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スタッフからの現地便り

太陽と海が微笑む、別府湾杵築リゾートへ

  • 更新日:2016年11月24日
  • カテゴリ:自然観察
太陽と海が微笑む、別府湾杵築リゾートへ



■分譲地からの別府湾

分譲地内は各所から別府湾を望むことできる。写真は4街区にある公園の近くから。


 各地の空港で手荷物と一緒にご当地物がターンテーブルを回るのが一部で話題になっていますが、大分空港で回って来たのは大きな海老とまぐろのにぎり寿司。大分空港はターンテーブルを回転寿司に見立てた最初の空港だそうです。巨大な寿司に迎えられた大分空港から車で約30分。別府市に向かう国道213号(通称:杵築沿海路)から少し入った場所にあるロイヤルシティ別府湾杵築リゾートに到着します。

 2年ぶりのロイヤルシティ別府湾杵築リゾートは家が増え、現地案内所の隣にはケアハウスができていました。デイサービスと訪問介護を行う施設で、オーナー様の有志によって作られたそうです。安心して森林住宅の暮らしを続けるための環境づくりが進んでいます。




■左:大分空港手荷物引き渡し所のオブジェ
手荷物のベルトコンベアーを流れるにぎり寿司のオブジェ。佐伯市の海老と津久見市のまぐろ。後ろはステンレス製の姫島車海老。他の種類もある。
■右:ケアハウス青空
デイサービスと訪問介護を行うケアハウス。オーナー様有志により開設された。


 現地案内所から歩き始めると、グリーンカーテンが屋根まで伸びたお宅がありました。シロバナユウガオ(ヨルガオ)ゴーヤ(ツルレイシ)、キュウリ、アサガオが青々と育ち、まるでグリーンカーテンの見本園のようです。庭の植物の多くはオーナーのK様がタネから育てたもので、グリーンカーテンのゴーヤもタネから育てたそうです。ゴーヤとキュウリには花と食べ頃の実がついていました。1年草だけでなく14本のアンズもタネから育てた樹だとか。植物ごとに分けられた花壇の仕切りも石や竹、丸太などを使った手作り。その花壇では、こぼれダネから育ったヒャクニチソウががっしりとした茎に大きな花をつけています。庭を一目見たときに懐かしさを感じたのは、ちょうど咲いていたヒマワリ、ヒャクニチソウ、キバナコスモスなどの花とこの手作りの仕切りからでしょうか。シロバナユウガオのたくさんの蕾が咲く夕方まではいられませんでしたが、この日も大きな真っ白い花が道を通る人の目を楽しませてくれたでしょう。杵築は瀬戸内海式気候のため温暖で雨が少ない穏やかな気候が特徴。分譲地は日当たりの良い場所が多いので、近くにみかん畑があることからもわかるように柑橘類をはじめ、オリーブやミモザの仲間などを育てるのにも良い環境です。シンボルツリーに1本植えてみてはいかがでしょうか。
 



■左:K様邸
日当たりのよい開放的な庭にタネから育てたヒマワリやキバナコスモス、ヒャクニチソウなどの花が色を添える。シロバナユウガオ(ヨルガオ)やゴーヤ(ツルレイシ)などのグリーンカーテンが日差しだけでなく視線を適度に遮っている。グリーンカーテンの支柱や、拾い集めた石などでの花壇の縁取りはお手製。
■中:シロバナユウガオ(白花夕顔)の蕾
ヒルガオ科サツマイモ属 熱帯アメリカ原産の多年草(日本では1年草扱い)の園芸品種。7~11月にアサガオのような形をした大きな白い花をつける。花は夕方から咲き翌朝にはしぼむ。夕顔とつくが正式にはヨルガオ(夜顔)の一種で、果実から干瓢(かんぴょう)を作るユウガオはウリ科ユウガオ属で別の植物。
■右:ツルレイシ(蔓茘枝)
別名ゴーヤ、ゴーヤー、ニガウリ ウリ科ツルレイシ属 熱帯アジア原産のつる性1年草。5~10月に黄色い花をつける。食用にしている緑色の果皮は未熟の段階で苦く、熟すと橙色になり裂開する。中の種子を包む赤いゼリー状の仮種皮は甘い。
イボに覆われた外観と、熟すと仮種皮が甘くなることがムクロジ科のレイシ(=ライチ。中国名『茘枝』の音読み)に似ていて、つる性であることからついた名。ゴーヤは沖縄での呼び名。


