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スタッフからの現地便り

穏やかな芸北の森で見つけた、湖畔の夏

  • 更新日:2016年10月19日
  • カテゴリ:自然観察
穏やかな芸北の森で見つけた、湖畔の夏

 7月の初旬、広島市内からロイヤルシティ芸北聖湖畔リゾートまでの道沿いは、緑の中にノリウツギの白い花やマタタビの白い葉が所々で見られ、安芸太田町に入ると国道191号線沿いのアジサイが私たちを迎えてくれました。色とりどりのアジサイが植えられた『あじさいロード』は12kmにわたるそうです。あじさいロードを抜けると北広島町。広島県北西部の北広島町芸北地区に位置するロイヤルシティ芸北聖湖畔リゾート周辺は、西中国山地国定公園に指定されています。ブナの原生林が広がる臥龍山や広島県と島根県の最高峰である恐羅漢山、草原の麗峰と呼ばれる深入山などの山々や、聖湖、八幡湿原、三段峡などがあり、豊かな自然に囲まれた地域です。

■あじさいロード
国道191号線の安芸太田町松原地区から深入山山麓まで12kmにわたり道沿いにアジサイが植えられている。標高が高いため開花は7~8月と少し遅い。


 ロイヤルシティ芸北聖湖畔リゾートの中を歩き出すと、落葉樹の林縁ではノリウツギがガクアジサイに似た白い花をつけ、オカトラノオが所々で群落をつくっていました。小さな白い花が尾状に集まって咲く姿は涼しそうです。ちょうど目の高さにウワミズザクラの実がついていたので、写真を撮ろうと近づいてみると、セマダラコガネが葉の上に乗っていました。名前通り背中にまだら模様がある小さめなコガネムシです。模様は変異があり、この個体は波打つような模様をしています。分譲地内には湧水池や沈砂池、水路など水場が何箇所かあり、水辺の植物が生えているので、毎回どこかを覗くようにしています。今回はモリアオガエルの卵塊があると聞いた池に向かうと、時期が少し遅かったので残っている卵塊は数個でしたが、水の上に張り出した枝に乳白色の泡の塊が下がっていました。モリアオガエルの成体は樹上で、生活しているので、細い枝先まで行けるようです。水の中で重なるように泳いでいたオタマジャクシが1匹でも多く育って、来年この水場に戻りたくさんの卵を産んでくれることを祈って、池を後にしました。


■左:ノリウツギ(糊空木)
アジサイ科アジサイ属 本州から九州の山地の林縁などに生育する落葉低木。
7~9月中旬に円錐状の花のかたまりをつける。ガクアジサイのように外側に白い花弁状の萼片をもつ装飾花をつける。樹液を和紙を漉く際の糊に使ったことから糊、茎の中が中空(空洞)になっていることから空木とついた。
■右:オカトラノオ(丘虎の尾)
サクラソウ科オカトラノオ属 北海道から九州の山野の明るい草地などに生育する多年草。しばしば群生する。6~7月に白い小さな花を穂状につける。名前は花穂の形態を虎の尾に見立てた。丘は日当たりのよい場所に生えることからで、ヌマトラノオ(沼虎の尾)と区別するためにつけられたという説がある

■左:ウワミズザクラ(上溝桜)の実
バラ科ウワミズザクラ属 北海道西南部から九州の沢沿いなどに生育する落葉高木。4~5月に房状に白い花を咲かせる。果実は黄色から赤色になり9月頃黒色に熟す。樹皮を傷つけると強い臭気がする。この材の表面に溝を彫り、焼いて亀甲占いに使ったことからついた名。
■中:セマダラコガネ(背斑黄金虫)
コウチュウ目コガネムシ科 北海道から九州でごく普通に見られる小型のコガネムシ。黄褐色の背に黒い斑紋があるが、紋は変異が多い。幼虫は植物の根を、成虫は広葉樹の葉を食べる。
■右:モリアオガエル(森青蛙)の卵塊
アオガエル科アオガエル属 本州と佐渡島の森林の林床や樹上に生息するカエル。日本固有種。4~7月に水面に張り出した木の枝などで産卵する。卵は水分が保たれた泡状の塊の中に300~800個生み込まれ、2週間ほどで孵化したオタマジャクシが下の水に落ちる。国の天然記念物に指定されている繁殖地もある。広島県では安芸太田町の『吉水園のモリアオガエル』が県の天然記念物に指定されている。
 
