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時空を超えて香りが導くこころの旅
時空を超えて香りが導くこころの旅
香道 御家流 二十三世 三條西堯水「香しき旅」

仏に供えるものとして、奈良時代、シルクロードを経て伝来した香木(こうぼく)。
平安時代、貴族は個性を香りで演出し、また、空間を浄化するものとして、
宮中の祭祀にも用いられた。その後、室町時代には華道、茶道に並ぶ芸事として
香道が整えられた。香道の祖ともいわれる三條西実隆(さんじょうにしさねたか)の子孫、
御家流(おいえりゅう)香道二十三世、三條西堯水氏は、文芸とゲームの要素をあわせもつ、
香道の和やかな楽しみを国内外の幅広い世代の人々に伝えている。

三條西堯水(さんじょうにしぎょうすい)

1962年生まれ。御家流二十二世宗家三條西堯雲を父とする。少年時代より父と祖父(二十一世宗家)堯山より香道の手ほどきを受ける。1985年立教大学法学部卒業後、IT企業勤務を経て、1997年父の逝去により二十三世を継承。弟子の指導のほか、2008年大河ドラマ『篤姫』で香道を指導するなど、様々な形で香道の普及につとめる。龍谷大学客員教授、学習院大学非常勤講師。本名は三條西公彦。

香道で用いる香木は、東南アジアやインドのジンチョウゲ科の樹木に由来する。
これらの樹木は、傷を受けたときに自らを守るために特別な樹脂を分泌する。
傷と修復を繰り返し、樹脂を蓄積したものが乾燥され、削られて香木となる。
その香木を熱し、発する香りをかぎ分けることを「聞香」(もんこう)という。

 香道で香りを「かぐ」といわないで、「聞く」という理由には、いくつか説があります。中国の言葉からといいますが、日本語の「かぐ」とは、やはり違います。「カレーのにおいがするな」「焼きたてのパンのいい香りだな」といったように、においを感じるだけではないのです。かぎながら、においについて考えています。すべての香木は、何かメッセージを発しています。それを受け取ろうとして「かぐ」ことが「聞く」ということではないかと思います。
 香木は自然のものなので、同じ種類の香木でも、木によって香りが違います。たとえば、古い香木はなかなか香らない。香らないわけではなくて、熱し始めていい香りが出てくるまでに時間がかかるのです。三百年も寝ていた香木を起こすようなものですから、仕方ないでしょうね。

  • 香の専門店では、写真のように小さくした香木を5g、10gといった単位で販売している。(松栄堂人形町店)
    香の専門店では、写真のように小さくした香木を5g、10gといった単位で販売している。(松栄堂人形町店)

伝統的な香りの楽しみ方

 香木は加熱すると香りを発する。そのための道具を香炉といい、香道では炭団を埋めた灰に「銀葉」と呼ばれる薄い雲母の板をのせ、その上で香木の小片を加熱する。香炉内の灰の形も鑑賞の対象とされる。
 茶席などで用いられる「練香」は、香木のほか、丁子などの植物性の香薬、麝香(じゃこう)などの動物性の香薬などを細かく砕き、調合した香料に蜜などを練り合わせて丸薬にしたもの。「練香」を香炉の灰にのせて焚き、空間に香りを漂わせることを「空薫(そらだき)」という。平安時代の文学で描かれる「薫物(たきもの)」は「練香」のことで、衣服や頭髪に香りをつけるためにも用いられた。
 調合した香料を型抜きしてつくる「印香」は、香炉で用いるほか、棒状の「線香」のように、直接火をつけて燃やすものもある。そのほか、引き出しなどに入れる「匂い袋」、手紙を香らせる「文香(ふみこう)」などがある。

香道に使う香木は、伽羅(きゃら)・羅国(らこく)・真南蛮(まなばん)・真那賀(まなか)・寸門陀羅(すもたら)・佐曽羅(さそら)という六種に分類される。
その香りは、五つの味、甘(あまい)・酸(すっぱい)・辛(からい)・苦(にがい)・鹹(しおからい)で表現される。
これを「六国五味(りっこくごみ)」といい、香道を楽しむ人々はそれを聞き分ける。

 「六国五味」は、江戸時代に考えられたもので、今の我々の感覚とはちょっと違います。学生たちに「甘いにおいって何を思い浮かべる?」と聞くと、チョコレートとかクリームとか出てきますけれど、江戸時代にそんなものないですよね。甘い、辛いの感覚がそもそも違うのです。「江戸時代はこれを甘いと思っていたの?」と驚くくらいでかまいません。お香をある程度経験していくと、「これは昔の人が甘いというもの」と、だいたい分かるようになりますが、はじめて体験する人にはその知識はまったく必要ありません。自分の中でイメージをつくっていく前に知識だけあると、逆に混乱してしまうので、学生たちには「予習しないで」と言っています。
 そもそも香りの感じ方は人によって違います。同じ人でも体調によって変わってしまいます。ただ、世代とかによる好みの傾向は少しあって、欧米系の人は、日本の香道をしている人の多くが好まない「寸門陀羅(すもたら)」という香りが好きですね。彼らは花束のようだと言います。僕らはそんな風には感じない。ところが面白いことに、今の学生ではそれが好きな人が多かったりします。

  • 複数の人が集まって香りを聞く場を「香席」という。茶道の「茶席」に当たる言葉である。
    複数の人が集まって香りを聞く場を「香席」という。茶道の「茶席」に当たる言葉である。
  • 香道の作法は茶の作法に似ていて、香炉に香木を熱することを「点前(てまえ)」という。上座の正客から香炉を回し、順番に香りを聞く。
    香道の作法は茶の作法に似ていて、香炉に香木を熱することを「点前(てまえ)」という。上座の正客から香炉を回し、順番に香りを聞く。
  • 左手に香炉を持ち、右手で蓋をするようにして、香りを逃さないようにする。
    左手に香炉を持ち、右手で蓋をするようにして、香りを逃さないようにする。

香席で行う「組香(くみこう)」は、複数の香木を用い、あるテーマを香りで表現するもの。
そのテーマは和歌や物語などに由来し、参加者は情景を想像しながら香りを聞き分け、
何番目と何番目の香木が同じものか、違うものかを当てていく。
しかし、目的は当てることではなく、香気を人とともに楽しむことにある。

 組香は、『源氏物語』にちなむ「源氏香」をはじめ、やり方のパターンは決められていますが、どういう香を選ぶかで雰囲気が変わってきます。香を用意する出香者(しゅっこうしゃ)は、どういうメンバーが来て、いつどこで行うものかなどを考えて選びます。
 香の選び方で大事にしているのは、やっぱり季節ですね。たとえば桜の季節には京都にでも遊びに行きたいところですが、なかなか行けない。でも、京都のことを思って組香を体験していただくことで、京都に行ったような気持ちになることができます。組香はある意味、想像の世界なのです。何も知識がなくても、いい香りを楽しむことができますが、組香に出てくる和歌の知識などがあれば、もっと豊かに想像を楽しむことができます。
 流派によって多少違いはありますが、香道は基本的には楽しむもの。当たる、当たらないはありますが、当たらなくて怒る人はいません。終わったときに誰もが自然と笑顔になっている。それが香道のすばらしいところだと思いますよ。

目に見えない香気に導かれ、
想像を遊ばせる香道。
覚めつつ現実を離れ、
こころの世界を旅する喜びは、
世代も国境もなく共有できると、
三條西堯水氏は信じている。

(「人和の香り」編へつづく)

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