髪飾りは耳の後ろ、前から少し見える位置に
肌着も兼ねた半襦袢(はんじゅばん)で着付けを楽に
洋装のマントも羽織(はおり)にぴったり
髪飾りは耳の後ろ、前から少し見える位置に
肌着も兼ねた半襦袢(はんじゅばん)で着付けを楽に
洋装のマントも羽織(はおり)にぴったり
美しい和装の女性を多く見かける新年の始まり。ふわりとまわりを染め上げるようなあでやかさは、洋装が日常となった現代だからこそ際立ちます。改まったご挨拶などフォーマルなシーンだけでなく、今年はもっと気軽に、あなたらしく。今を映す着物の選び方、楽しみ方を、専門学校で講師をつとめる佐野幸江さんに伺いました。
襟元から足元まで、洋服よりも広く体を包みこむ着物は、それだけで女性を慎ましやかに見せてくれます。その魅力をさらに高めてくれるのが、さりげないしぐさ。例えばテーブルの上のカップを取るときなど、たもとから腕が見えそうなときは、もう片方の手をすっと添えて。これだけで品格に満ちた優雅な印象になります。
「作法で注意することはいろいろとありますが、難しく考えるより、手の動きや歩幅が自然と抑えられ、着るほどに立ち居振る舞いが磨かれていくのが、着物を着る喜びでもあるんですよ」と佐野さんは笑顔で語ります。
初めて着物を選ぶときは、色柄で迷うもの。四季折々の花や風景は粋ですが、着られる時期が限られてしまいます。そこで佐野さんのおすすめは「着回しができる、モダンでシンプルな色柄」。
ここでは苺のようなみずみずしい色のラインが流れるように描かれた着物を選んでみました。ところどころに、愛らしい小さな猫が遊んでいます。こんなふうによく見るとわかるさりげない柄は、着ている自分自身を楽しくしてくれますね。
この着物に爽やかなブルーの帯を合わせると、すっきりとカジュアルに。葡萄のように深みのある色合いの帯なら、ぐんとシックに。襟元からちらりと見せる「半襟」、帯を整えて装う「帯揚げ」、結び方でも遊べる「帯締め」などでも印象を変えることができます。
着物を正しく着付ければ決して窮屈ではなく、むしろ体がすうっと伸びてすがすがしい気分に。だからこそもっと気軽に、お出かけを楽しみたいものですね。食事会、観劇、景色や風情を楽しむ街散策など、着物を着て集まる定例会をお友達と催してみてはいかがでしょう。情報交換もでき、コーディネイトの幅も広がります。
「四季のある日本の着物だからこそ、どの季節も快適に過ごせる知恵が素材に織りこまれています。10~5月なら、裏地のある『袷(あわせ)』、6~9月は一枚仕立ての『単衣(ひとえ)』、真夏は『絽(ろ)』など薄手でシャリ感のある素材、といったように。季節に合う素材を選んで、どんどんお出かけしてくださいね」
今の風を感じながら、伝統をまとう。今年はそんなひとときが、あなたの魅力をより一層輝かせてくれそうです。
学校法人日美学園 日本美容専門学校 教務統括部長補佐/全日本婚礼美容家協会 講師
全日本婚礼美容家協会の和装トータル部門コンテスト入賞。日本の学生や海外からの留学生、一般の方向けの着付けの講習、婚礼雑誌の着物と帯結び提案などで幅広く活躍中。モンゴルでの着物のショーに出演するなど、日本の着物の美しさを海外へ発信する活動も行っている。