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免荷式リフトPOPOを利用すれば、転倒防止で安全なリハビリテーションができます。

事例紹介

医療法人錦秀会 阪和記念病院【大阪府大阪市】

取材日:2014年2月25日

免荷式リフト POPO 導入概要

導入時期 2013年
導入理由 急性期におけるリハビリテーションの可能性
リハビリテーションスタッフ PT・5名
症 例 脳出血、脳梗塞などを発症した急性期の方
導入後の変化 早期の訓練で麻痺等に急激な改善が認められた例があったなど

大阪府大阪市●第二次・第三次救急指定病院 ●診療科:内科・循環器科・外科・心臓血管外科・脳神経外科・放射線科・麻酔科・人工透析部

急性期リハで早期立位から早期離床へ

免荷式リフトを備えた「POPO」は、回復期リハビリテーションの歩行訓練で成果を上げ、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)から「これまでにない歩行訓練ツール」との高い評価を得ている。その利点は、免荷リフトで体を持ち上げ、ハーネスで骨盤からしっかり身体を支え、下肢にかかる体重を分散、調整し、患者さんは転倒の不安感なく安心して自由に歩くことができる上、コンパクトで使用する場所を選ばず、ハーネスの装着やリフトの操作も簡便だという点だ。

そこが従来の歩行器と異なる大きな特長で、POPOを使用することで「患者さんの、歩くことへの心身両面の負担がなくなり、歩行訓練への意欲と積極性が訓練に好結果をもたらしている」と、そのリハビリ効果を指摘するPTも多い。そうして、回復期リハの現場でPOPOは実績を重ね、いまや「リハビリ医療の即戦力」としてPOPOを導入するリハビリテーション病院が相次いでいる。

そんななかで、POPOを積極的に「急性期リハビリテーション」で活用しているのが、住吉区の第二、三次救急指定の阪和記念病院。2013年にPOPOを導入した同病院では、救急搬送された脳卒中や脳梗塞などの重篤な患者さんを、術後まもなくからPOPOを用いた急性期リハを実施し、早期立位、早期離床を進めている。その臨床事例は『脳卒中急性期リハビリテーションにおける新たな試み』というタイトルで学会でも報告され、出席者の注目を集めた。


阪和記念病院のHCU(高度治療室)。患者さんの状態によってはHCUでもPOPOを使用する。

急性期リハへのPOPOの活用を決めたのはリハビリテーション科部長の小山隆医師とリハビリテーション部のスタッフ。脳神経外科医でリハビリ専門医の小山先生は、その試みをこう話す。「脳卒中のリハビリはできるだけ早いほうがいいんです。『脳卒中治療ガイドライン2009』でも推奨グレードA。重症患者ほど廃用症候群も進行しやすく、早くに座位や立位を実施するように勧められています」。

にもかかわらず、急性期リハへの取り組みは諸々の事情で進まないのが現状だ。重症患者は意識障害、高次脳機能障害、重度の麻痺や感覚障害など複数の障害が混在する上に点滴や呼吸器のチューブや諸々のライン類も多く、早期リハビリにはリスクも伴う。それに、体格の大きな患者さんの場合は何人もの介助が必要で、転倒する危険性も無いわけではない。そんな事情で、脳卒中の現場ではリハビリがはじまるのに時間がかかる。

そうして「結局、回復期の病院に行ってからというのが現状です。でも、患者さんの状態さえ安定していれば、リハビリはやはり早いほうがいいのです」と小山先生は言う。POPOの特長と機能は急性期リハの課題に応えうるものだった。「これなら安全に、介助の人手も少なく、ベッドサイドでもどこでも、体幹の弱い重度の患者さんでも正しい立位保持ができる」と話すのはリハビリテーション部の海瀬一也課長だ。

海瀬課長はこうも話した。「私たちの使命は、患者さんの機能回復に努めることです。だから患者さんのプラスになることなら、まず使ってみる、試してみる。可能性を見いだせるなら機械でもどんどん取り入れていくべきだと考えています」と。

そうして最初にPOPOによる急性期リハに取り組んだのが50歳の男性、Sさんだった。

POPOが急性期リハのスタイルを変えた

Sさんは『脳卒中急性期リハビリテーションにおける新たな試み』で発表の対象となった患者さんだ。POPOによるリハのリーダーで、臨床報告書をまとめたのはリハビリテーション部の徳田和宏係長。報告書を引用しつつ急性期リハの経過を簡単に紹介すると、Sさんは身長182㎝、体重94kg。症例は右被殻出血で入院時の「Japan Coma ScaleⅢ-100、National Institutes ofHealth Stroke 29点」。開頭血腫除去術後、1日目から人工呼吸管理で鎮静中のSさんに通常の理学療法を開始。Brunnstrom Recovery Stage上肢Ⅱ・手指Ⅱ・下肢Ⅱ。バイタルサインが安定した術後7日目から端座位訓練をはじめ、術後12日目からベッドサイドでPOPOによる立位訓練を行った。バイタルサインに問題なく、3分程度の立位を保持。

