不動産にかかる収入

不動産所得となるものの範囲

まぎらわしい不動産等の貸付による所得区分をまとめると、以下のようになります。

不動産所得の計算

不動産所得の総収入金額は地代、家賃、権利金、名義書替料などが主ですが、借家人から徴収する共益費や貸付建物の破損などにより受ける実費弁償金なども収入金額となります。一方で必要経費には、土地建物の固定資産税や減価償却費、建築費用に充てた借入金の利子、修繕費などがあります。また、事業専従者控除(または青色専従者給与)は不動産の貸付が事業といえる程度の規模で行われている場合に限って、必要経費とすることができます。この場合、原則として「共同住宅などは10戸以上」、「独立家屋では5棟以上」の貸付をしていれば、事業規模とされます。

ここに注目!不動産所得の計算は次の算式により行います。総収入金額-必要経費=不動産所得の金額

敷金、保証金の収入金計上時期

収入金額の中で帰属年分の判定が難しいのは、敷金や保証金などの名目の預かり金のうち、契約解除のときに返さなくてもよい部分の金額の収入金計上時期です。これは①から③までの区分に応じてそれぞれの年分の収入金額となります。

1.賃貸期間の経過に関係なく返還しない定めとなっている部分の金額 物件の引き渡し年分または契約効力発生年分 2.賃貸期間の経過に応じて返還しない金額が増加する定めとなっている場合、その増加する部分の金額 その増加することとなる年分 3.賃貸借契約の解約などのときに、返還しなかった金額が③の金額を超えている場合、その超えている部分の金額 解約などのあった年分

②の計算例 敷金の収入金計上額の計算

Aさんは平成27年4月に所有していた家屋を賃貸し、敷金40万円を受け取りました。
敷金の返還条件は以下の通りです。

賃貸後返還しないこととしている部分

1年以内に解約のとき ……… 敷金のうち10%
2年以内に解約のとき ……… 敷金のうち15%
2年を超えて解約のとき …… 敷金のうち20%

敷金の収入金計上時期の計算

27年分の収入にすべき金額 ………… 40万円× 10%= 4万円
28年分の収入にすべき金額 ………… 40万円×(15%− 10%)= 2万円
29年分の収入にすべき金額 ………… 40万円×{20%−(10%+ 5%)}= 2万円