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大和ハウス工業の
強さの根源とは?

連結売上高4兆円超、日本の建設・不動産業界のトップをひた走る大和ハウス工業。1955年の創業以来、工業化建築のパイオニアとして住宅や集合住宅から商業施設、物流施設まで多彩な事業を手掛けてきました。現在では環境エネルギーやロボット、農業など新分野にも進出しています。大和ハウス工業が成長を持続できる強さの根源は何なのか? 能村盛隆 人事部長と、大和ハウス工業を長年取材してきた日本経済新聞社の村山浩一氏が語り合います。

※本稿は2019年9月26日取材時点の内容です。

  • 能村 盛隆

    大和ハウス工業株式会社
    上席執行役員
    人事部長

    能村 盛隆

    MORITAKA NOUMURA

  • 村山 浩一

    株式会社日本経済新聞社
    デジタル事業 メディアビジネスユニット
    人材・教育編集長

    村山 浩一

    KOUICHI MURAYAMA

能村 盛隆の写真

時代の先を見抜く力と
社会の公器としての使命感。
それが今日の姿を形づくった。

村山
2001年に1兆円だった連結売上高が、足元では4兆円を超えました。これだけ数値を伸ばすのは、簡単なことではありません。
能村
当社は幅広い事業領域を有しており、グループの総合力で高い成長を達成してきました。4兆円というのも途中経過の数値で、創業100周年を迎える2055年に売上高10兆円という目標を掲げています。もちろん、売上高が最終的なゴールではありません。当社に根付いている考え方の一つ、「仕事は自分のためにやれ。それが会社の成長を支える」という言葉に照らせば、社員一人ひとりの頑張りの結果、その先が開けると思っています。
村山
グループ会社は387社に上り、海外にも積極的に進出しています。従業員数は単体で約1万6000人、グループでは約4万5000人を数えるとのこと。ここまでに至る過程で、「顧客の課題をどうやって解決できるか」という問いかけを続けてきたことに注目しています。
能村
歴代の経営陣に「見抜く力」があったといえるかもしれません。例えば今、飛ぶ鳥を落とす勢いのファーストリテイリングさんとは、店舗展開で強い協力関係にあります。事業の将来性や経営者の力量をいち早く見抜き、ユニクロ事業の初期の頃からお付き合いを深めてきました。その結果、今日まで共存共栄できているのは好例でしょう。これ以外にも、土地を活用したい土地所有者と、店舗展開したいチェーン店を結びつける全国的なネットワークを築くなど、国内外で多様な事業展開に生かしています。常に一歩先を見抜く力がここまで大きくなった原動力だと思っています。
村山
近年は事業展開の切り口として「アスフカケツノ」という表現を前面に出しています。考え方を説明してください。
村山 浩一の写真
能村
当社には「人・街・暮らしの価値共創グループ」という企業方針があります。その具体化に向けて、会長の樋口武男が考え出した事業キーワードが「アスフカケツノ」です。それぞれ「安心・安全、スピード・ストック、福祉、環境、健康、通信、農業」の頭文字です。7つの視点から社会課題を解決するような新事業に取り組む決意を表しています。「アスフカケツノに続く言葉は何ですか?」という質問もよく受けます。いつの時代であっても、多くの人たちに「明日不可欠の」大和ハウス工業であるために、これに続く新たな言葉を、大和ハウス工業の若い社員らが見つけていく。これこそ、未来に向けての課題なのだと考えています。
村山
樋口会長はよく「若手を抜擢し、どんどん新しい業務を任せていきたい」と話しています。大和ハウス工業には「若手がチャレンジして仮に失敗しても、経営の屋台骨が揺るがないだけの体力がある」ということも強調しています。会社が成長するには、個々の社員が実力を発揮する環境が必要ですが、それを支える企業としての思想は何でしょうか。
能村
当たり前のことですが、企業は社会に貢献することが使命の一つです。自社の周囲には社員の家族があり、協力会社やその家族がいて、とてつもない数の人々の生活を支えています。「会社は社会の公器」という考え方が当社の原点であり、その重要性を大和ハウス工業は、常々社員全員に肝に銘じるよう言い続けています。それが現場力の一つになっているのではないでしょうか。
村山
最近のトピックとして、奈良市内に新たな研修センターを造ることを決めました。どのような施設になる予定ですか。
能村
グローバル人財を育成するための総合研修施設となります。創業者の石橋信夫の生誕100年に当たる2021年に、稼働する予定です。細かい運用方法はこれから考えていきますが、単なる箱ものではなく、会社の思想を後世に伝えられるソフト面を充実させたいと考えています。建物だけで120億円、すべてを含めると200億円の大規模な投資になります。今後、大和ハウス工業に入社する方々への財産になるものを残したい、との思いから決断しました。
能村 盛隆 村山 浩一の写真

