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2025年08月29日
厚労省調査
ベア評価料による賃金増率、2年間で3.40% 目標の4.5%に届かず
「ベースアップ評価料」の対象職員の2024年度及び25年度の2年間の賃金増率は3.40%だったことが8月21日、厚生労働省が診療報酬調査専門組織・入院・外来医療等の調査・評価分科会に報告した調査結果から明らかになった。賃上げ促進税制などとの併用で4.5%の賃上げを実現することが目標だったが、病院団体の調査では税制の活用が進んでいないことが報告されており、目標値に届かなかった可能性が高い。
24年度診療報酬改定では、看護職員や病院薬剤師などの医療関係職種の賃上げのための措置として、「ベースアップ評価料」が新設された。届出医療機関の賃金改善計画書を集計した厚労省の調査結果によると、23年度を基準にした対象職員の賃金増率は24年度が2.69%、25年度が3.40%。「初・再診料」の引き上げで対応することになっていた職員の23年度と比較した25年度の賃金増率は、40歳未満の勤務医師が2.89%、事務職員が3.18%だった。
「外来・在宅ベースアップ評価料(I)」の届出、病院は約9割、診療所は約4割
診療報酬の算定状況をみると、「外来・在宅ベースアップ評価料(I)」の届出割合は病院が約9割、診療所が約4割だった。届出を行っていない病院の種別は、公立や医療法人立(社会医療法人を除く)、許可病床数100床未満の病院が多かった。「外来・在宅ベースアップ評価料(I)」の算定医療機関のうち約4%が、賃金増率が一定水準に満たない場合に上乗せ算定できる「同評価料(II)」の届出を行っていた。
一方、病院が「ベースアップ評価料」の届出をしていない理由で最も多かったのは、「届出内容が煩雑なため」だった。特に「入院ベースアップ評価料」と「看護職員処遇改善評価料」の両方を算定する場合は、それぞれについて賃金改善計画書・実績報告書の作成等を行わねばならず、事務負担が過重になっていることが推察される。
分科会の議論では「ベースアップ評価料」による賃金引き上げが目標に達していないことを多くの委員が問題視。医療関係者の委員からは24年度改定時の不足分の補填を含めた手当を次回改定時に行うよう求める意見や、「入院ベースアップ評価料」と「看護職員処遇改善評価料」を統合することにより事務負担の軽減を図るべきだとの意見が出た。
2025年8月21時点の情報に基づき作成