その後、回数と立位保持の時間を徐々に増やし、POPOによる訓練2日後には下肢麻痺が急激に改善し、Br.Stage上肢Ⅱ・手指Ⅱ・下肢Ⅳとなる。さらに訓練を続け、術後26日目からはPOPOを用いず、通常の立位訓練と歩行訓練をはじめる。そうして術後41日目にはBr.Stage上肢Ⅴ・手指Ⅴ・下肢Ⅵにまで改善し、笑顔がよみがえったSさんは回復期リハビリテーション病院への転院となった、というのが経過のおおよそだ。

徳田係長は「意識障害や高次脳機能障害、重度の麻痺で従来なら不可能と思われた超早期立位もPOPOを用いれば安全に実施できる可能性があることが分かりました。Sさんのように体格が大きく体重の重たい患者さんでもセラピストの負担は少なく実施できます。これまでならできなかったことです」と話す。

事例を発表した学会でも、一番に「何人で行いましたか?」と質問され、「2人いれば十分」と答えると全員が驚いたそうだ。それほど、急性期リハに要するセラピストの人数には「意味があるのです。ほかの患者さんに人を回せますから」と徳田係長。POPOによる急性期リハはすでに約50例以上になり、徳田係長はその記録を取り続けている。

2人の患者さんがちょうど病棟でPOPOによるリハを行うところを見学した。いずれも脳梗塞で、1人は発症から9日、もう1人は発症から約3週間。身体にはチューブやラインがついている。ベッドサイドの狭い場所で小柄な女性と男性の2人のPTだけで、患者さんを容易に立たせた。患者さんは姿勢よく立位を保持。「POPOだからできるんです。でなければ、患者さんを立たせて姿勢を保持することは大変なことです」と、若い男性のPTはそう話した。

そして傍らの海瀬課長はこういった。「POPOで急性期のリハのスタイルが変わりました」と。臨床事例は近くまた学会で発表する予定で、今後もさらに症例を重ね、実施方法や効果の検討を進めていくという。小山先生も、海瀬課長、それに徳田係長もPOPOによる急性期リハの効果を実感。ちなみに『脳卒中急性期リハビリテーションにおける新たな試み』は「重症患者に対して安全かつ安定した立位が実施でき早期機能回復や予後の改善が期待できる」と結んでいる。急性期リハにおける新たな可能性を指し示す事例だ。

※Brunnstrom recovery stage(ブルンストローム・リカバリー・ステージ)
脳卒中の運動麻痺の回復過程を判断するための尺度。
6段階のローマ数字で表され、値が大きいほど正常に近い運動が可能であることを示す。

リハビリテーション科部長の小山隆医師「POPOによって脳卒中の重度の患者さんでも早めに安全にリハビリがはじめられるというのが一番の利点です」。

リハビリテーション部の海瀬一也課長。「状態を見極め、不安定な人でも早く安全に立位できるようにするのが私たちの役割です」と話す。

患者さんによって異なるが、3~5分ほどの立位保持を1セットとし、3セット程度を実施する。コンパクトなPOPOであれば病室のベッド脇で実施できる。

POPOの免荷リフト機能により、少人数でも安全に立位保持を実施可能。マンパワーの効率化にも貢献している。

リハビリテーション部の徳田和宏係長。「今後はさらに多くの症例データを解析し、統計的にもPOPOの有用性を証明していこうと考えています」と話す。

阪和記念病院のPOPOチームのPTの皆さん。写真右より橋本亮 太主任、山林優莉子さん、行光 未希さん、寺尾真悟さん。

阪和記念病院における急性期患者に対するPOPO活用例の一部

性別 年齢 疾患 POPO
開始まで
身長/体重
(cm/kg)
Brunnstrom recovery stage 転帰
リハ開始時 POPO使用後
上肢 手指 下肢 上肢 手指 下肢
50 脳出血 12日 184/94 回復期
85 脳出血 19日 173/38.3 療養病院・
施設
66 脳出血 3日 170/84 回復期
72 クモ膜下
出血
44日 174/54.5 入院中
77 脳梗塞 9日 168/59.2 回復期
80 脳出血 10日 130/27.3 療養病院・
施設
76 脳梗塞 4日 157/58.7 回復期
79 脳梗塞 4日 156/47.4 療養病院・
施設
81 脳梗塞 7日 163/60.8 療養病院・
施設
69 脳梗塞 9日 170/51.5 回復期
81 脳梗塞 10日 153/61 回復期
84 脳梗塞 5日 160/61 回復期
50 脳出血 4日 170/67 回復期

※阪和記念病院の資料を基に作成

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