大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

物流拠点として注目を集める埼玉県

サプライチェーン構築を目指す物流拠点戦略への影響は

2026/08/24

  • #DPL
  • #ラストマイル配送

「大和ハウス工業は2026年3月、埼玉県深谷市でマルチテナント型物流施設「DPL埼玉深谷」を着工しました。2013年に三郷市で物流施設開発を開始して以来、本施設は県内60棟目となり、埼玉県は当社の物流施設開発数が全国で最も多いエリアとなっています。

※2026年2月28日時点。施工中の物件含む。

現在、全国で見ても物流施設の需要は、企業の堅調な実績やEC市場の拡大もあり、2026年に入っても堅調のようです。CBREの資料によれば、大型マルチテナント型物流施設の首都圏の2026年度新規供給は約52.5万坪となる中、大型マルチテナント型物流施設の新規需要は底堅く、特に複数階に接車可能な大型の先進的施設に対するテナントの需要は引き続き高いとしています。

堅調な物流施設需要の中でも、現在注目を集めている地域が埼玉県です。東京、神奈川など都市部の土地価格が上昇する中、コストの観点での開発のしやすさが大きな要因とは言えますが、それ以外にも埼玉県が注目を集める理由があるようです。

物流拠点としての埼玉県の優位性

・都心から東北、北陸へとつながる交通網の充実

埼玉県は、全域が都心から100km圏内で首都圏の中心に位置しており、関越自動車道・東北自動車道・東京外環自動車道・首都高速道路、圏央道など、全国へつながる高速道路網が集まっている利便性の高い地域です。

東京・神奈川・千葉といった人口密集エリアに短時間で配送できることに加えて、関越・東北・常磐自動車道がそれぞれ東西南北に縦断する起点となっていることで、東北地方や信越地方、茨城・福島方面へもスムーズな配送が可能です。また、圏央道・東京外環自動車道が東西に横断していることで、都市間を結ぶ機能を持つ地域となっています。特に圏央道は、東名高速道路・中央自動車道、海外からの玄関口である成田空港に至る東関東自動車道とも接続。鉄道網においても、大宮には、北海道・東北・秋田・山形・上越・北陸の各方面の主要都市と東京とを結ぶ多くの新幹線が通っています。

大和ハウス工業の手塚公英ロジスティクス推進室長は「埼玉県の持つポテンシャルは非常に高い。特に東北地方へと延びる東北自動車道、北陸へ延びる関越自動車道に加えて、圏央道、東京外環自動車道の存在は大きい」と高速道路による埼玉県の優位性を述べています。

・埼玉県は積極的に企業を誘致

埼玉県が企業誘致に非常に積極的であることも物流施設の活性化につながっています。埼玉県では県経済の持続的な発展につなげるため、県全体で企業誘致活動に取り組む指針を策定しています。

2005年1月に「企業誘致大作戦」を開始して以来、20年以上にわたり「オーダーメイドサービス」「クイックサービス」「ワンストップサービス」を基本理念として企業誘致を行い、2025年4月からは、新たに「埼玉県企業誘致戦略」を策定しました。2016年から2025年の10年間の企業の転入超過数(転入と転出の差)は539社となり、全国第2位の水準となっています。(帝国データバンク調査による)

また、物流の円滑化等に向けても活発な取り組みを行っています。物流業界の人材確保・定着に向けた「埼玉の持続可能な物流の確保に向けた共同宣言」を締結。持続可能な物流体制を構築していくため、荷主や消費者、関係団体等とも連携し、商慣行の見直しや物流業務の効率化、荷主と消費者の行動変容に向けて、ワンチーム埼玉で取り組んでいくとしています。

・低い災害リスク

埼玉県は地震や津波、台風などの自然災害による被害が少ない地域と言われています。例えば、1970年から2024年2月までの震度5以上の地震回数は11回(東京57回、茨城48回)と、関東1都6県の中でも、神奈川、群馬に次ぐ少なさとなっています。(気象庁 震度データベースより)

また、太平洋沿岸に比べ、津波の被害を受ける可能性は極めて低く台風の際も海からの暴風・高潮の影響が直接届きにくい地域と言えます。

・豊富な働き手

埼玉県Webサイト「統計からみた埼玉県のすがた 2026年版」によれば、埼玉県の人口は約734万4千人で、47都道府県内では全国第5位の人口規模を有します。昼夜間人口比率が87.6%と全国47位(昼間の人口流出が全国第1位)であることからベッドタウンとしての性質が強い点も大きな特徴です。(2020年国勢調査による)

