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事業を通じて被災地に貢献する~仮設住宅建設の取り組み~

【DASH プロジェクトInterview】「全社一丸となって、被災地の復旧・復興に取り組んでいきたい」

応急仮設住宅DASHプロジェクト 統括者 理事 浅井 克典

宮城県DASHプロジェクト責任者 本部長(東京駐在施工推進部) 平間 裕

宮城県DASHプロジェクト工事担当者 主任(山形支店建築工事課) 佐藤 淳一

【DASH プロジェクトInterview】「全社一丸となって、被災地の復旧・復興に取り組んでいきたい」

【DASH プロジェクトInterview】「全社一丸となって、被災地の復旧・復興に取り組んでいきたい」

【DASH プロジェクトInterview】「全社一丸となって、被災地の復旧・復興に取り組んでいきたい」

■震災時の状況

浅井:震災時は中国におり、天津から北京への移動途中で報告を受けました。「今本社が大変揺れています」「津波が仙台空港を襲っています」と日本にいる部下から切迫したメールが次々届き、あの仙台空港が津波に巻き込まれるとは大変な地震であるとわかりました。私たちは阪神淡路大震災を経験しています。今回の非常事態においても、大和ハウスとして当然やらなければならないことがあると直感しました。

平間:地震発生時は東京支社に居て大きな揺れを感じました。震源が宮城県沖だと聞き、仙台に居る家族に連絡し安否を確認。幸い無事でしたが、宮城県は13年もお世話になったかつての赴任地であり、立ち上がった東京の対策本部で被害状況の把握に努めました。心中「自分の出番だ。宮城の震災復旧担当は自分の他にはいない」と思っていました。

■仮設住宅建設への思い

浅井:宮城、岩手、福島3県の「応急仮設住宅DASHプロジェクト」※統括者の任命を受け、考えたことは「復興のきっかけになるのは住まいだ。それを提供するのが当社の使命であり、大和ハウスの持つ機動力と行動力をもって成し遂げなければならない」、「当社が培ってきたプレハブ建築技術で応えていきたい」ということでした。そのため、まず事務所や宿泊所の確保など、全国から応援に駆けつける社員と共にこの責務を全うする体制を整えました。

※建築系工事部門を中心に構成された仮設住宅建設プロジェクト

平間:3月17日に仙台に着任した時は、「これから始まる」という厳粛な心持ちでした。既に着任しておられた浅井理事とプレハブ協会の会議に参加、仮設住宅の建設スケジュール等を把握し、協力を乞う社員や協力会社さんに連絡。組織体制は概ね考えていましたが、事前に打診していた方、新たに声をかけた方、皆さんが二つ返事で「やります」と言ってくれ嬉しかったですね。被災現場を見たのは着任後少し経ってからです。報道等で被災状況は知ってはいましたが、想像をはるかに超える風景を目の当たりに、胸が痛くなりました。やり遂げなければ…と強く思いました。

佐藤:私は仙台市の出身で、身近な人の多くが被災されていました。社員としてはもちろん、個人的にも地元の役に立ちたいという思いから、自ら志願してこの「DASHプロジェクト」に参加しています。被災者の方たちが過ごしている避難所での生活はプライバシーがなく、心身ともに不自由な思いをされていることも聞き及んでいました。工事担当者として何とか早く仮設住宅を完成させ、より多くの方に住んでもらいたいと、今全力で建設に臨んでいます。

浅井:『住む人の身になり、思いを込め一刻も早く完成させよう』を、私たち「DASHプロジェクト」はスローガンとしています。非常に厳しい状況・環境下ではありますが、被災者の方が慣れ親しんだ“元の住居からできる限り近い場所”にできるだけ早く住まいを作らなくてはと思っています。これを果たすには、社員の力を結集しなければならないわけで、組織内部でコミュニケーションを活発化させることも当然求められます。

佐藤:その点については、コミュニケーションを密に取りながら協力しあっている現場だと感じています。集まった方は所属も違えば、経験も違うわけですが、思いを一つに、“スピードは最大のサービス”という基本に立ち戻って建設を進めています。協力会社の方たちも「どうすれば前へ進められるか」と共に考える中で、よく対応してくれていますし、工程で進まないところがあっても、できるところから仕上げてくれたりもします。
今回大和ハウスはいち早く仮設住宅を完成させています。それが出来た要因としては、「被災された方々に避難所生活から一日も早く、移り住んでほしい。そのためにはスピードをもって建物を完成させたい」という思いを全員が共有できていること、そして、社員のみならず、応援で来ている職方さんたちとのコミュニケーションが円滑に行えていることであると思います。