大和ハウス工業の理念、
事業と可能性に共感できる
多様な人財に集まってほしい。

村山
企業の未来をうらなううえで、どんな人材を抱えているかがカギとなります。産業界では、人材を「人財」と表現する場面が増えているのもそのためでしょう。大和ハウスグループが求める人財像を教えてください。
能村
共に働く仲間を求めるに当たり、4つのポイントを重視しています。まずは夢を持ち、当社の事業に共感できるかどうか。次に、苦労をいとわず粘り強く仕事ができる積極性があるか。さらに、世の中やニーズの変化にしっかりついて行くスピード感を持っているか。最後に「個客思考」、つまり誠意をもってお客様に対応できるかどうかという点です。当社では「お客さま志向」から一歩踏み出して、お客さま一人ひとりの立場で考える「個客思考」を行動の規範としています。
村山
自社に必要な人財を見極め、育てていくのは実際には簡単ではありませんね。
能村
同じような人ばかりに集まってほしいとは思っていません。一般的に企業は似た社員を求める傾向があるかもしれませんが、当社はあえて尖った人、丸い人、四角い人、多彩な個性を持つ人たちの集団を目指しています。世の中の変化に対応し、新しい事業やサービスを生み出していくには、多様な人財が必要だと考えるからです。学生の皆さんの場合、今の時点で当社が求める素養を満たしていなくても、潜在的に伸びるだろうと感じられる人であれば十分です。
村山
尖がった人というのは企業にとって、良い面と悪い面があります。抜きん出た成果を生む可能性がある半面、社内の輪を乱すリスクもあります。そのあたりの兼ね合いはどう考えていますか。
能村
もちろん、当社の事業と可能性に共鳴・共感できることが前提になります。大和ハウス工業とベクトルが同じ方向を向いている人なら少々風変わりでも、ユニークなアイデアや行動で、社内に新しい風を吹き込んでくれるでしょう。私はよく、会社と社員の縁を結婚生活に例えるのですが、結婚する前も後も相手を好きであることが何より大切。学生の皆さんには、まずは大和ハウス工業のことをじっくり調べてよく知っていただき、恋愛感情が涌くくらい好きになってもらいたいですね。
村山
創業者の石橋信夫氏は生前、「学歴で人を判断するな」と強調していました。
能村
昭和40年代の人材不足の時代のエピソードです。創業者は「わざわざ大和ハウス工業に興味を持ってくれた学生の皆さんに失礼だ」という一念で、受けに来た人全員を採用したことがあったらしいのです(笑)。学歴だけで素晴らしい仕事ができたり、人生が決まったりすることはあり得ません。名刺に出身大学名を印刷したところで、受注には結びつかないでしょう。当社は、単に学歴で採用やキャリア形成に差をつけることは絶対にやりませんし、そうしたことをすごく嫌う体質でもあります。
能村 盛隆の写真

成長できるかどうかは
能力ではなくやる気の差。
やる気を引き出す諸制度に自信あり。

村山
社員の採用や育成に当たってどんな方法をとるかは、いわば企業が社会に発するメッセージでもあります。近年の採用活動での特徴的な取り組みについて教えてください。
能村
当社では、就職活動をされる方の勤務地に対するニーズに寄り添うため、初任地を先着順でお約束する「配属エリア確約」を行っています。あとはインターンシップですね。大和ハウス工業の事業を知っていただくさまざまなプログラムを用意しています。先輩社員との交流や質問会などが好評を得て、毎年多くの学生の皆さんに参加いただいています。2021年度採用からは、事業領域別の採用を計画しており、住まいづくり・土地活用・ビジネスソリューションの3つの領域に分け、学生の皆さんに選んでもらえるようにしています。
村山
人材活用に当たって「適材適所」だけでなく、「適所適材」という考え方も重要になっています。同時に、個々の社員もそれを自覚する必要があるでしょう。
能村
どちらを目指しても、会社と社員双方のよい結果につながるかどうかは個々人の成長次第だと考えています。人の成長は「能力の差」ではなく、「やる気の差」が大きいと思います。大学卒の新人は22歳で就職し、定年まで40年以上働くことになるわけですが、その長い間、持って生まれた能力だけで成長し続けるのは難しい。常にやる気をもって働きながら、新しいインプットとアウトプットを繰り返すことが成長する条件です。ですから、新人は入社時までは誰もが横一線で、会社に入ってからが本当の勝負ということになります。
村山 浩一の写真
村山
ダイバーシティーや働き方改革、ワークライフバランス……。働くうえで大切なキーワードはいくつもあります。こうした働きやすい環境づくりのため、具体的な手を打ってきたとのことですが。
能村
育成面では、希望の部署や職種に立候補できるFA制度や階層別の教育研修、新人に若手先輩社員がマンツーマンでOJTを行うエルダー制度、将来の経営陣育成を狙った大和ハウス塾などが特徴ある仕組みだといえます。近いうちに、一度はグローバルな仕事を経験してもらう制度も導入する予定です。福利厚生面では、100万円の出産祝金を支給していますし、最高100日までの有給休暇の積立制度、手厚い住宅関連補助など、当社ならではの制度を設けています。さらに定年を65歳に引き上げ、65歳以降も継続して働ける仕組みも取り入れました。シニアが活躍する場面を用意する取り組みは、社内外で評判になり、多くのメディアにも取り上げられました。
村山
経営にスピード感があり、同時に家族的なつながりを大切にしている、というのが創業以来の特徴となっています。
能村
これまで幾度もの厳しい時代を、全社員一丸となって乗り越えてきた歴史がありますからね。最近は学生の皆さんの仕事に対する価値観も随分変わってきている気がしますが、ご指摘いただいた雰囲気の中で、会社と社員がお互いの成長を実感していくことが一番大事だと思います。それを確実に実現できる仕掛けを、私たち人事部のメンバーはこれからも探り続け、形にしていきたいと考えています。
村山
創業者の石橋信夫氏は生前、「停滞は後退」と戒めていました。成長を求めるベンチャー精神を失わないことが大切でしょう。本日はありがとうございました。

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