 
続いて向かったのはアカマツが多いA街区にある緑地です。林の中を少し行くと、先ほどまで樹々の間からチラチラと見えていた聖湖の湖面と、臥龍山が目の前に広がりました。木に囲まれたポケットのような空間なので、散歩の途中に休憩したり、本とお茶を持ってベンチでのんびり読書したりなど、プライベート空間としても楽しめそうだな、などと関西よりだいぶ早いヒグラシの声を聞きながら考えていると、遠くからゴロゴロと雷鳴が聞こえてきました。臥龍山の上にある黒い雲からのようです。まだ雲は遠いので雨が降り出す前にもう少し周辺を歩いてみようと振り返ると、足元にコナスビの小さな黄色い花やヒナスミレの葉があることに気がつきました。苔や落ち葉の間には小さなツゲも。葉が互い違いの互生についているのでイヌツゲです。名前にツゲとついていますが、こちらはツゲ科ではなくモチ科。多雪地帯なので、主幹が横に這う変種のハイイヌツゲかもしれません。周辺ではクロモジが実をつけていました。まだ若い実は緑色ですが、熟すと黒くなります。

■臥龍山と聖湖
臥龍山は標高1223.4mで北広島町の最高峰。地元では苅尾(かりお)とも呼ばれている。ブナやミズナラ、トチノキなどの落葉広葉樹の原生林が広がる。中でも樹齢200年を超すブナの原生林は貴重な存在。特別保護地に指定されている。

■左:コナスビ(小茄子)
サクラソウ科オカトラノオ属 日本全土の道ばたなどに生育する多年草。地を這うように広がり、4~6月に4~7mmの4裂した黄色い花をつける。4mmほどの実がナス(ナス科)の実のつき始めに似ていることからついた名。熟すと茄子紺ではなく茶色くなる。
■中:イヌツゲ(犬黄楊、犬柘植都祁)
モチノキ科モチノキ属 本州から九州の山地の林縁などに生育する常緑小高木。雌雄異株。6~7月に黄白色の花弁4個の小さい花を雄花は2~6個、雌花は1個つづつける。果実は秋に黒く熟す。葉は大きさや形に変異が多い。北海道から本州日本海側の多雪地域には葉が小さく幹が地をはうハイイヌツゲが分布する。よく似るツゲ(黄楊、柘植)はツゲ科で、雌雄同株、葉は対生。ツゲに似ているが材が役にたたないことからついた名。ツゲの由来は葉が密に次々つくことから「次ぎ」から、材が櫛にできるほど強いことから「強い」、梅雨になると葉っぱが黄色くなることから「梅雨黄」などが転訛したなど諸説ある。
■右:クロモジ(黒文字)
クスノキ科クロモジ属。東北地方南部以西から九州の雑木林などに生育する落葉低木。雌雄異株。3~4月、葉が開くのと同時に黄緑色の小さな花を10個ほどまとめてつける。雌株は秋に黒い実をつける。香りが良いので樹皮を残して爪楊枝にする。樹皮にある黒い斑点を文字に見立ててついた名。

 
 現地案内所に戻ると近くに西日本の里山に分布するササユリが咲いていました。東日本のヤマユリと共に日本を代表するユリです。最盛期は過ぎていましたが、淡いピンク色をした花の清楚な姿は林の中でも目を引く美しさです。近くでは赤や黒の実がなっていました。少し角ばっているのでウスノキかと思いましたが、黒い実もあるのでカンサイスノキのようです。近くには小さなランタンのようなアクシバの花も咲いていました。カンサイスノキと同じツツジ科で、こちらは赤い実がなります。周辺では少し色づき始めたコバノガマズミの実も見られました。

