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スタッフからの現地便り

爽やかな風が吹く、森の中の暮らし

  • 更新日:2012年09月03日
  • カテゴリ:自然観察
爽やかな風が吹く、森の中の暮らし

※写真をクリックすると拡大します。

 阿蘇を訪ねたのは、5月の下旬。爽やかな初夏の風が吹く頃でした。
 阿蘇一の宮リゾートは、Ⅰ・Ⅱ街区とⅢ街区の2箇所に分かれています。今回は取材にお邪魔したお宅のあるⅡ街区から歩き始めることにしました。

まずは、南西の突き当たりへ。ここは家と樹の間から牧草地が見えるので、のんびり草を食む牛が見えるかな?と向ってみましたが、残念ながら牛はいませんでした。引き返そうとしたところ、林の中でガサゴソと音がしたので、目をこらすと、オーナーさんとの話に出てきたニホンアナグマのお尻が。鼻を草の間に突っ込み餌を探しているのか、少し近づいても気がつきませんでしたが、写真が撮れる角度に移動したところ、気づいて逃げてしまったので、残念ながら写真を撮ることはできませんでした。

 歩き進むと、林の下で白いブラシのような物が風に揺れているのが目に入りました。近づいてみると白い糸が集まったような姿をしているシライトソウです。道路沿いの斜面で、すっと伸びた茎の上に黄色い花を数個つけているのはオカオグルマです。ツワブキの花の咲き方によく似ていますが、葉の形は全く違い、細長い形をしています。
 空き地に生えているセイタカアワダチソウの茎には、赤いアブラムシがたくさんついていました。セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシのようです。葉の裏ではアブラムシの天敵ナナホシテントウが。天敵のアリがいないので、ゆっくり食事中というところでしょうか。

  
■左:シライトソウ(白糸草) ユリ科シライトソウ属
本州(秋田県以南)から九州山地の林内に生育する多年草。5~6月に15~50cmの花茎の先に白い花をブラシ状につける。花弁は先端が太く、6枚だが下の2個はごく短い。花弁が細いことから白糸とついた。周辺に何株かあったが、どれも花穂が短かったので、咲き始めたところか。
■中:オカオグルマ(丘小車、岡御車) キク科キオン属
本州から九州の日当たりのよい草地に生育する多年草。4~6月に20~60cmの茎の上に黄色い花をまとめてつける。茎につく葉は少なく、下部に集中する。よく似たサワオグルマは湿った場所に生育し、オカオグルマに比べ茎に葉が多い。オグルマ(キク科オグルマ属)に花が似ていて日当たりのよい草地に生育することからついた名。オグルマは花の形が牛車の車輪に似ていることから。
■右:セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシを食べるナナホシテントウ
・セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ:カメムシ目アブラムシ科
春から秋、本州から九州でセイタカアワダチソウにつく赤いアブラムシ。北アメリカ原産
・ナナホシテントウ:コウチュウ目テントウムシ科
本州から沖縄に分布。成虫で越冬し、春から秋に活動する。赤から橙色の地に黒い紋が七つ。肉食でアブラムシを食べる
 鮮やかな紅紫色のノアザミは、パフのような花と刺が痛そうな葉で目を惹きます。花の形がアザミによく似ていて小さいものもあります。こちらはキツネアザミです。アザミとつきますが、属が違い葉に刺はありません。
 Ⅰ街区へ向う途中、前回は草や低木で通れるのか分からなかった道に車の通った跡があったので、歩いてみることにしました。早速薄暗い林の中で収穫が。ハナイカダの葉の上にまだ緑色の実がちょこんと乗っています。中には3個乗っているものもあり、肩を寄せ合って乗っているようで、微笑ましくなりました。
 Ⅰ街区の明るい林の縁ではカラスビシャクが花茎を立ち上げていました。テンナンショウの仲間によく似ていますが、こちらはかなりスマートです。
 続いてⅢ街区へ。少し離れているので、Ⅲ街区へは車で移動することになります。ここの魅力は何といっても四方に眺望がきくことではないでしょうか。阿蘇五岳の高岳や根子岳をはじめ、遠くには九重連山も望むことができ、世界最大級のカルデラの雄大さを実感できます。いつも「阿蘇は青空が似合う」と感じるのは、この眺望からでしょう。今回も、樹々の緑、山の緑、そして青空の組み合わせが、美しい景色を見せてくれました。
   
