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ワイン醸造家、三澤彩奈。葡萄への情熱から生まれる、日本の新しい伝統。
ワイン醸造家、三澤彩奈。葡萄への情熱から生まれる、日本の新しい伝統。
ワイン醸造家 三澤彩奈「葡萄への情熱」

日本におけるブドウ栽培の歴史はおよそ一千年前に遡る
発祥の地、山梨県は、明治時代には国産ワインの製造を開始。
その後百年以上が経過してもなお日本のワインは世界に評価されるレベルに至らず
原因は「風土の違い」とされた。しかし、2014年、山梨県の中央葡萄酒が、
世界最大のワインコンクールで日本のワインとして初の金賞に輝く。
ワイン業界は日本のレベル向上とともに、そのワインをつくった醸造家が
30代の女性であることに驚き、アヤナ・ミサワの名は一躍世界に知れ渡った。

三澤彩奈

三澤彩奈(みさわあやな)

1923年創業の中央葡萄酒4代目オーナーの長女として生まれる。2005年単身で渡仏し、ボルドー大学ワイン醸造学部を卒業、その後ブルゴーニュ地方にて研修、「フランス栽培醸造上級技術者」の資格を取得、南アフリカ・ステレンボッシュ大学大学院へ留学。2007年帰国、中央葡萄酒の醸造責任者に就任してブドウ栽培からワイン醸造に取り組む。2014年世界最大のワインコンクール「デカンタ・ワールドアウォード」金賞を日本で初めて受賞。2016年には同コンクールでスパークリングワインとしてアジア初のプラチナ賞とベストアジア賞を受賞。

日本のブドウ品種「甲州」は、平安時代に行基という高僧が広めたとも
鎌倉時代に勝沼の雨宮勘解由という人物が発見したともいわれる。
長年、秋の味覚として生で食べられてきた甲州種だが、近年の遺伝子分析により、
実はヨーロッパ系のワイン用品種であることが判明している。

 「甲州」はカスピ海と黒海に挟まれたコーカサス地方で発生した品種とされます。日本にはシルクロードを通って入ってきたようですが、その経緯はよくわかっていません。約千年前には薬として栽培されていたという記録があります。果物の中でブドウはもっとも糖度が高く、身分の高い人に献上される貴重品だったようです。
 日本では生で食べていたため、粒は大きく、房がたくさん実るように栽培してきました。江戸時代初期に始まった棚架けも、できるだけ多く生産するための工夫です。でも、ワインに向くのはその逆。粒は小さく少ないほうが味がぎゅっと凝縮され、糖度がより高くなるので、発酵した後の風味が良くなります。そのため良いワインをつくるには、今までの当たり前に行われてきた栽培方法を変える必要がありました。甲州はもともとワイン品種なので、私たちは甲州を本来の姿に戻すことをやっているともいえます。

日本のブドウ品種「甲州」は、平安時代に行基という高僧が広めたとも鎌倉時代に勝沼の雨宮勘解由という人物が発見したともいわれる。長年、秋の味覚として生で食べられてきた甲州種だが、近年の遺伝子分析により、実はヨーロッパ系のワイン用品種であることが判明している。
  • カベルネ・ソーヴィニヨン

    カベルネ・ソーヴィニヨン
    赤ワインの代表的な品種。
    湿度に弱いため日本では病気になりやすいが、
    三澤農場では栽培方法の工夫で弱点を克服した。

  • メルロー

    メルロー
    果実の香りが特徴の、華やかな品種。
    世界中で栽培されており、その多様性から幅広い味わいが楽しめる。

  • シャルドネ

    シャルドネ
    白ワイン向けの代表的な品種。
    土壌を選ばないが、土地ごとに風味が異なる。

  • 甲州

    甲州
    日本の気候に適している、伝統品種。

 ブドウ科ブドウ属は世界に約70種あり、アメリカ系、東アジア系、ヨーロッパ系に大別される。生食されるデラウェア、マスカットなどはアメリカ系で、ワイン醸造に用いられるのはヨーロッパ系が多い。
 葡萄は日照が良く、湿った空気が滞留しない傾斜地を好む。日本の高温多湿の気候は、日本がワイン生産に向かないとされてきた要因でもあった。しかし、現代は地理的条件を克服する栽培方法の開発が進む。

三澤彩奈氏の父親は、大正末に創業の勝沼のワイナリー、中央葡萄酒の四代目。
国産ワインは本場のワインとは別物の二級品とされていたが
祖父や父は甲州種を使ったワインの品質向上につとめていた。

