02 定年前リフォーム対談
家族五人で暮らしていたというN様。
子どもたちがいることを想定して工夫した間取りも、夫婦二人暮らしには合わないことを実感。
例えばかつては便利だった対面型キッチンも、子どもたちがいないので、今では料理を自分で食卓まで運ばなければならず、後片づけも大変だったり。
ご主人が趣味のコンピューターに向かおうとしても和室の畳では使い勝手が悪かったり。
日々の生活のなかで、ご主人、奥様それぞれに感じていた不満を効率的に解消するためのヒントを溝口先生にアドバイスいただきました。

![]()
![]()
プロフィール
一級建築士。医療施設、高齢者施設等の設計を手がけ、1993年に、(株)高齢者住環境研究所を設立。バリアフリー・リフォーム実績累計一万件余りという豊富な経験からの団塊の世代への提言が、『定年前リフォーム』である。
※掲載中の担当者の所属等は取材時のものです
- 溝口
家族五人で暮らすのと、夫婦二人で暮らすのとでは生活スタイルがまったく違います。夫婦二人ならキッチンと食卓は近い方がよく、その方が料理を運ぶのも、後片づけをするのも、ぜったいにラクなはずです。
- 奥さま
かつては娘たちが食卓に料理を運んでくれたので対面型が便利でしたが、今はかえって面倒なんです。
- 溝口
わずかな手間であっても、毎日三度のことだからぜひ改善したいですよね。でも対面型に問題があるのではなく、キッチンと食卓との配置の問題だと思います。キッチンの位置も向きも変え、夫婦二人の食事にちょうどよいサイズの食卓を、キッチンに直結するように置いてはいかがでしょうか。
- ご主人
それは便利そうですが、最近は近所の人が気軽に訪ねてくれるので、客間として作った和室ではなく、リビングで迎えることも多く、食事中やキッチンが散らかっていると困ってしまうこともあるんですよ。
- 溝口
対面型でもシンクから立ち上がったタイプを選べば、リビングからの目線も気になりません。それにキッチンの位置を変えると、リビングが今までより広々と空間が使えるようになり、ゆったりとお客さまも迎えられるはずです。キッチンを変更するなら一緒に考えておきたいのが、家事動線。例えばキッチンと洗濯機のある洗面室との動線などを整理すれば、無駄な動きをしなくてすむので、家事への負担も軽くなります。

- 奥さま
なるほど。それなら料理をしながら洗濯機をまわすこともできるわけですね。
- 溝口
将来のことを考えれば、家事動線は短ければ短いほどいい。だから冷蔵庫の位置や食器の収納場所も、振り向いてすぐに取り出せるように考えたいですね。
- ご主人
もしリビングが広くなるなら、パソコンを使うのでしかたなく置いたデスクもなんとかできませんか?
- 溝口
ご主人はもともとこたつでくつろぎたいというご希望がありましたよね。であれば和室のうちのひとつに掘りごたつを作ってはどうでしょうか。掘りごたつなら椅子に座る感覚でパソコンに向かえるし、疲れたらそのまま横になることも出来ます。
- 奥さま
年に数回子どもたちが孫を連れて帰って来た時にこの和室を使っているのですが、掘りごたつがあれば、その方がかえって便利かもしれません。
- 溝口
定年後、ご夫婦がずっと家で過ごすようになった場合、ご主人と奥様の居場所が、それぞれ別々に確保できると、お互いにとても暮らしやすいんです。一日ずっと顔を突き合わせていては息が詰まってしまいます。
- ご主人
確かにそうかもしれません。和室に掘りごたつがあれば一人の時間ももてるし、とても魅力的です。
- 奥さま
二人揃ってリビングにいる必要はないんですよね。自分たちだけでは考えもつかなかったことだと思います。
- 溝口
実は、他にも気になっている箇所がいくつかあります。リフォームを機に廊下幅を広げ、段差をなくし、トイレも配置を変えてしまってはどうでしょうか。
- ご主人
なるほど。廊下が広くなれば、万が一、車いすを使うようなことになっても対応できますね。
- 溝口
その通りです。さすがご自宅を二度もお建てになったご主人、将来のこともしっかりお考えになってリフォームをお考えでいらっしゃるんですね。