■左:ノアザミ(野薊) キク科アザミ属
本州から九州の山野に生育する多年草。5~8月に紅紫色の花を茎の枝先に上向きにつける。まれに白色の花もある。葉には鋭い刺が多い。花の下の膨らんだところは粘る。他のアザミは初から秋にかけて咲くので、春から初夏にかけて各地で見られるのはこのアザミ。名の由来は、山野で普通に見られることから。アザミは美しい花に惹かれて近づくと刺があるので、「あざむ」が転訛したという説や、「あざ」(刺を意味する)と「み」(実)からという説などがある。
■左中:キツネアザミ(狐薊) キク科キツネアザミ科
本州から沖縄の山里の道ばたや空き地などに生育する2年草。5~6月、枝先に紅紫色でアザミによく似た小さい花を上向きにつける。葉はやわらかく、葉や茎に刺はない。花がアザミに似ているが、よく見ると違うので、化かされたという意味でキツネとついた。 
■右中:ハナイカダ(花筏) ミズキ科ハナイカダ属
北海道南部から九州の湿り気のある林内に生育する落葉低木。雌雄異株。5~6月、葉の中央付近に黄緑色の葉をつけるのが特徴。雄花は3~5個、雌花は1個ずつつく。果実は8~10月に黒く熟す。花が葉の上に乗った姿を筏にたとえた名。写真は雌木なので、葉の上に花が1つずつついている。
■右:カラスビシャク(烏柄杓)別名ハンゲ サトイモ科ハンゲ属
日本全土の畑や畑のあぜ道に生育する多年草。葉は3枚の小葉からなり、3枚の葉の中央と葉柄の途中にむかごをつける。5~8月に立ち上がった花茎に花をつけるが、花に見えるのは仏炎苞と呼ばれ、ここから出ている紐状の付属体の元に雄花と雌花がある。仏炎苞を柄杓に見立て、人間が使う柄杓より小さいので、カラスとついた。別名は球根を乾燥した漢方薬名。
 きれいに草刈りされた道路沿いではムラサキケマンセイヨウミヤコグサなども花をつけていました。そして、今回多く目にしたのは、ハナウドとバラの仲間でした。ハナウドは、切れ込みの入った大きな葉の間から高く伸びた茎の上にたくさんの小さな花を傘状につけています。花をひとつひとつ見ると、外側の花弁が大きくV字形をしているのがわかります
  
■左:ムラサキケマン(紫華蔓) ケシ科キケマン属
全国のやや湿った林縁などに生育する2年草。4~6月、紅紫色の花を枝先に多数つける。葉は羽状に細かく裂ける。華蔓は仏前を飾る仏具で、これに花の形が似ていて、紫色をしていることからついた名。
■中:セイヨウミヤコグサ(西洋都草) マメ科ミヤコグサ属
ヨーロッパ原産の帰化植物。多年草。日当たりの良い道端や河原、海岸などに生育する。4~7月に蝶形の黄色い花をつける。在来種のミヤコグサは花を1~3個つけるが、セイヨウミヤコグサは3~7個で、葉や茎などに毛があることで見分けられる。ミヤコグサという名は京都に多かったことによるといわれる。
■右:ハナウド(花独活) セリ科ハナウド属
本州の関東地方以西から九州の沢沿いや、やや湿った林などに生育する多年草。5~6月に1~2mの茎の上に小さな花を傘状につける。ふちの花は内側の花より大きく、外側の花弁が大きく2裂する。葉柄の基はふくらむ。姿がウドに似るが花がきれいなことからついた名
 バラの仲間では、ナガバモミジイチゴが黄色い実、クサイチゴヘビイチゴは足元で赤い実をつけていました。
 ノイバラは満開。ナワシロイチゴは苗代を作る頃に実が熟すので名前が付けられたというのが通説ですが、実際はもう少し遅く熟すので、開いていないように見える、少し変わった花を見ることができました。
    
