ロボット事業

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セラピー用アザラシ型ロボット「パロ」は、精神的なセラピー効果を目的にしたロボットです。

商品について

開発者の声

「人とロボットの新しい関係」がさまざまな分野で進んでいる。【ロボットがいまや人の心を癒し、和ませる。可愛いタテゴトアザラシの赤ちゃんのメンタルコミットロボット「パロ」は高齢者や認知症患者などへのセラピー効果が海外で高く評価され、介護福祉施設などで普及が進んでいる。今後、日本でも高齢者介護の分野で期待される注目のパロの開発者にそのセラピー効果を聞いた。】

Profile 工学博士  柴田 崇徳氏(しばた たかのり) 独立行政法人 産業技術総合研究所 知能システム研究部門 主任研究員

Profile
工学博士 柴田 崇徳氏(しばた たかのり)
独立行政法人 産業技術総合研究所 知能システム研究部門 主任研究員

名古屋大学工学部電子機械工学科卒業、名古屋大学大学院博士課程電子機械工学専攻修了。
マサチューセッツ工科大学人工知能研究所研究員、チューリッヒ大学人工知能研究所客員研究員などを経て、1998年より通商産業省工業技術院機械技術研究所ロボット工学部主任研究官、2001年より独立行政法人 産業技術総合研究所 知能システム研究部門 主任研究員。工学博士。

主な受賞歴

2002年
ギネス世界記録 Most Therapeutic Robot
2002年
Good Design賞・新領域部門
2003年
Swedish Museum of Science and Technology Robot Exhibition Award
2003年
(社)日本青年会議所
人間力大賞、TOYP会長賞、人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞
2003年
PC Magazine, Best of COMDEX finalist
2004年
JC(I 国際青年会議所) The Outstanding Young Person of the World
2006年
経済産業省 今年のロボット大賞・優秀賞(サービス部門)

ギネスブックで認定された“世界一、セラピー効果があるロボット”

ギネスブックに「Most Therapeutic Robot」、つまり「世界一セラピー効果があるロボット」として認定されているそうですね。

柴田

はい、認定は2002年です。人を楽しませたり、気持ち和ませたり、安らぎを与えたりするパロのメンタル的な効果は世界の国々で高い評価を得ています。本格的に販売を開始したのは2005年からで、これまでに1800体以上になります。

とくに欧米ではパロのセラピー効果が非常に評価されているようですが。

柴田

そうです。アメリカではパロは医療機器に承認されています。デンマークでは、ロボット・セラピーのライセンス取得者のいる、100ヶ所以上の医療福祉施設で、パロが導入されています。目的は認知症患者やアルツハイマーの人などに対する薬物療法に代わるセラピーとしてパロが利用されています。

くらべて日本では、多くが個人名義の購入のようですが。パロの扱いもペットだそうですね。たしかに見かけは可愛いぬいぐるみのペットに見えます。

柴田

それには国民性や社会制度の違いがあります。
欧米にはもともとアニマルセラピーという強い認識があって、動物はペットというより人間の良き伴侶であるという考え方で早くからアニマルセラピーを治療に取り入れています。犬や猫や鳥や馬…それにイルカなどが有名ですが、そうした動物とのふれあいが自閉症の子どもたちや躁うつ病、認知症や精神疾患の人たちの心を癒すことが治験で実証されていて、高いセラピー効果をあげています。

その点、日本人にとって動物はあくまで愛玩用のペットなのですね。

柴田

少なくともまだアニマルセラピーはそれほど普及していないし、そのセラピー効果が正しく認識されていないのではないでしょうか。それとアニマルセラピーには問題点もあるのです。セラピー用に動物をトレーニングするには手間もコストも必要です。そして生き物は必ず死を迎えます。その際に受ける心理的ダメージはマイナス効果です。ときには噛みついたり人に危害を加えることもあるし、病原菌の感染というリスクもあります。

たしかにそうですね。その点、パロならそういう心配も懸念もまったくない。

柴田

そうです。そしてもう一つ大きな利点があります。
欧米でパロが高く評価されるのは介護に要する社会コストの違いです。デンマークの認知症の高齢者1人にかける年間のコストは日本円で約1000万円です。日本はその半分以下の約400万円です。ですからデンマークでは介護社会福祉における社会コストの低減という観点からも、パロを社会システムに組み込むことが重要な政策でもあって、将来的に相当数のパロを介護福祉分野に積極的に導入する計画です。

