改正「物流効率化法」が
2026年4月から新たな段階へ
企業における「物流2026年問題」とは

2026/03/23

  • #物流効率化法
  • #物流2026年問題
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さまざまな産業で少子高齢化による労働力不足が課題となる中、物流業界においては、ドライバーの長時間労働、燃料費や人件費の上昇による配送コストの高騰など、構造的な問題が長年続いてきました。これまでは、物流関連企業において、自社の課題として自主的な取り組みや現場での工夫や改善が行われてきましたが、業界全体としての対策はまだまだ十分とは言えない状況でした。そこへ働き方改革関連法の施行による「2024年問題」も加わり、さらに、輸送能力の低下や物流コストの上昇、労働力不足の課題が大きくなりました。

こうした背景の中、物流効率化を業界全体で進める制度として見直されたのが「改正物流効率化法」です。物流業界で特に問題となっている、荷待ち時間や多頻度小口配送の増加に対して具体的な措置が取り上げられています。この法改正は、まず、2025年4月からすべての物流事業者に対する努力義務として施行されました。

そして、2026年4月からは一定規模以上の事業者に対し、物流業務の管理体制が問われることになりました。単なる物流業務上の対策ではなく、物流データの把握、社内の役割分担の明確化、計画的な改善といった経営レベルでの関与が必要となったのです。

物流の2026年問題とは

物流の2026年問題とは、2026年4月に本格施行される「改正物流効率化法」(物資の流通の効率化に関する法律)による、荷主・物流事業者に対する規制に関する問題のことです。

改正物流効率化法は、2025年4月と2026年4月の2段階で施行され、2025年4月からは「すべての物流事業者に対する努力義務」、2026年4月からは「一定規模以上の企業に対する法的義務」が課されることになりました。対応が不十分な場合は、行政措置もあります。

【2026年4月1日施行 特定荷主に対する義務】

改正物流効率化法では、物流全体への寄与がより高いと認められる事業者を特定事業者として指定し、2026年4月から中長期計画の作成や定期報告の義務を課しています。

特定事業者とは、年間の取扱い貨物重量が「9万トン以上」になる荷主、貨物の保管量ベースで「年間で70万トン以上」、特定貨物自動車運送事業者については、保有車両の台数ベースで「150台以上」が選定の基準値となっています。貨物自動車運送事業法や省エネ法などが定義する「特定荷主」とは異なる点に注意が必要です。

具体的には、以下のような対策が求められます。

物流量・主要指標の把握と報告

特定事業者は、指定を受けた翌年度以降の毎年度、「努力義務」の実施の状況に関して、以下の事項を報告する必要があります。

  • 事業者の判断基準の遵守状況(チェックリスト形式)
  • 関連事業者との連携状況等の判断基準と関連した取組に関する状況(自由記述)
  • 荷待ち時間等の状況(荷主・連鎖化事業者・倉庫業者)

特定事業者は、報告のためには計測が必要であり、計測に当たっては、デジタル技術の活用等により効率的な把握を実施し、より多くの施設における物流改善につなげていくことが望ましいとされています。

物流統括管理者(CLO)の選任

特定荷主及び特定連鎖化事業者は、物流統括管理者(CLO :Chief Logistics Officer)の選任が義務付けられています。要件として、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者(重要な経営判断を行う役員等の経営幹部から選任される必要があります)となっており、業務内容として、以下の内容が定められています。

  • 1. 中長期計画の作成
  • 2. トラックドライバーの負荷低減と輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成と事業管理体制の整備
  • 3. その他トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務

つまり、物流統括管理者には、物流全体の持続可能な提供の確保に向けた業務全般を統括管理する役割が求められます。

中長期計画の策定と実行

特定事業者は、「運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加」、「運転者の荷待ち時間の短縮」、「運転者の荷役等時間の短縮」に関する具体的な目標や内容、実施時期などが記載された中長期計画を策定し、継続的に実行することが求められます。毎年度提出することを基本としつつ、中長期的に実施する措置を記載することを踏まえ、計画内容に変更がない限りは、5年に一度提出することとなります。

対応しない場合の措置

改正物流効率化法では、対応が不十分な場合の行政措置の流れも定められています。

  • 1. 国からの勧告
  • 2. 勧告に従わない場合の公表
  • 3. 正当な理由なく改善しない場合の命令
  • 4. 命令違反時には最大100万円の罰金

物流の2026年問題に向けて、企業はどのような対応をとるべきか

物流の2026年問題は一見すると、企業が負うべき新たな負担ともとられがちですが、企業にとっては、自社のサプライチェーンにおける物流の在り方を再構築する機会です。また、これまで企業が対応してきた物流の効率化として対応してきた、モーダルシフトやデジタル化等への推進は、より強化する必要があります。

共同配送・モーダルシフトの活用

環境負荷やドライバー不足の対策として、共同配送やモーダルシフトが注目されていますが、物流効率化においても効果のある対策と言えるでしょう。

共同配送は複数の企業が協力・連携して配送を行いますので、トラックの稼働率、積載率の改善にもつながります。モーダルシフトは、トラックから鉄道や船舶の活用へ切り替えることで、ドライバーの負担軽減に直結する取り組みとなります。

DXの導入による物流の最適化と業務改善

今回の改正で義務付けられた物流量・主要指標の把握には、IT・デジタル技術を欠かすことはできませんし、業務の在り方を抜本的に見直すDXへの取り組みも必要となるでしょう。管理者は、リアルタイムで状況を把握し、見える化を図る必要があり、非効率な事態があれば、すぐに対策をとらなければなりません。AIやIoTなどのデジタル技術の活用によって、ドライバーの状況を倉庫側でリアルタイムに把握できたり、トラックバースの予約システムが稼働できたりすれば、荷待ち時間の短縮につながりますし、さらにAIによる需要予測が精度を増せば、物流業務の効率化には非常に有効でしょう。システムの導入には投資が必要ですが、長期的にはコスト削減や業務効率化につながります。

「経営課題」としての対応

物流の2026年問題は、単なる法改正対応ではなく、物流を経営課題として捉え直す転換点です。中でも、物流統括管理者を選任することを義務付けられたことは、大きな転換と言えるでしょう。経営視点の意識を持ったロジスティクスを統括する物流統括管理者としての役割が期待されています。事業における物流業務は、顧客への配送だけではなく、開発、生産、流通、販売、調達、在庫管理など、サプライチェーン全体に存在するものです。事業者としてさまざまな「物流」(ものの流れ)を綿密に連携させながら、各部門間の連携体制の構築及び関係部門の意識の向上を図っていく必要があります。社内だけではなく、取引先、顧客も含めた関係構築も必要です。
物流の2026年問題を契機として、早期に現状を把握し、体制づくりと改善に着手することが、将来の競争力強化につながるでしょう。

参考:国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト

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