」「悲しそうな様子」を、「辛いね、こっちへおいで」「寂しいね、抱っこしてあげるね」と気持ちを代弁してあげることで、「分かってくれている」と感じ、固まった心が溶け出します。叱咤激励も原因究明も、まずは心を癒してから。少し柔らかくなった心の方が、コミュニケーションが取りやすくなります。

子どもからの初期サインに気づくのがベスト

スランプは、深くなればなるほど、抜け出すのに時間がかかります。深みにはまる前に手を差し伸べられれば、それがベストです。では、スランプの種となるプレッシャーや不安感を感じたとき、子ども達はどのようなサインを親に発してくるのでしょうか?

子どもの年齢にもよりますが、年齢が低いほど、「ママから離れられなくなる」「普段よりも甘えてくる」のような甘え行動に出る傾向があります。心の中の葛藤から出る不安感を、安全基地に戻って解消しようとする、いわば”帰巣本能“のようなものです。年齢が高くなって、さすがに抱っこはせがめないという年齢になると、拗ねたり、反抗したりと親の注意を引こうとする行動に出ることが多いようです。

いずれにしても、スランプの前兆段階に出る子どもの行動は、親からすると、成長が逆戻りしてしまったかのような感じを受けることがよくあります。そのため、「お兄ちゃんなんだから」「もう〇歳でしょ、しっかり」と言いたくなるのですが、その言葉はグッと飲み込みましょう。

伝えてあげたいのは、「パパとママはいつでも味方だよ」というメッセージです。どんなことも受け入れてあげるという大きな懐(ふところ)を示すことが、不安やプレッシャーを抱える子ども心を一番癒してあげられます。「ワタシは受け入れてもらっている」と実感することで、少しずつ自信を回復し、一歩前に進むことができるのです。「頑張れ」「行ってこい」などの励ましは、それから使うのが効果的です。まずは、固まった心を親の温かさで溶かすつもりで、ギュッと抱きしめたり、頭をなでたり、ほおずりしたり、と距離を縮めてあげてください。

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