「私が特に気に入っているのが、ここ」
そこには作りつけの大きな引き出し式のシェーカー風家具がある。引き出しの中には、食器、タオル、CD、日常で使うあらゆる物が、収納されている。
「ここ、実は、押し入れだったの。ちょっと信じられないでしょ。これも吉田さんのアイデアで、本当に大成功。押し入れだったから引き出しも奥深くまで使えるし、中に入れた物が見えるからすごく使いやすいんです」
日本家屋には必ずある押し入れを生活様式に合わせて変身させれば後から収納家具を置く必要がなく、居住スペースをそのまま残せる。しかも使い勝手は祐成さんの実証済み。ぜひ真似してみたくなるアイデアだ。
「実はこの家を買うと決めた頃に結婚して、主人と一緒に暮らし始めたんです。その後、妊娠もして、娘も生まれました。そうなると、イヤでも物が増えるし、生活感が出てくるんです。犬と暮らしていれば、床にも柱にも傷がつきます。でもこの家なら、なぜかみんな、それも味だと許せるんです」
もし新築のピカピカの家なら、傷ひとつにもイライラしたかもしれないし、様々な物が醸し出す生活感を受け入れられなかったかもしれないと、祐成さん。でもこの家には、その全てを受け入れる大きな包容力があるのだ。
「家族との暮らしを大切するために、古い家をリフォームして暮らすというのは正しい選択でした。これからは、我が家なりの生活感を楽しみながら、暮らしていきたいんです」

元押し入れだったとは、にわかには信じられない。作りつけのように見えるシェーカー風の家具に変身。

奥行きが深く使いやすい。収納力も抜群。
「せっかくだから、私の手作りもお菓子も召し上がって行ってくださいね」そんな言葉に甘えて、ご自宅からほど近いキッチンスタジオへ移動。ここは少し前まで、祐成さんのレシピで作られたお菓子が食べられるカフェとして使っていたという。「今、カフェはお休みしているんですけど、今日はお天気もいいし、光が降り注ぐテラスで召し上がりませんか?」そう、美味しいものは、それをどこで、どんな風に食べるかによって味わいも変わる。フードコーディネーターである祐成さんならではの細やかな心遣いがうれしい。「暮らしを大切にするなら、食も住も、同じように大切にするべきだと思うんです。家族がリラックスできる居心地のいい家で食べる食事は、凝ったものでなくてもおいしいし、おいしいものを家族みんなで楽しく食べれば、体にもいいはずですから」確かに『すてき生活』で紹介されている祐成さんのお宅の定番メニューは、ミートソースのスパゲッティやメンチカツなど、どこの家の食卓にのぼるものばかり。でもそのレシピには祐成さんならではのちょっとしたひと工夫や、こだわりが生きている。祐成さんの思いがぎっしり詰まったこの本、リフォームのアイデアだけでなく、お料理のアイデアも満載。素朴で豊かな暮らしのお手本に、ぜひ一読してみて欲しい。

生クリームの上にイチゴなど季節の果物を飾ってもおいしいですよ。

自宅から歩いてすぐ。祐成さんが料理を教えるクッキングアートセミナー。
*掲載の内容は取材時のものです。


築40年の家を購入し、大好きなアンティークショップのオーナーと共に行った、リフォームの実例を紹介。また、おすすめのお料理レシピから、お気に入りのお料理道具、こだわりのお茶のこと、自身の旅日記まで、まさに祐成さんならではのすてきな生活が満載された一冊。




