大阪湾岸の冷凍冷蔵インフラは逼迫中。
なぜ神山運輸は「6倍の最新拠点」へ勝負に出たのか?
2026/06/22
2026/06/22
2026年5月、大阪市住之江区にて、マルチテナント型物流施設「DPL大阪南港Ⅰ」の現地内覧会が開催されました。

近年、EC市場の拡大や食品物流の多様化を背景に、保管機能や配送効率、立地条件も含めた総合的な物流機能が求められており、冷凍冷蔵設備を備えた物流施設へのニーズがますます高まっています。こうした状況の中、大和ハウス工業では冷凍冷蔵物流施設の開発を進めてきました。
「DPL大阪南港Ⅰ」は、2026年7月竣工予定の冷凍冷蔵機能を持つ物流施設です。西日本の低温物流を支える重要な物流拠点である大阪湾岸エリアに位置し、大阪市内からも約10km圏内。輸送拠点・中継拠点の両面で適した立地となっています。

5月12日に開催した「DPL大阪南港Ⅰ」現地内覧会の様子
DPL大阪南港Ⅰは、阪神高速湾岸線の最寄り「南港中IC」まで約1km、南港フェリーターミナルまで約1kmと、広域輸送に適した立地にあり、南港には九州・四国・沖縄方面へのフェリー航路が集まっていることから、近年物流業界で進むモーダルシフトへの対応という面でも注目のエリアです。
また、Osaka Metro南港ポートタウン線「南港口」駅から徒歩2分と、公共交通機関でのアクセスが良く、人材確保の面でも優位性が期待されています。さらに、周辺にはトラックメーカーの工場がここ数年で相次いでオープンしており、車両メンテナンスの面でも利便性の良い環境が整っています。
DPL大阪南港Ⅰは、単なる物流機能にとどまらず、働く人や来訪者にとっても快適な環境が整っています。デザイン性の高い内装に加え、休憩にも利用しやすいラウンジスペースを設置。トラック待機スペース12台分に加え、ドライバー待機場も完備されており、配送業務を支える人の過ごしやすさに配慮しています。


ラウンジ 完成予想図
低温施設の課題である「結露対策」においても、除湿機、搬送ファンでの除湿、二重壁空間による水抜きなど、庫内・事務所ともに徹底的に対策を施しています。
また、トラック予約受付サービス「MOVO(ムーボ)Berth」が標準装備されていることも大きな特徴です。「MOVO Berth」は、株式会社Hacobuが提供するクラウド型の物流DXツールで、トラックの予約受付や待機時間削減、配送状況の可視化などを通じて、物流現場の業務効率化を支援します。入居テナントは基本機能を無料で利用でき、スマートフォンによる受付や呼び出しにも対応。受付業務や車両待機の負荷軽減など、物流現場のオペレーション改善につながります。
昨今増加傾向にある自然災害対策においても、元々宅盤レベルの高い土地にさらなる盛土と70mの杭で支持し、2系統電力引き込みと非常用発電機により停電リスク対策も行っています。
現地内覧会当日は、施設見学に加え、入居企業である神山運輸株式会社 神山 昌利氏による講演も実施されました。同社は1967年設立。愛媛県を拠点に、冷凍食品輸送をはじめとする低温物流事業を展開しています。小口混載輸送を強みとし、四国・大阪を中心に全国配送ネットワークを構築。2022年より大和ハウスグループに加わり、低温物流を担う企業として事業を拡大しています。

神山運輸株式会社 神山 昌利氏による講演
神山 昌利氏は講演の中で、まず、冷蔵冷凍倉庫の必要性を紹介しました。
近年、共働き世帯の増加や、外食や中食といった食生活の変化を背景に、冷凍食品市場が拡大しています。一般社団法人 日本冷凍食品協会のデータによれば、2014年に約9,900億円だった消費額は、2024年には約1兆3,000億円まで拡大。一方、その成長を支える保管インフラは逼迫しています。大阪・神戸エリアの冷凍倉庫は在庫量が高水準で推移し、倉庫はほぼ満床に近い状態です。新設倉庫も増えていますが、既存倉庫の老朽化も進行しており、需要の伸びに追いついていないのが現状です。
同社代表取締役社長の神山 吏氏はこうした状況の中、成長に向けた挑戦を決意しました。
当社(神山運輸株式会社)において、これまで冷凍事業の売り上げは四国中心でしたが、現在、最も業績が伸びているのは大阪南港の営業所です。そのため、南港エリアへ設備投資を行い、事業をさらに伸ばしていくことが当初の目標でした。将来の成長を見据えたとき、これまで当社が四国で築いてきた基盤は大切にしながら、大阪をただの一営業所ではなく事業のもう一つの柱として育てていく必要がありました。
現在使用している大阪南港物流センターはすでにキャパシティーの限界に達しています。成長し続けていくためには、大阪に今より広いセンターが不可欠でした。この取り組みを社内では「南港新センターロケットスタート」と呼び、移転に向けて約2年前から車両や人員を増やし、近隣に広大な駐車場を確保するなど、着実に準備を進めてきました。そこで、次の成長を目指すため、2022年に大和ハウスグループの一員となり、今回の移転を決めました。

