ケーススタディ
株式会社アイデン様
（石川県金沢市）

「一貫生産体制」を海外でも実現。従業員の快適さを追求した新工場。

株式会社アイデン様は、空調設備やエスカレーター、産業機械などあらゆる機械設備に使われる「機械の頭脳」、制御盤のメーカーです。1971年に創業された同社は、分業が一般的な制御盤業界内では珍しく、「一貫生産体制」にこだわられています。設計から板金・塗装、組立にいたるまでのあらゆる製造工程を一手に引き受け、最近では、ロボットやIoTなどの領域に進出しています。同社代表取締役の池内社長は、創業以来培ってきたノウハウを最先端のシステムへと変換し、効率的な生産体制を築いています。

世界中の企業が競争相手となっているいま、ものづくりの現場での労働力確保や拠点の増設、生産性の向上は常に重要な課題です。同社は、一般的な制御盤の製造工程では、熟練した職人の能力や経験に依拠するところが多い製造工程を標準化しました。まず、独自のシステム「IWS(アイデン・ワイヤリング・ソリューション)」を構築。職人の頭の中にある作業手順や配線図面をCADで見える化し、モニターに表示される手順にしたがって手を動かせば、誰でもベテラン職人と変わらぬ作業ができる体制を作り上げました。同様に、職人の技能が要求される板金でも、溶接不要の新工法「WELDLESS工法」を考案。作業工程の簡素化と、品質の安定、作業時間の短縮や低コスト化を実現。2017年からは、ドイツのシーメンス社とオフィシャルパートナー契約を結び、IoTオペレーティングシステム「マインドスフィア」のショールームを金沢工場内に開設しIoTソリューションの先駆けとなる事業モデルを提示しています。

ベトナム南部ドンナイ省ザンディエン工業団地内に完成した現地工場は、昨年11月に開所しました。ベトナム工場は作業員の視点に立って、快適さと清潔さを追求。明るく外光が差し込むモダンなエントランス、エアコン完備の広々とした食堂など、隅々まで配慮が行き届いています。同社は優れたIT技術を駆使し、「作業に必要なデータさえ準備しておけば、世界中のどこに生産拠点を設置しても生産が可能となる」と確信してきました。ベトナムでの制御盤の一貫生産ができる体制を整備、日本国内の生産拠点は大型案件や新規案件の制作などに絞り、比較的納期が長い案件やリピート品の生産をシフトさせ、生産コストの削減、リピート品の納期短縮を実現しています。また、工場そのものをものづくり現場の「ショールーム」と位置づけ、板金や塗装などを中心に、現地での新規案件の引き合いも増えているといい、ベトナム工場単独での黒字化に向け勢い付いています。

日本と変わらない品質で一貫生産ができる新工場が完成しました。

株式会社アイデン　代表取締役社長　池内保朗様

現地に新たに生産拠点を設けるにあたって、日本と同等のクオリティの建物にしたいと思いダイワハウスベトナムにご相談しました。ベトナムでの工業団地の販売から建築請負までしているノウハウから、候補地選びや現地ライセンスの取得などのコンサル面でも様々なアドバイスを頂き、2017年に土地を購入してから、約1年半で自社工場を手に入れられました。竣工後の6カ月点検でも手厚いフォローで困りごとにもすぐに対応頂き、安心感を覚えています。要望した通り、従業員にとって居心地のいい空間が実現。現地社員のコミュニケーションも活発で、和気あいあいとした雰囲気です。これからの時代、技術はどんどん国境を越えていくべきだと考えています。日本で育まれた技術がベトナムの発展や、現地従業員の幸福につながれば幸いです。新工場でもＩＴ技術を駆使したモノづくり体制をより洗練させ、日本とベトナムの両輪で、世界に通用するものづくりのありかたを深めていきます。