苦労したこと

苦労したこと

■苦労したこと

平間:戸惑ったのは、県やプレハブ協会の発注から着工まで1週間の準備期間しかなかったことです。従来は「計画主導型」で工事を進めていましたが、どの場所で何団地の建設が必要か直前までわからず、先が読めませんでした。そんな状況も予見し、工事担当者を現場だけでなく事務所内にも配属し、迅速に対応できる組織にはしていましたが…。

佐藤:私も同感です。スピードが求められる建設にどう対処するかに苦慮しました。規模によりますが、仮設住宅は3週間の限られた期間で完成させなければなりません。通常の工程との違いはありませんが、待ったなしの状況です。急いで図面から部材を確認し、発注にも苦労しました。部材が入ってこないという状況もあり、自分で調達したケースもありました。

平間:建設目標の戸数が予想を越え、現場監督や協力会社さんの確保も大変でした。また、一人ひとりのモチベーションを高めることにも留意。気持ちよく働くため「上司の指示ではなく、自分で考え自発的に行動できる」環境を作ることにも努めました。やり方は違ってもいい、結果につながればいいと私は考えていますので。今回は、自分の考えを持って行動できる、バイタリティのある方々に集まっていただけていると思います。
また当社は、業界のトップ企業として諸事全般について注視されています。他の建築現場・物件の模範となるような高いレベルの品質、安全管理を行わないといけないと肝に銘じています。

佐藤:住む人のことを思い、守るべき品質は守る。工事に関わる者としては当然ですが、仮設住宅とはいえ、私もこの部分についてはこだわりを持って建設に取り組んでいます

大和ハウスのプレハブ建築の優位性

■大和ハウスのプレハブ建築の優位性

浅井:プレハブ技術の優位性の一つは、「早く、高品質なものを正確に作れること」です。日本のプレハブ住宅の原点となったのが当社のミゼットハウスで、この原型から、技術開発を重ね、仮設住宅、店舗、住居といったさまざまな商品を派生させています。つまり仮設住宅は私たちが持つ原型の技術を活かしたものであり、震災等の緊急時では、プレパブ建築の機能は最大限に活かされます。大和ハウス及び日本のプレハブ技術の優位性は、グローバル企業からも高く評価されるなど、国際的にも認知されています。

もう一つの優位性は、仮設住宅等は部材の大半を再利用できることです。今回の陸前高田の物件なども再利用品で、ストックしていたものを現場に持ってきています。だから数週間で建設できるわけです。また、数年後には解体するものですから、再利用により破棄材を軽減する仮設住宅は、環境負荷をかけない点でも時代の要請に応えています※。当社は阪神淡路大震災時も多くの仮設住宅を建設、これらは解体して海外の仮設住宅の現場で活用されています。システマチックに早く作れ、再利用できる。こうしたプレハブ技術を長い経験のなかで進化させているのは、日本であり大和ハウスであると自負しています。

今回の大震災では、プレバブ建築の優位性を活かし、地域の復旧・復興に貢献していきたいと考えています。

※東日本大震災では相当量の建設予定があるため、新部材も使用予定

今後の復興において大和ハウスが貢献できること

■今後の復興において大和ハウスが貢献できること

浅井:当社では、今後は復興に向けて、長期的な視点も踏まえた「街づくり」をしていかなければならないと考えています。仮設住宅の団地にはさまざまな方が住まわれるわけですから、2年間という限定でも、その場所にコミュニティを創っていかなければならない。また買物施設など日常の生活をサポートする機能も団地の中に必要です。さらに、団地の近くに工場や産業中心の街を作るなど、暮らし全体をサポートする構想も具現化させていきます。

平間:そうですね。元通りに復旧することもできますが、被災地域を復興させるならば、その視点が不可欠だと思います。それができるノウハウを持ち合わせているのが当社で、それこそ真の社会貢献となるはずです。

浅井:もちろん街づくりには、何年もかかるでしょう。例えば土地を調整するだけでも非常に時間がかかります。そこで、全体構想が決まり完成するまでの間は、期間限定での仮設の店舗、事務所、工場などを作っていくのが良いと思います。街が完成したら、それらの建物を再配置していくと、社会的な費用も環境への負担も少なくすみます。当社は、こうしたことを全てできる会社です。阪神淡路大震災時に仮設の工場等を作った実績もあります。
学術的視点から見た発想も大事ですが、「実現性の高い発想をしていく」のが大和ハウスのDNAです。現実的、現場的な発想を活かし、東日本の皆さまへの継続的な支援に、全社一丸となって取り組んでいきたいと思います。

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