 勝沼ではお酒といえばワインで、ふだんの食事のときもワインです。私が子どものとき、地域の大人は湯のみでワインを飲んでいましたね。日本では甘口が好まれたので、その頃の勝沼のワインは甘口が中心だったと思います。
 1990年代、ポリフェノール・ブームで全国的にワインの人気が高まった一方、「勝沼から世界で評価されるワインを」という声も出てきました。うちの父も地元の人たちと甲州種の栽培法の研究を始めています。日本では葡萄を農家から買って醸造するのが普通でしたが、海外では醸造と栽培は一体です。父も新しい農場を拓こうとしていました。
 そんな中、大学3年生のとき、家族と行ったマレーシアで、うちの甲州種ワインが好きという現地のご夫婦に出会いました。その方たちは日本びいきで、「甲州種のワインは日本らしくていい」とおっしゃっるのです。海外の方がそういう風に感じてくださるなんて、ワインはすごいと思いました。

  • 勝沼は葡萄とワインの町。いたるところに葡萄園があり、約30の醸造所が点在する。
    勝沼は葡萄とワインの町。いたるところに葡萄園があり、約30の醸造所が点在する。
  • 棚架け法は果実の収穫量が多くなる。生食用のブドウを生産するには都合がよいため日本ではこの栽培方法が一般的である。
    棚架け法は果実の収穫量が多くなる。生食用のブドウを生産するには都合がよいため日本ではこの栽培方法が一般的である。
  • 勝沼の中央葡萄酒本社。2階はテイスティングができるショップ、地下がセラーになっている。
    勝沼の中央葡萄酒本社。2階はテイスティングができるショップ、地下がセラーになっている。
  • 本社のセラーに保存されている昭和のボトルたち。三澤家の人々の誕生年のワインは多めに保存する慣わしがある。
    本社のセラーに保存されている昭和のボトルたち。三澤家の人々の誕生年のワインは多めに保存する慣わしがある。
  • 北杜市明野の南アルプスを望む標高700mの場所に位置する三澤農場。
    明野は日本でもっとも日照時間が長く、昼夜の気温差があることがブドウの生育に適する。
  • 北杜市明野の南アルプスを望む標高700mの場所に位置する三澤農場。
    明野は日本でもっとも日照時間が長く、昼夜の気温差があることがブドウの生育に適する。

マレーシアでの経験をきっかけに大学卒業後はワインに関わる仕事にと漠然と考えているなか、
来日したボルドー大学の醸造学の権威に出会い、フランス留学を提案される。
ワイン醸造家への扉が開かれた瞬間である。

マレーシアでの経験をきっかけに大学卒業後はワインに関わる仕事にと漠然と考えているなか、来日したボルドー大学の醸造学の権威に出会い、フランス留学を提案される。ワイン醸造家への扉が開かれた瞬間である。

 ボルドー大学での講義内容は、醸造そのものだけでなく、醸造の法律や土壌や栽培に関することなど、ワイン製造に関すること全般です。フランスの伝統的な手法を学べば学ぶほど、日本にそのまま移すことはできないことがわかってきます。日本が取り入れるべきは、南半球の新興国の技術だと思いました。フランスでは気候や地質などの恵まれた条件を生かす伝統がありますが、新興国ではマイナス条件を科学的に克服する方法が開発されていたのです。それで2007年に帰国してからも、日本のワインづくりが忙しくない時期は南半球のワイナリーに行き、そこで学んだことを次々試していきました。
 良質なワインをつくるためには、20度以上の糖度が必要とされます。甲州種ではそこまでの糖度を出すことが難しく、従来は香料などの加工技術で補っていました。でもそれでは本物とはいえません。甲州種はワイン用の品種なのだから絶対できると信じていました。

2012年、南アフリカの専門家のアドバイスに従って高畝式を採用した畑で甲州種の果実の糖度が念願の20度を超えた。その翌年22度を達成した果実で醸造した「キュヴェ三澤 明野甲州 2013」は、2004年、日本ワイン初の世界的評価を獲得。その受賞後、三澤彩奈氏は「私たちはやっと世界へのスタート地点に立てた」と述べた。

2012年、南アフリカの専門家のアドバイスに従って高畝式を採用した畑で甲州種の果実の糖度が念願の20度を超えた。その翌年22度を達成した果実で醸造した「キュヴェ三澤 明野甲州 2013」は、2004年、日本ワイン初の世界的評価を獲得。その受賞後、三澤彩奈氏は「私たちはやっと世界へのスタート地点に立てた」と述べた。

日本のワインづくりの常識に挑み、甲州種のワインで世界に認められるまでの道をたどった前編に続き、
後編では競争が激化するワイン業界で、彼女が山梨の人々とともに目指す新しい伝統づくりに焦点を当てます。

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ワイン醸造家 三澤彩奈 「豊穣の未来」編を読む
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