沖縄・那覇の国際通り東部地区で進められている大規模再開発事業。
それを一手に手がける大和ハウスならではの優位性と具体的な事業内容に迫りました。
沖縄県那覇市のメインストリートであり、全国的にも有名な観光名所となっている国際通り。その東の拠点である牧志・安里地区において、昨年10月より大和ハウスプロデュースのもと、大規模な再開発が進められています。
「この再開発事業は、国、県、市、組合が一体となって取り組んでいる一大プロジェクトで、かつて国際通りの玄関口として栄えた牧志・安里地区を整備し直し、地域の活性化を図ることを目的としています。そもそも再開発の計画が持ち上がったのは、今からちょうど30年前の昭和54年のこと。長きに渡る構想期間を経て、この度、私ども大和ハウス(JVとして他2社)が、当事業の特定業務代行者基本契約を結ぶこととなりました」と語る市街地開発室の宗雪室長。
今回、再開発されることになった牧志・安里地区は、沖縄都市モノレール牧志駅に隣接した、広さ約2.3ヘクタールの区域。国際通りに面した商業地が中心の安里地区と、密集住宅地と低利用地が大半を占める牧志地区を分断する形で安里川が流れるという環境にあります。
「再開発エリア内を流れる安里川は、大きく蛇行しているうえに断面積が小さいことから、台風や大雨の際には幾度となく氾濫を繰り返してきました。当事業では『災害に強いまちづくり』を整備方針の一つに掲げていることもあり、再開発とあわせて河川の改修工事を実施。形状を緩やかなカーブにして氾濫が起きにくいよう改善するとともに、街並と一体化した安らぎを与える親水空間として整備する計画です。本来であれば公共工事で行うはずの河川改修を、再開発事業に組み込んで行うのは全国初のケースになります」
事業プランの全体像としては、安里川の北側に位置するエリアにホテルや商業施設などの複合施設を、そして南側のエリアには25階建ての高層タワーマンションを建設する計画にあるといいます。
那覇市は全国的にみても極めて人口密度が高く、再開発の対象となっている牧志地区には老朽化した木造家屋が密集しているという状況。そうした施行地区内の地権者に対して重要となる、再開発に伴う移住交渉も比較的スムーズに実践できたそうです。
「地権者の方々との移住交渉が難航すれば、事業の長期化などにもつながる恐れがあるため、再開発事業における移住交渉は非常に重要であると考えられます。そういった意味でも、今回の事業において当社は大和ハウスならではの強みを発揮することで、地権者の方々が安心・納得できる形の手厚いサポートを実現し、円滑に事業を推進することができていると自負しています」
宗雪室長が言う『大和ハウスならではの強み』とは何か、その具体的な内容について訊きました。
「それは、金銭面の補償だけでなく、移住先となる住居の斡旋など、地権者の新しい生活をトータルにケアできること。新しい住まいが決まらないことには、地権者の方も住んでいた土地から離れることができません。しかし、本来ハウスメーカーである大和ハウスなら戸建住宅はもちろんのこと、分譲マンション、分譲住宅・賃貸住宅の斡旋・提供が可能なのです。さらに、こうした新居の手配とあわせて、再開発を契機とした土地活用も提案・実践しました。これは、施行地区内北側に設ける商業施設を権利交換という形で地権者に商業施設の床を与えて、テナント企業と賃貸借契約を結ぶことで賃料収入を得ていただこうというプランです。また、以前から物販店や飲食店を営んでおられる方は、新店舗として活用してもらうこともできます」
牧志地区に建つ密集した住宅は接道条件を満たしていないため、単独で建替えることができない敷地も多いのだとか。そうした実状を鑑みても、再開発を機に新たな生活環境を確保できることは、地権者にとっても有益であると思われます。また、新しい施設を建設することで資産価値が高まると推測できることから、大きな意味で捉えて、再開発事業そのものが地権者全体の土地活用にもなっていると言えるのではないでしょうか。
今回の再開発事業において、そのすべてを包括的に行えることもまた、『大和ハウスならではの強み』と考えることができます。
「一つひとつの施設ごとではなく、マンションやホテル、商業施設の建設、そして河川改修工事まで一括してトータルプロデュースする。ゼネコンやデベロッパーによる一般的な再開発事業であれば、このようなスタイルで事業を運用するのは困難なのではないでしょうか。市街地再開発事業をハウスメーカーが手がけるというのは、全国的にも珍しいこと。けれども大和ハウスであれば、当事業のように街づくり全体を一手に引き受けられ、さらにそこにはスムーズな地権者交渉と、それに付随する土地活用提案が見込めるという大きな魅力・メリットがあるのです」と宗雪室長。
大和ハウスが再開発プロジェクトの中心となり、JVの2社だけでなく自社のグループとも連携を図りながらトータルに事業を遂行する。そして、それを要因とした地権者への高い対応力や、窓口が一つという利便性。これらによって着手から起工まで2年というスピーディな事業運用を実現した今回の事例は、まさしく大和ハウスグループとしての集大成であり、街づくりの新しいフォーマットを構築する一つのモデルケースとなりました。
那覇市の牧志・安里地区における市街地再開発プロジェクトは、2年後の平成23年に事業完了を予定。今まさに、街と街づくりの常識が新たに生まれ変わろうとしています。