アニマル・セラピー効果

「アニマル・セラピー」では、人と動物の触れ合いにより、

人を元気づける心理的効果 血圧や脈拍を安定化する生理的効果 コミュニケーションを活性化する社会的効果

の効果があるとされ、欧米では医療や福祉の分野で積極的に取り入れられている。しかし、アレルギー、感染症、噛み付きなどの理由で、病院や高齢者施設などでは動物の導入が困難な場合も多い。

海外では、セラピー効果と介護にかかる社会コストの抑制という利点から、介護福祉施設などで「パロ」の導入が進んでいる。写真はスウェーデン、カロリンスカ病院小児病棟で行われている「パロ」によるロボット・セラピー。

パロのセラピー効果に期待し介護福祉分野で導入が進む

インタビューの前に拝見した日本のテレビ番組では「アメリカを救うハイテク介護」と題してアメリカの高齢者施設でのパロをレポートしていましたが、とくに印象的だったのは施設に住む高齢の女性が「パロはほかのどんなものよりも可愛い、一番の友だちだ」と言ってパロを抱きかかえていたシーンです。

柴田

とてもロボットというイメージはないでしょ。そのおばあちゃんにとってパロはまさに生きものなんですね。身体を撫でてやると可愛い声で喜んだり、気持ちよさそうな表情をします。それに頻繁に呼ばれる名前を自分の名前として学習して覚えます。強い光があたると眩しそうにするし、抱かれたり仰向けにされたりするのも自分で分かります。そうした飼い主とのふれあいをパロは学習し、優しくされれば優しい性格に、乱暴にされると怒りっぽい性格にもなるのです。

高齢者を対象に行った尿検査によって、ストレスが減少する生理的効果が確認されているほか、認知症患者の脳波計測では、ロボット・セラピーが患者の脳の活動状態を改善することを確認されている。さらに、介護者のバーンアウト(心労)の減少も確認されている。

反応や仕草はとても機械的に動いているとはおもえないほど自然ですね。

柴田

開発をはじめて17年、現在のパロは初代から数えて8世代目です。開発当初からペットの代替とセラピー効果という二つの視点で改善、改良を進めて来ました。国内外の病院や介護福祉施設などで実証実験を繰り返して、より動物に近い自然な振る舞い、より安全で安定があって信頼性の高いパロに進化させてきました。キャラクターをタテゴトアザラシの赤ちゃんにしたのは、ひざに乗せられて、隣に置いて可愛い、気持ちのよいさわり心地、そんな条件にかなったのがタテゴトアザラシの赤ちゃんだったのです。それに、犬とか猫だとあまりに身近すぎて本物とどうしても比較されて違和感を感じてしまいますが、タテゴトアザラシの赤ちゃんだと普通は比較しようがないからです。くわえて、「慣れと飽き」といった人間的な非常にファジーな問題点も研究し、この8世代目のパロは完成度が高いと思っています。

だからこそ、それだけセラピー効果も期待できるわけですね。

柴田

小児病棟の子どもたちにパロをふれさせたら、子どもたちが治療に積極的になったとか、言葉も発しなかった高齢者にパロを見せると手を伸ばしてパロに呼びかけたりした事例のほか、アメリカの医療機関での実証データではうつ病患者が半減したとか、認知症患者の問題行動が減少したとか、あるいは尿検査の結果、患者のストレスが低減したり、脳波測定で認知症患者の脳の活動が活発になったというデータが報告されています。

そうした海外での実証がはずみとなって、個人購入が多かった日本でも今後は介護福祉施設などでパロによるロボットセラピーが普及していきそうですね。

柴田

そうですね。これから本格的にそうなっていくのではないでしょうか。パロのセラピー効果がより多くの方々の心を豊かにできることになるというのは、開発者として一番大きな喜びでもあります。

ところでロボットセラピーとしてのパロはまだ進化しますか。

柴田

はい。目下の開発課題は、セラピー効果をさらに高めるために、対象と目的をより絞り込んで自閉症や認知症ほかの症状ごとにスペックをスペシャライズしています。

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メンタルコミットロボット パロ

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