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子供のスランプ② スランプからの立ち直りを早くする「レジリエンス」とは?


「子どものスランプ① 親ができる心理的サポートとは?」では、スランプ時に心がけたいポイントをお伝えしました。今回、目を向けていくのは、「スランプからの復活力」。スランプからすぐに立ち直れる子、いつまでも引きずってしまう子、その違いはどこにあるのでしょうか? どうすればバネの強い子になれるのでしょうか? 子どものスランプ耐性を高める秘訣についてお伝えしていきます。

もともと逆境に強い子と弱い子がいる現状

スランプの原因には様々なものがあります。友人関係のトラブル、勉強の悩み、そして、引越し、転校、入園や入学などの環境の変化も子どもの不調につながりやすい要因です。

しかし、これらの逆境や環境の変化が全ての子に同じように響くわけではありません。歯を食いしばって粘れる子もいれば、すぐに心が折れてしまう子もいます。親からすれば、「前者であってほしい」と願うばかりですが、この部分は、子どもの生まれ持った気質も大きく関係しています。

アメリカの精神科医のトーマス博士らの研究で、人間には生まれつき9つの気質がすでに備わっていることが分かっています。その気質の中にあるいくつかの要素、たとえば、

・粘り強いか、くじけてしまうか
・変化に対する順応性が高いか、低いか
これらが、「日々の変化に対する耐性」をある程度決めてしまうのです。生まれつき、変化や逆境に強い子と弱い子がいるのが分かります。しかし、「生まれつきなら、どうすることもできないのか」と言うとそんなことはありません。日々の働きかけで、折れやすい心を強くしていくことができます。

心のバネ「レジリエンス」を鍛えることで克服

おすすめするのは、生まれてから育つ「心のバネ」を強化していく働きかけです。心理学では、この心のバネのことを「レジリエンス」と言います。言うなれば、逆境に置かれたときの“跳ね返す力”のこと。スランプに陥ったときに立ち直りが早い子はレジリエンスが高く、引きずってしまう子はレジリエンスが低いという言い方をします。

レジリエンスは後天的に高められるものですので、親ができるスランプ対策として、ぜひ取り入れたいもの。アメリカ心理学会が推奨している「子ども向け・レジリエンスを高めるコツ」の中から、スランプ対策にとくに有用なものを、3つご紹介したいと思います。

子どもの心のバネ「レジリエンス」をアップするコツ 3

●人を助ける経験
スランプからの立ち直りのスピードに大きく影響するのが、その子の自己感です。自分のことを、「無力で弱い人間」と感じていると、スランプを引きずりますが、逆に、「自分ならできる」「なんとかなる」と信じられると、早く抜け出すことができます。

無力感から脱するのに有効とされるのが、人を助ける経験です。子どもが自分のことを「非力だ」「頼りない」と感じてしまったとき、その子自身が他の人を助ける経験をすることで、「自分も頼りになる存在だ」と感じ、無力感から開放されやすくなります。
具体例:
・家庭の中で、年齢に合ったお手伝いをする
・電車などで、お年寄りに自分から声をかけ、席を譲る
・夕食時、その日の「ありがとう体験」を一緒に数える

●自己管理をする経験
赤ちゃんから子どもへと成長する過程で、だれもが「自分力」を身につけていきますが、その度合いには個人差があります。もし親が、朝から晩までずっと子どものやることを管理し続けてしまうと、その子の自分力はなかなか育ちません。あるドイツの研究で分かっているのが、子どもの頃、自分で決断をする機会(例:遊びの内容、時間の過ごし方など)が多いと、将来、大成する傾向が高いということ。小さい頃の「自分で決める経験」というのは、のちのち、その子の糧となるわけです。子育てにおいて、親がリードすることはもちろん大切ですが、子どもにできる判断や決断は、できる限り委ねていきましょう。自己管理が上手になると、スランプやストレスを未然に回避する力にもつながっていきます。
具体例:
・放課後、何をして遊ぶかを自分で決める
・その日の洋服を、自分で決める(年齢的に可能なら、天気予報を踏まえて決断する)
・前日の夜に、次の日の持ち物をすべてバッグに入れる

●ポジティブ発想の習得
何か問題が起こったとき、もしその子が、物事を一方向からしか見られないと、「もうだめだ」と感じやすくなります。親自ら、「こんなこともできる」「あんなこともできる」と、その子の視野を広げてあげましょう。「物事の解決法は1つだけでない」という楽観的な見方が習慣になると、困難なときも悲観視せずに進んでいけるようになります。

スランプは、本人が「ずっとこの状態が続く気がする」「いつまでも抜け出せないだろう」と思うと、途端に耐えられなくなります。「悪いことは長くは続かない」と楽観視できると、それが復活するバネになってくれます。このように、スランプは、その子がどう捉えるかによって、その後が大きく変わってきてしまうのです。小さいうちは、親が「ダメだ」と感じると、その子も「ダメだ」と感じるように、親の主観が子どもに伝わりやすい時期。お子さんの年齢が小さいほど、親の言葉がダイレクトに響きますので、先々を悲観視するような発言は控え、「世の中は楽しい所なんだよ」という先行きの明るい見方を親が示してあげることが大切です。
具体例:
・「○○すると怖いよ」「○○したら大変なことが起こるよ」と脅さない
・「もうダメだ」「最低最悪」のような悲観視する言葉を慎む
・「これもできたね」「あれもできたね」と小さなことも見逃さずほめる
・「大丈夫♪」「これくらいなんとかなる」と親自らもチャレンジする

成長する過程で、だれもが経験するスランプ。日ごろから、それに対する耐性を高め、いざというときの復活力を蓄えておきましょう。

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