■左:ササユリ(笹百合)
ユリ科ユリ属 本州中部以西から九州の野山の草地や林の縁などに生育する多年草(球根)。6~8月、淡桃色または白色の花を枝先に数個横向きにつける。葉が細長く笹の葉に似ていることからついた名。「ユリ」花が揺れるからという説や、鱗片が寄り合うようにつくことから「寄り」が訛ったという説などがある。「百合」は多数の鱗片が重なり合う様子から。地域により変異があり葉の縁が白くなるタイプや葉が幅広のタイプがある。
■左中:カンサイスノキ(関西酢の木)
ツツジ科スノキ属 本州の東海地方以西から四国、九州の山地の林内や林縁に生育する落葉低木。4~6月に鐘形の緑白色か紅色を帯びた花を下向きにつける。実は7~8月に黒紫色に熟す。スノキに似るが、葉柄や葉の裏の葉脈に曲がった毛がある。カンサイは西日本に分布することから、スノキは葉を噛むと酸っぱいことからついた。
■右中:アクシバ(灰汁柴)
ツツジ科スノキ属 北海道から九州の山地の林縁に生育する落葉低木。花は6~7月に開花。合弁花(花弁の一部、あるいは全部がつながる)で、花弁は外側に巻く。実は約8mmで8~10月に赤く熟す。名前の由来は樹高が低く枝葉が緑色なので青木柴、訛ってアクシバという説や、木を燃やした灰が灰汁取りに使われていたのでアクシバという説がある。
■右:コバノガマズミ小葉の莢蒾)
レンプクソウ(スイカズラ)科ガマズミ属 本州から九州の丘陵地や山地に生育する日本固有の落葉低木。4~5月、白い小さな花のかたまりをつける。丸い実は9~11月に赤く熟す。ガマズミに比べ葉が小さくて細長く先が尖る。葉柄は短く。線状の托葉がある。花のかたまりもガマズミより小さい。ガマズミの由来は「染め」や「神の実」の転訛、漢名の「莢蒾」の音読み「キョウメイ」が「カメ」、「ガマ」に転じ、さらに酸実(スミ)がついたなどの説がある。
 
 ロイヤルシティ芸北聖湖畔リゾートが隣接している聖湖は、柴木川の最上流部に作られた樽床ダムによってできたダム湖です。樽床ダムのすぐ下流から約16kmにわたる『三段峡』は国の特別名勝。日本百景や森林浴の森百選にも選ばれ、フランスの旅行専門誌『ブルーガイド』でも最高格付三ツ星を獲得している、秘境と呼ぶにふさわしい自然豊かな美しい峡谷です。ダムの横から三段峡沿いを歩くことができるので、聖湖沿いの道をダムに向かうと、途中にノハナショウブとクサレダマが咲いている草地がありました。小さな川が聖湖に流れ込んでいる場所のようで、湿地になっているようです。近くには苗代を作る頃に実がなることから名前がついたナワシロイチゴの赤い実もありました。実際はもう少し遅い6月頃から実をつけます。


■左:ノハナショウブ(野花菖蒲)
アヤメ科アヤメ属 北海道から九州の湿地や湿った草原などに生育する多年草。6~7月に濃い紅紫色の花をつける。花弁の中央部が黄色いのが特徴で、よく似るカキツバタは白色、アヤメは網目模様になり見分け方のポイントになる。葉の中央の脈が太く目立つ点がもう一つのポイント。ハナショウブ(花菖蒲)の原種。名前は野に咲くハナショウブから。ハナショウブは葉が菖蒲湯に使うサトイモ科のショウブ(菖蒲)に似ていて、大きな美しい花をつけることからついた。
■右:ナワシロイチゴ(苗代苺)
別名サツキイチゴ バラ科キイチゴ属 日本全土の日当りのよい山野に生育する落葉小低木。キイチゴの中でも多く見られる種。4~6月、紅紫色の花が上向きにつく。萼は開くが満開でも花弁は閉じたまま。苗代を作る頃に果実が赤く熟すのでこの名がついたが、夏にもできる。

 
 ダムの横にある駐車場に着く頃にはポツポツと雨が降り始めてしまいましたが、雨の様子を見ながら最上部にある三ツ滝辺りまで行くことにしました。
階段を降りると滝の水音が聞こえてきました。周囲はミズナラ、ブナ、イヌブナ、トチノキなどの樹々に覆われ、崖や遊歩道沿いにはウワバミソウやクサアジサイ、シダなど様々な植物が生えています。淡い青色の花をつけているのはヤマアジサイ、ピンク色の花はシモツケソウのようです。左手に三ツ滝が見えてきました。三ツ滝は三段峡にある滝の中で最上流にある三曲五段の美しい滝です。駐車場からも近いので、三段峡の素晴らしい景色を少しでも体感したい方にはお薦めします。ただし階段があるので足元には気をつけてください。