左:神山運輸株式会社 代表取締役社長 神山 吏氏
右:神山運輸株式会社 社長室長 神山 昌利氏
神山 昌利氏は、DPL大阪南港Ⅰへの入居を決めた最大の理由は、「立地」だったと言います。
関西最大級の需要地の中心に位置する南港には、立地の良さがあります。大阪のかもめ埠頭周辺は昔から冷凍物流の中心地として発展してきました。古い冷蔵倉庫も多く、それだけ荷物が集まり続けてきた場所でもあります。そのため、移転を検討するにあたり、「南港から離れたくない」という思いが強くありました。
幹線輸送と地域配送の両方を担う当社にとって、DPL大阪南港Ⅰの立地は、輸送拠点としても中継拠点としても非常に大きなポイントです。近年の法改正により、ドライバーの労働時間に関する規制はより厳しくなっています。需要地に近い場所へ拠点を構えることは、輸送・配送効率だけでなくドライバーの労働時間削減にも直結します。こうした点からも、DPL大阪南港Ⅰはトラック輸送会社からも選ばれやすく、結果として荷物を集める競争力にもつながると考えています。
また、駅からの近さも決め手のひとつとなりました。大阪にはもう一つの物流拠点として北港エリアがあります。南港とは距離的には近く、物流業務では同じエリアになるのですが、働く方の生活圏という視点ではまったく別のエリアです。南港で働くスタッフには自転車で通勤する方も多く、北港エリアは駅から距離があるため、移転すると通いにくくなってしまう方もいます。DPL大阪南港Ⅰの最寄駅から徒歩約2分という立地は、人材確保においても大きなアドバンテージになると考えました。
神山 昌利氏は、DPL大阪南港Ⅰの設備についても高く評価しました。
施設環境の充実度も魅力でした。ラウンジやトラック待機スペースなど、設備も充実しており、今まで物流現場で働いてきた感覚からすると、かなり快適な環境です。物流業界はどうしても男性中心のイメージがありますが、この環境は女性スタッフにも喜ばれると思います。
また、トラック予約受付サービス「MOVO Berth」の基本機能が無料で利用できるのも大きなポイントです。入居を検討する段階では、入退場やトラック待機をどのように運用するか懸念がありましたが、「MOVO Berth」を活用することでこうした課題にも対応し、従来よりも効率的な運用が実現できると考えました。実際に、移転に合わせて2カ月ほど前から試験運用を行っていますが、非常に使いやすいシステムだと実感しています。これまでは待機車両が10台くらい並び、近隣からクレームが入ることもありましたが、「MOVO Berth」導入後は改善されました。
神山 吏氏は、移転に向けての思いを次のように語りました。
今回の移転はその第一歩です。ただ、DPL大阪南港Ⅰは現在稼働しているセンターの約6倍の規模になりますので、フル活用できるのはまだこれからです。当社の強みである冷凍小口混載便を、この施設を拠点に着実に伸ばしていきたいと考えています。今回のDPL大阪南港Ⅰへの移転は、単なる拠点拡大ではありません。物流は止めることのできない社会インフラです。だからこそ、荷主様をはじめ物流に関わる皆様とともに、DPL大阪南港Ⅰを起点により柔軟で品質の高い物流システムへと転換し、未来のサプライチェーンを作っていきたいと思います。
冷凍冷蔵食品のマーケットが拡大する中で、DPL大阪舞洲とDPL大阪南港Ⅰの竣工は、マーケットの拡大とスムーズなサプライチェーンの構築に向けて、ひとつの起爆剤になるのではないでしょうか。
今後のマーケットの拡大を見据えて、立地条件を満たした、高機能な設備を備えた物流施設へのニーズは、これからも継続しそうです。
関連リンク

「DPL大阪南港Ⅰ」概要

「DPL大阪舞洲」概要
ご相談・お問い合わせ
マルチテナント型物流センターへの入居から、
専用センター建設、
その他、
物流に関する課題など、お気軽にご相談ください。
物流センターへの入居 / 専用センターの建設 /
事業用地への新規進出