買換特例

買い換えの特例措置は課税を先送りする制度です

事業用資産を買い換えたときの特例措置

買換の特例措置は課税の免除ではなく、課税の一部を先送りする制度です。ある資産を売ってその代わりに別の資産を買ったとき、本来なら売った段階で譲渡所得の税金を払わなければなりません。しかし譲渡所得の税金の一部をとりあえず棚上げして、「代わりの資産」を買ったときに支払うというのがこの制度です。買換の特例を受けた資産の取得費は低くなりますが、将来、この資産を売却しなければ、棚上げされた譲渡所得の税金分は払わなくてよいこととなります。

譲渡する資産、買い換える資産の条件

この制度を使うには、事業用資産を売却して代わりの事業用資産に買い換えることが大原則です。しかし、どんな事業用資産でも特例を受けられるというわけではありません。譲渡資産、買換資産ごとにいろいろな条件があります。特に右記の1号買換、9号買換の条件を参照してください。

繰り延べられるのは80%のみ

事業用資産の買換では、繰り延べられるのは80%のみで、譲渡所得の20%相当額については税金を払わなければなりません。

買換特例を使うと減価償却が少なくなる

買い換えた事業用資産の減価償却のもとになる取得価額は、売却した資産の取得価額をベースに計算するため、実際の買値より低い金額になります。実際の買値より低い金額をもとに減価償却をするということは、買換をしなかった場合に比べて減価償却が少なく計上される→その後の不動産所得が多くなる→税金が高くなる、ということになります。つまり繰り延べされた譲渡所得の代わりに、不動産所得の税金が増え、繰り延べ分が少しずつ取り戻される仕組みになっているというわけです。

1号買換(既成市街地等の内から外への買換)

既成市街地等の中にある事業用資産を売却し、既成市街地等の外の事業用資産に買い換えた場合に適用されます。売却する資産は土地や建物、買い換える資産は土地、建物、構築物、機械装置です。ただし、取得の日から1年以内に事業に使うことが条件となります。

4号買換(長期所有の土地・建物から、土地・建物への買換)

国内にある事業用資産を売却し、国内にある事業用資産に買い換えた場合に適用されます。売却する資産は土地や建物、構築物、買い換える資産は土地、建物、構築物です。ただし、取得の日から1年以内に事業に使うことが条件となります。

※4号買換については、平成27年度税制改正により、一部の課税繰延べ割合が引き下げられました(①東京23区および首都圏近郊整備地帯等から東京23区内への買換え→70%、②東京23区および首都圏近郊整備地帯等を除いた地域から首都圏近郊整備地帯等への買換え→75%)。なお、この引下げは、地域再生法の改正施行日(平成27年8月10日)以後の買換えから適用となります。