人口も多く、労働人口の豊富さにつながっており、物流拠点で働く人材が自然と集まりやすいと言えます。EC関連の物流施設ではピッキングやこん包など多様な配送オペレーションが必要とされますので、周辺人口が多く、人材の採用面でも優位性を持っている地域となっているようです。

また、都心からの近さは、定期的な管理業務やトラブル対応などで倉庫現場に足を運びやすいという利点もあります。現場との距離が近いことで、改善スピードやコミュニケーションの質にも影響します。

埼玉県深谷市でマルチテナント型物流施設「DPL埼玉深谷」を着工

大和ハウス工業は2026年3月、埼玉県深谷市でマルチテナント型物流施設「DPL埼玉深谷」(平屋建て、延床面積1万1885.56m2)を着工、竣工は2027年3月31日を予定しています。

「DPL埼玉深谷」イメージパース

「DPL埼玉深谷」は、株式会社東芝深谷事業所の跡地の一部で開発を進める工業団地「DPI(D-Project Industry)埼玉深谷」内に建設されるもので、関越自動車道「花園IC」から約10km、国道17号(深谷バイパス)から約4kmの場所に位置しています。

渋沢栄一の生地としても知られる深谷市は、JR高崎線や秩父鉄道の各鉄道路線、国道17号を始めとする4本の国道が通る交通の要衝であり、県北の経済の一大拠点ともいえる地域です。

首都圏向けの配送効率向上のほか、北信越エリアへの中継・広域配送拠点としての機能に加え、北関東エリアの消費者をカバーするラストワンマイルの配送拠点として、運送会社を含めたEC関連企業からの注目を集めています。

ECにおいては、受注から配達までの時間は最重要課題のひとつです。埼玉県北部地域は、大きな消費地でもあり、EC企業が、地域における配送拠点として注目するのも当然なのかもしれません。

■施設概要

所在地
埼玉県深谷市幡羅町1-9
交通
関越自動車道「花園IC」から約10km、JR高崎線「籠原駅」から約2.3km、「深谷駅」から約3.1km
敷地面積
20,621.36m2(6,237.96坪)
延床面積
11,885.56m2(3,595.38坪)
賃貸面積
11,695.85m2(3,537.99坪)
構造・規模
S造、耐震構造、平屋建て
竣工予定日
2027年3月31日
取引態様
仲介
※本施設は契約済となっています

詳しくは、こちらをご参照ください。

埼玉県の重要性を再認識したうえで、今後の物流戦略の再構築も

ここまで紹介してきたように、埼玉県は、東京に隣接しながらも地価を含めたコストを抑えやすく、高速道路網が充実した優れた物流アクセス、低い災害リスク、そして手厚い行政支援といった強みのある地域です。

大和ハウス工業においても、今後、「圏央坂戸」「川越」「川口弥平」「和光北」、また、事業用地開発DPIとして「行田」など、交通網の拠点となりうる立地を中心に複数拠点での開発計画があり、今後ますます埼玉県での物流施設の開発は進みそうです。

※詳しくはこちらをご参照ください。

2026年4月から特定事業者への中長期計画や定期報告等の作成・提出が義務化される物流効率化法の改正によって、特に荷主企業においては物流戦略の再構築を検討するケースも増えています。物流オペレーションの効率化のための業務プロセスの見直しやDXの導入、トラックドライバー不足に対応する中継物流やモーダルシフトの検討、人件費や燃料費の高騰などによるコスト増への対策など、戦略再構築における課題はさまざまな領域に及びます。

当然、荷主側としては、サプライチェーンの拠点となる物流施設の選定にあたっても、こうした課題が解決でき、働き手の就労環境を考慮した上での施設であることが条件となってきます。

物流施設は、各社の物流戦略の違いや全国各地の特色を見据えた上で選択すべきことではありますが、首都圏でのビジネス展開、東日本全域での物流戦略を構築する観点から、今回は埼玉県に注目しました。多様な物流課題に対応できる立地条件は、今後の拠点選びとして検討する価値があると言えるでしょう。

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