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セラピー用アザラシ型ロボット「パロ」は、精神的なセラピー効果を目的にしたロボットです。

事例紹介

癒しロボット「パロ」、東日本大震災の被災地に笑顔を届ける。

取材・撮影:2011年6月

被災地の施設に広がる笑顔の輪

ハルエおばあちゃんに久々に笑顔が戻った。
「パーロちゃん」と呼びかけると、両腕に抱かれたパロは愛くるしくまばたきし、撫でると身体をくねらせ、気持ちよさそうに小さな鳴き声をあげる。ハルエおばあちゃんは「かわいいねえ」とささやき、パロにやさしく頬ずりをした。

6月中旬のこの日、大和ハウスがパロを届けた先は、福島県南相馬市の社会福祉法人南相馬福祉会が運営する特別養護老人ホーム「万葉園」。施設は津波の被害は免れたものの、付近の田畑には漁船が何艘も打ち上げられ、防波堤がもぎ取られたりする光景がつづき、3ヶ月が過ぎた現在も災害の爪痕が痛々しい。

南相馬福祉会はほかに3つの特別養護老人ホームとグループホームを運営し、法人全体では230人の高齢者が生活していた。震災後は1週間で食料が尽き、やむなく横浜へ避難。さらに東京、大阪、埼玉…など各地に分散避難し、6月になってようやく各避難先から少しずつ戻れるようになり、いまは原発の避難地域からの高齢者も受け入れている。

震災と津波の被害というダブルショックの上に、避難生活を通して高齢者はみな精神的に相当な負担を強いられている。「黙りこくったり、引きこもりになったり…なにより笑顔がなくなりました。精神的にかなり落ち込んでいる方もいます。だからパロにふれて心を癒し、元気を取り戻してもらいたい」と話すのは、万葉園施設長の大内敏文さん。

50体のパロを、無償で東北3県の被災地の施設に

パロを被災地の高齢者や子どもたちに…という支援活動は、東北3県の大和ハウスの営業担当者の思いからはじまった。避難所での高齢者の方々の窮屈な生活にふれ、「もっと我々にできることはないだろうか。パロで癒しを提供するというのはどうだろう?」と。そうして取りかかったのが、パロの“出前”だった。

各避難所にパロを持参し、パロとふれあってもらう。するとたちまち表情が豊かに変化していった。子どもたちにもパロは大人気だった。パロを通じてお年寄りと子どもたちが交わる場が生まれ、さらに「あーちゃん」とか「しろちゃん」とか、それぞれ自分のお気に入りの名前で呼ぶようになる。パロの周りにはたくさんの笑顔ができた。

しかしその日限りでは、せっかく慣れ親しんだパロとすぐお別れになってしまう。「もっと継続的に提供できる仕組み」を検討した末に、「50体のパロを2年間無償で貸与する」という支援をすることに決定。貸与先は被災地の高齢者福祉介護施設や仮設住宅内のサポートセンターなどで、岩手県では行政が窓口になって導入施設を決める。宮城、福島の両県については大和ハウスの営業担当者がコーディネートしている。

パロの愛くるしさが、前向きな気持ちへと導く

この日、もう1ヶ所、訪ねたのは福島県いわき市の、太平洋を望む高台に建つ特別養護老人ホームの「翠祥園」(入居者101人)。福島原発から27kmの位置にあり、周辺には流失や全半壊した家屋など、やはり痛々しい光景を目の当たりにする。「施設はなんとか無事でしたが、この地域だけで49人の方が亡くなっています」と話すのは、事業管理部長の上遠野拓さん。職員にも津波で家を流された方がいるという。

施設の利用者の多くが、重度の要介護者。震災後は施設から内陸へ20km離れた温泉保養施設に避難し、5月中旬に過半数が「翠祥園」に戻った。「いわき市全体がパニック状態でした」と話し、さらに「先がなかなか見えない現状への不安」を施設長の鈴木康久さんは訴えた。パロの愛くるしさはそんな職員の方々の心も和ませる。

パロを届けて1週間。その後の様子をうかがうと…リビングルームでパロを抱いていたおばあさんが、「青いリボンがラブちゃん、赤いのがピースちゃん」と教えてくれた。「かわいい」、「大好き」…膝の上にのせ、まるで我が子を慈しむように可愛がり、世話をする姿は微笑ましい。「我が子をだっこしているのと同じ、子育ての記憶が甦っているのでしょうね。1週間の間に、パロとふれあった方々の表情は明るく、そして前向きの気持ちになっています」。無邪気にパロと戯れるお年寄りたちの姿を微笑ましく見守る職員のひとりはそう話した。

6月からスタートした取り組みに、すでに多くの施設から「うちにも導入したい」、「大人気で、できればもっと多くのパロを使いたい」という声が相次いでいる。ただ、被災地の全ての施設にパロを提供するのは数量的に難しいという現実がある。このユニークな被災地支援活動を推進する弊社ロボット事業推進室長田中一正は「できればもっと多くの施設にお届けしたいのですが…被災された高齢者のひとりでも多くの方がパロで心を和ませ、はやく元気を取り戻していただければと思っています」と話す。

大和ハウスでは、震災後間もない4月からパロを持って避難所への訪問を行った。不安を抱えた避難所生活を送る子どもや高齢者にパロは大人気。パロの愛らしさに感激して涙するおばあさんもいたという。

福島県南相馬市にある特別養護老人ホーム「万葉園」にパロを提供。入所されている高齢者の方々は初めて見るパロに興味津々で、皆さん抱きかかえると自然と笑顔がこぼれる。首を振り、鳴き声を出すパロを撫でながら話しかける様子を見ているとパロがロボットだということを思わず忘れてしまう。

パロとともに、東京の小学校の生徒たちが書いた被災地への応援メッセージも届けられた。

福島県いわき市にある特別養護老人ホーム「翠祥園」。取材時はパロを導入して1週間ほど経過していたが、入所者の皆さんはまるで我が子のようにパロを抱き、可愛がっている。施設長の鈴木康久さんは「パロは大人気です。本当は5~6体あればもっと入所者の方々に喜んでいただけるのですが…」と話し、パロの人気ぶりに驚いている。

※本事例はあくまでパロの活用例のひとつとして紹介しているものであり、使用方法等を示唆しているものではなく、また掲載の内容と同様の結果を保証するものではありません。

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