夏休み、そして秋の行楽シーズンと、旅にピッタリの季節が続きます。そんな季節の思い出をもっと美しく印象的に残すなら、いつもとはちょっと違う「夜景写真」がオススメです。美しい夕焼け、そして段々と輝きを増す地上の星を眺めながら、みんなに自慢できる写真を撮ってみませんか? 今回は夜景写真家として活躍する中村勇太さんに、夜景写真を楽しむポイントをお聞きしました。
せっかくの旅行だから、思い出に残るステキな写真が撮りたい! そんな方にオススメなのが「夜景写真」です。暗い夜の景色は写真を撮るのが難しいイメージですが、実はコツさえつかめば誰でもSNS映えする美しい夜景写真が撮れるようになります。
「夜景」と書いてしまうと真っ暗になった夜中を想像しがちですが、中村さんがオススメするのは日没直後。「マジックアワー」とも言われる時間帯です。これは、日が沈んでから真っ暗になるまでの数十分で、影絵のような街、段々とともる街の灯などが、ゆっくりと色の変わる空と共に楽しめる幻想的な時間です。普段何気なく暮らしている街の風景も、マジックアワーにはいつもと違う表情に変わります。自宅からの展望はもちろん、近所の公園や高台などでも夜景が楽しめるでしょう。
地域や季節によっても変わりますが、8月でしたら夕方の6時~7時前後がマジックアワーになります。日没の時間はインターネットで簡単に調べられますので、参考にしてくださいね。
昼間は明るい街を観光し、夕焼けとロマンチックな夜景を楽しんでから、ゆっくりと晩餐。そんな素敵な旅のワンシーンを、ぜひ写真に残してください。
キレイな夜景を撮るには、まずはマジックアワーに撮影場所にいることが重要です。事前に観光プランを立てておくと、慌てることなく美しい景色が楽しめます。
スマートフォンで手軽に撮る場合は、カメラアプリが自動で補正をしてくれるため、難しい技術は必要ありません。色や明るさなども画面を見ながら変更できるので、その場で納得いくまで調整しましょう。もし手ブレをしてしまうようなら、壁や柵などを支えにするとスマホが安定します。
構図に決まりはありませんが、空と街のバランスを考えながら撮影するのがポイントです。美しい空のグラデーションや山々のシルエットを生かすなら空の面積を多めに、街の明かりが主役なら空の面積を少なめにしてみてください。また、撮影の際にはできるだけ水平にカメラを構えましょう。地面が中途半端に斜めに写ると、不安定な印象の写真になってしまいます。画面内にガイドラインを出せるカメラやアプリも多いので、そういった機能を活用するのもオススメです。
撮影の際に街全体が明るく写ってしまうようなら、全体を少し暗めに調整するとライトの輝きが強調されます。空の色や街の色をより印象的にするなら、フィルター機能なども便利です。カメラアプリによっては何十種類ものフィルターを用意しているものがありますので、好みの色合いを探してください。
撮影場所がタワーやビルの展望室だと、ガラスに映りこんだ室内の明かりが邪魔になることがあります。そんなときは、スマートフォンやカメラをガラスのすぐそばまで近づけて、反射した光が入らないようにしてみましょう。また、上着などで影を作って反射を防ぐのも効果的です。
野外での撮影の場合は、夜ならではの注意点もあります。まず、山の上などは街灯も少ないので、懐中電灯やヘッドライトなどの明かりがあると安心です。自然が多いところで撮影するなら、長袖のシャツなどアウトドアに適した服装を選び、虫よけスプレーなども合わせて準備しましょう。また、開けた場所や山の上の展望台などは風も強く、日が沈むと急に気温が下がることがあります。ウインドブレーカーなど防寒着を忘れずに用意してください。
日本全国の夜景を撮影している中村さんに伺った、オススメ夜景スポットをご紹介しましょう。夜景だけでなく観光や街歩きを楽しめるスポットも多いので、ぜひ旅のプランに組み込んでみてください。施設によって定休日や営業時間が違いますので、事前に公式サイトなどで確認してください。
北海道の夜景というと函館が有名ですが、私のオススメは札幌市にある藻岩山の展望台です。札幌の中心地からほど近い場所でアクセスも良く、眼下に広がる夜景は圧巻。冬期の市内に雪が降り積もった夜景も美しく、夏と冬でまったく違った表情を見せてくれるのも魅力です。
→夜景FAN:藻岩山 山頂展望台
甲府盆地の美しい夜景が一望できるスポットです。ライトアップされたドームや、色鮮やかに光るワイングラス型の噴水、園内まで続く道に並ぶフルーツをイメージした街灯など、ムードを高める要素が数多くそろい、さまざまな写真が撮れるのもうれしいですね。
→夜景FAN:笛吹川フルーツ公園
神戸の夜景と言えば、やはり人気なのは六甲山からの眺め。その中でもオススメは六甲ガーデンテラスです。展望台や塔、テラス、デッキなどビューポイントが多く、夜景の美しさと施設の雰囲気の両方を堪能できます。六甲山上には他にもさまざまな施設があり、観光を楽しめます。
→夜景FAN:六甲ガーデンテラス
関門橋や若戸大橋、工場群など100万都市・北九州市の夜景を一望できる展望台。海を越えた下関方面まで望むことができ、特徴のあるパノラマ夜景が楽しめます。新日本三大夜景(新日本三大夜景・夜景100選事務局)にも選ばれた人気のスポットです。
→夜景FAN:皿倉山展望台
夜景というと展望台から見下ろす広大なものが多くなりますが、実は街中でも素敵なシーンはいくらでもあるのです。例えば、金沢市のひがし茶屋街は街全体がレトロな和風で統一されたフォトジェニックな場所。周囲に高いビルや派手な看板などもなく、夕方から夜にかけてライトアップされていく街の表情を楽しめます。
→夜景FAN:ひがし茶屋街