恵比寿南1-5-8
写真:株式会社エスエス
大和ハウス工業株式会社
東京本店 東京建築設計部 主任
渡部 萌
MEGU WATANABE
建物は、上部から浮かせたアルミルーバーで中央のキューブを囲む構成になっています。ルーバーの間隔は20mm。クリエイターが実寸大の試作品で、面としてのバランスや美しさを検証されました。ミリ単位で追求されたデザインを実現するには、設計や施工の精度も求められます。ルーバーの鉄骨下地は隙間から見えないように数ミリずつ図面を調整し、ルーバーのラインや色がきれいに出るようサンプルをいくつも準備して、クリエイターのイメージを形にしていきました。
写真:株式会社エスエス
目指したのは、あらゆる人を包み込むインクルーシブなトイレです。男女を分けず、乳幼児を連れた方、高齢者や妊産婦、介助ベッドを使う方など、個人の特性によってブースを選べる設備やプランとしています。また車椅子動線の適正な勾配を考慮しつつ、傾斜した周囲の敷地に外構の高さを合わせた設計をし、壁の塗料は汚れや落書きが取れやすいものにするなど、デザインを守りながら使い勝手や保守性にも配慮しました。
プロジェクトを振り返って
THE TOKYO TOILETのピクトサインは佐藤可士和氏のデザインです。建物に取り付ける際、配置のバランスや高さなど、私の意見も取り入れてくださったことは、うれしい思い出です。工事中は曇りや雨ばかりでしたが、完成間近のある日、まぶしいほどの晴天に。光が反射する真っ白な通路から空を見上げると、ルーバーをつる鉄骨で額縁のように切り取られた青空が見えました。難しい案件でしたが、完成したという想いと共に、その美しさが今も心に残っています。
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