■左:ナガバモミジイチゴ(長葉紅葉苺) バラ科キイチゴ属
本州(中部以西)から九州の日当たりのよい山野に生育する落葉低木。4月に白い花を下向きにつける。果実は5~7月に橙黄色に熟す。葉がモミジのようで長いことからついた名。西日本でよく見られるキイチゴ。モミジイチゴは中部以北に生育する。
■左中:クサイチゴ(草苺)別名:ワセイチゴ、ナベイチゴ バラ科キイチゴ属
本州から九州の山野に生育する落葉小低木。4~5月に5弁の白い花をつけ、5~6月に果実が赤く熟す。樹高が草のように低いことからついた名。別名は、果期が早いこと、果実を採ると鍋のような形に見えることから。
■中:ヘビイチゴ(蛇苺) バラ科ヘビイチゴ属
日本全土の田の畦や道ばたなどのやや湿った日当たりのよい場所に生育する多年草。節から根を出して広がる。4~6月、5弁の黄色い花をつける。花弁の間から先のとがった萼片が見え、さらに下には3裂した副萼片がつく。葉は3個が1セット。果実はイチゴを丸く小さくした形。名の由来はヘビが出そうな場所に生えるから、食べてもおいしくなくヘビなら食べるのではないかなどの説がある。
■右中:ノイバラ(野茨)別名:ノバラ バラ科バラ属
北海道から九州の日当たりの良い林縁や原野、河原など分布する落葉低木。5~6月に枝先に芳香のある白い花を多数つける。果実は秋に赤く熟し、霜に何度かあたると甘くて香りが良い。沖縄以外のどこの山野でも普通に見ることができるので野薔薇と呼ばれている。
■右:ナワシロイチゴ(苗代苺)別名:サツキイチゴ バラ科キイチゴ属
日本全土の日当たりのよい山野に生育する落葉小低木。キイチゴの中でも多く見られる種。5~6月、紅紫色の花が上向きにつく。萼は開くが満開でも花弁は閉じたまま。苗代を作る頃に果実が赤く熟すのでこの名がついたが、夏にもできる。

 森林住宅地というと、犬を飼っているお宅が多いという印象がありますが、阿蘇ではのんびりと散歩している猫を毎回見かけます。今回も何匹かの猫に出逢いました。これもここの特徴のひとつでしょうか。

 今回は楽しみがもう一つ。近くにある仙酔峡のミヤマキリシマです。花のピークは少しすぎていましたが、それでも山一面を覆うように咲くミヤマキリシマは見事です。やっと花の時期に訪れることができました。

 
■ミヤマキリシマ(深山霧島)仙酔峡にて ツツジ科ツツジ属
九州の九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山など、主に標高1000m以上に生育する半常緑~落葉低木。4~6月、紅紫色の花を2~6個ずつつける。丈が低く、枝が密生する。
 最後に、中岳の火口に向かいましたが、火口周辺はガスの状況や風向きにより、立ち入りが規制されることがあります。この時も規制が掛かっていましたが、刻々と変わるということなので、ロープウェイ下の駐車場まで向かうことにしました。規制が解除されるのを待つ間、近くの草原を歩いていると、ここにもミヤマキリシマが咲いていました。近くにはハルリンドウも咲いていて、ゆっくり歩くといろいろな植物を見つけられそうです。

 
■左:ハルリンドウ(春竜胆)阿蘇ヘリポート付近 リンドウ科リンドウ属
北海道から九州の山野の日当たりのよいところに生育する2年草。3~5月に数本立ち上がった花茎の先に青紫色で鐘形の花をつける。リンドウは漢明から。春に咲くことからついた名。
■右:仙酔峡から見た高岳
標高約900mで眼下には阿蘇カルデラが一望できる。春にはミヤマキリシマが咲き乱れ、多くの観光客が訪れる。

 そろそろタイムリミットかな?と思っていたところ、規制が解除されたので、現在も活動している火山の一部を目の当たりにすることができました。ダイナミックな景色に圧倒されていると、また規制されてしまったため、追い立てられるように中岳を後にしました。
 
■阿蘇パノラマライン沿いに放牧されている馬たちと中岳火口

※上記写真はすべて平成24年5月撮影
 

  



鳥たちもくつろぐ、森の中の暮らし

 

担当スタッフ紹介

ガイド写真

自然観察指導員1級造園施工管理技士
グリーンアドバイザー

関口 亮子

群馬県前橋市出身、恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒業、現在「むろたに園芸研究所」勤務、設計、草花植栽、園芸講座講師を担当、特に自然風の庭造りを得意とする。

 

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