■左:ウワバミソウ(蟒蛇草)
別名ミズ、ミズナ、カタハ イラクサ科ウワバミソウ属 北海道から九州の渓流沿いや山地の湿った斜面に生育する多年草。雌雄異株。群生することが多い。4~9月、葉腋に緑白色の花を小さな球状につける。秋には珠芽(むかご)ができる。うわばみ(大蛇)が住みそうなジメジメした薄暗い場所に生えることからついた名。山菜として扱うときはミズという別名で呼ばれることが多い。
■中:ヤマアジサイ(山紫陽花)
別名サワアジサイ(沢紫陽花) アジサイ科アジサイ属 本州関東以西から九州のやや湿った林や沢沿いに生育する落葉低木。6~7月にガクアジサイに似た花をつける。装飾花(中性花)の萼片は3~4個。花色は白色や淡青色、淡紅色など変異が多い。名前は山に咲くアジサイであることから。アジサイは小さいものが集まる「アヅ」+「さあい(真藍)」あるいは接頭語「さ」と「あい(藍)」が約されてサイの「アヅサイ」からきたという説がある。
■右:シモツケソウ(下野草)
バラ科シモツケソウ属 本州関東以西から九州のやや湿った草原や山地の林縁などに生育する多年草。日本固有種。6~8月に紅色、まれに白色の小さな花を茎頂に多数まとめてつける。シモツケに似るが葉は掌状に深く5~7裂する。シモツケの葉は卵型や披針形。名前はシモツケに似た草から。シモツケの名前の由来は現在の栃木県である下野(しもつけ)の国に多く生育していたことからという説や、下野の国で最初に発見されたことからという説がある。

■三ツ滝
聖湖(樽床ダム堰堤)から約299m下流に位置し、畳岩と呼ばれる巨岩の間を流れ落ちる三曲五段の滝。落差約31m、滝つぼの深さは3.4m。ダムの駐車場傍から遊歩道が整備されている。急な階段もあるが10分ほどで国の名勝、三段峡の「五大壮観」の一つである三ツ滝の美しい姿を見ることができる。
 
 
雨が強くなり薄暗くなってきたので引き返す途中、まだ緑色のツリバナの実がちょうど目の高さに下がっていました。向きを変えると気がつかなかったものが見えることがあるので、同じ道を引き返す時でもちょっと得をした気持ちになることがあります。土砂降りの雨が弱まるのを待とうと雨やどりをしたクリの木は、ちょうど花が咲いていたので、この日の最後の写真にとシャッターを切りました。

■左:ツリバナ(吊花)の果実
ニシキギ科ニシキギ属 北海道から九州の山地に生育する落葉低木~小高木。4~6月につける淡緑色の花は花茎が長く枝から吊り下がる。9~10月、紅色に熟した果実が4つに割れ、朱赤色の種子が顔を出す。名前は花や果実がぶら下がる様子からついた。
■右:クリ(栗)
ブナ科クリ属 北海道西南部から九州の丘陵や山地に生育する落葉高木。6月に10~14cmの尾状に花をつけるがほとんどは雄花で[写真:右]、雌花は花序の基部につく。[写真:左]雌花は若い殻斗(いが)イガの中に3個入っている。果実は堅果でそのトシの秋に熟す。普通3個の堅果が長い刺が密集した殻斗の中に入っている。名前は「黒い実」を表す「クミ」がもとになったという説や、梵語の「黒」からという説などがある。
 
 翌日は三段峡を下流から散策。三段峡の大きな見所の黒淵・猿飛・二段滝・三段滝・三ツ滝の5箇所は五大壮観と呼ばれていますが、この中で黒淵と猿飛は渡船で切り立つ岩の間を巡ります。上流にある猿飛は高さ20数mの岩壁がそそり立つ峡谷で、船でしか近づけない秘境中の秘境といわれる二段滝を見ることができますが、土日祝日のみの運航なので残念ながらこの日は運休。もう一つの黒淵渡船だけでも、と三段峡正面口から歩き始めました。しかしこの日は朝から雨。細い歩道の右手に迫る崖に張り付くように生えたイワタバコの葉が雨に濡れ光っていました。雨に叩かれる大きな葉はクサアジサイ。ヤマアジサイより少し遅れて咲くので、中央にある茶色い米粒の塊のようなものは、花の跡ではなく蕾のようです。ゆるやかな流れの水面がだいぶ下に見えるようになり、対岸に三段峡正面口から歩くと最初にある滝、姉妹滝が見えてきました。樹々の間、岸壁を数筋に分かれ流れ落ちる滝は水量によって2姉妹3姉妹と変化するそうです。滝の上流は荒々しく竜が蛇行するように流れることから竜ノ口と呼ばれる場所です。歩道の脇の岩には斜めに筋が入った節理も見られます。流れは次々と姿を変え、さらに進むと川幅が広くなり栂崎と名前がついた瀬となりました。天気がよければ河原に降りて一息つきたい場所ですが、音を立てて激しく降る雨は弱まりそうもないので、黒淵渡船も諦め途中で引き返しました。

■左:イワタバコ(岩煙草)
別名イワヂシャ(岩萵苣)イワタバコ科イワタバコ属 本州福島県以西から九州の日陰の湿った岸壁などに生育する多年草。6~8月に花茎の先に2cmほどの星形をした紫色の花をまとめてつける。大きいものは40cmにもなる光沢のある葉を数枚垂れ下がってつける。岩に生え葉がタバコの葉に似ていることからついた名。
■中:クサアジサイ(草紫陽花)の蕾
アジサイ科クサアジサイ属 本州関東以西から九州のやや湿った林内に生育する多年草。7~9月、ヤマアジサイより少し遅く淡紅色から白色の両性花と装飾花をつける。装飾花には3個の花弁状の萼片がある。アジサイの仲間は葉が対生につくが、クサアジサイは互生(まれに対生)。アジサイのような花が咲くが草本であることからついた名。
■右:節理
三段峡は石英斑岩や花崗斑岩からなり、長年の侵食で節理が刻まれてできた峡谷。歩道沿いでも斜め方向の板状節理が見られた。
 
 北広島町の隣、安芸太田町の小板地区に茅葺屋根の民家が点在していると聞いたので、行ってみることにしました。北広島町や安芸太田町は中国地方でスキー場が多いことでも知られています。そのため車を走らせていると軒に民宿と書いた小さな看板がかかっている民家を時々目にします。そんな一角に茅葺屋根の民家がありました。田んぼの中、深入山を背景に立つ姿はどこか懐かしい里山の田園風景です。稲が黄金色に染まる頃や雪が積もり始めた頃にまた訪れたい景色でした。


■安芸太田町小板地区の里山風景
深入山は標高1,153m の『草原の麗峰』と呼ばれるなだらかな草原の山。山頂まで約1時間。四季折々の草花を見ながら登山道を登ると360度のパノラマが広がる。毎年4月中旬に山焼きが行われる。
 
 今回の宿泊は広島市内だったので、朝食前に平和記念公園まで歩いてみました。向かう途中の平和大通りで、濃いピンク色のバラが強い雨に打たれながらもまっすぐ上を向いて咲いていました。『広島・長崎 平和のバラ』と名付けらたこのバラは、自らも被爆し重傷を負いながらも被爆者の救護にあたった永井隆博士の庭に咲いていたバラで、‘レッド・ラジアンス(赤い輝き)’という品種だそうです。

■広島・長崎 平和のバラ
長崎で被爆し、被爆者援護に尽力した医師の故永井隆博士から「平和の象徴」として広島に贈られた博士の庭に咲いていたバラ。‘レッド・ラジアンス(赤い輝き)’という品種。
 
 平和記念資料館は早朝のため開館時間前でしたが、ガラス越しに『地球平和監視時計』が見えました。この時計には広島に原爆が投下からの日数と、最後に核実験が行われた日からの日数が表示されています。この日(7月8日)は原爆投下から25904日、核実験からは184日でしたが、残念なことに9月9日にリセットされたそうです。公園から原爆ドームに進むと、雨脚が強い中祈りを捧げる人たちが訪れていました。地球平和監視時計の核実験からの日数が伸び続けることを祈りながら原爆ドームを後にしました。

地球平和監視時計
広島平和記念資料館に設置されている時計塔。広島に原爆が投下からの日数と、最後に核実験が行われた日からの日数が表示されている。外に向けて設置されているため、閉館時にもガラス越しに見ることができる。
 
 今回は木々の緑が濃い時期でしたが、もう少しすると芸北の林には早い秋が訪れ、鮮やかな紅葉に包まれます。聖湖の静かな湖面に映る臥龍山の紅葉は圧巻です。そして芸北のもうひとつの魅力は早春の美しさ。雪が多いため少し遅い春の訪れを待っていたように、コブシやタムシバの白い花、ヤマザクラの薄いピンク色の花が冬枯れの山肌に点々と咲く景色は印象的です。湖畔のヤナギの芽吹きの美しさも忘れられません。季節を変えて何度も訪ねたい場所です。

※上記写真は全て平成28年7月撮影

 






担当スタッフ紹介

ガイド写真

自然観察指導員1級造園施工管理技士
グリーンアドバイザー

関口 亮子

群馬県前橋市出身、恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒業、現在「むろたに園芸研究所」勤務、設計、草花植栽、園芸講座講師を担当、特に自然風の庭造りを得意とする。

 

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