 続いてロイヤルシティ別府湾杵築リゾートの魅力のひとつである浜に向かいました。権現鼻と加貫鼻の間に広がるプライベートビーチのような浜を歩き、貝や流れ着いた海藻などを見るのが毎回楽しみです。潮が引いた砂浜の所々に顔を出した岩にヒザラガイやイワガキなどがたくさんついていました。その間につやつやした飴玉のようなものも。干潮時なのでしぼんでいるイソギンチャクです。オレンジ色の筋があるのでタテジマイソギンチャクでしょうか。砂の上には海浜植物のハマヒルガオが緑の葉を広げ、ツルナとハマナデシコが小さな花をつけていました。崖に生えたトベラには丸い実がつき、その下ではベニバナボロギクママコノシリヌグイの花も咲いていました。 この時期だとナンバンギセルとタヌキマメの花が見られるかもしれない、と以前見たことがある海辺を離れた場所に行くと、道沿いの草の間にタヌキマメの花が咲いていました。残念ながらナンバンギセルはみつけられませんでしたが、今年もタヌキの尻尾のように毛がふさふさしたユニークな形のタヌキマメの萼を見ることができホッとしました。別府湾に向かって広がる分譲地は、約800m続く静かな砂浜の他にも高台から遠く四国まで望むことができる海、その豊かな海を守りための魚つき保安林など、様々な自然を味わうことができます。
 



■左:分譲地内の浜
別府湾に突き出た権現鼻と加貫鼻の間に広がる約800mの砂浜と岩場。東に向いているので日の出と月の出を見ることができる。(写真は権現鼻)
■左中:ヒザラガイ(膝皿貝)
別名ジイガセ クサズリガイ科ヒザラガイ属 北海道南部から奄美諸島の潮間帯の岩などで吸着し生活する原始的な軟体動物。雌雄異体。8枚の殻板を持つ。岩などにはりつき、潮が満ちると動き出して藻などを食べる。はがすとアルマジロのように丸まる。姿が膝に似ていることからついた名。食用可。
■右中:タテジマイソギンチャク(縦縞磯巾着)
タテジマイソギンチャク科タテジマイソギンチャク属 日本各地の内湾の潮間帯の岩礁や淡水の混ざる汽水域の砂泥地などに生息する小型のイソギンチャク。暗褐色や暗緑色の体壁に黄色やオレンジ色の縦縞が入る。名前はここからついた。個体変異があり縦縞のないものもある。水の中で淡い褐色の触手を伸ばす。無性生殖で分裂によって殖える。
■右:ハマヒルガオ(浜昼顔)
ヒルガオ科ヒルガオ属 日本全土の海岸の砂浜に生育するつる性多年草。葉の形はハート形に近く肉厚で光沢がある。5~6月に淡紅色でアサガオのようなろうと形の花をつける。砂中に地下茎を伸ばし繁殖するので群落を作ることが多い。海岸に生えヒルガオの花に似ていることからついた名。

 

                                            
■左:ハマナデシコ(浜撫子)
別名フジナデシコ ナデシコ科ナデシコ属 本州から沖縄の海岸付近に生育する多年草。葉は肉厚でつやがあり、カワラナデシコなどに比べ幅広い。7~10月、茎の先端に紅紫色の花を多数まとまってつける。浜に生えるナデシコ(花姿が子のように撫でたいくらい可愛い)の意味。
■左中:ベニバナボロギク(紅花襤褸菊)
キク科ベニバナボロギク属 本州から九州の草地などに生育する1年草。アフリカ原産の帰化植物。8~11月、筒状の紅色の小さな花が集合し下向きにつく。花の終わったあとにタンポポのような綿毛ができる。この綿毛の様子が襤褸(ボロ)布を想像させることからついた名。
■右中:ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い)
別名トゲソバ タデ科イヌタデ属 日本全土の林縁や道端などに生育するつる性1年草。5~10月に淡紅色の花を枝先に10個ほど金平糖のような形につける。果実は黒く熟す。葉は三角形で葉柄が長い。茎や葉柄にある下向きの刺を他のものにひっかけて伸びる。継母が継子いじめに棘の多いこの植物で尻を拭く、という想像からつけられた名。
■右タヌキマメ(狸豆)
マメ科タヌキマメ属 東北南部以西から沖縄のやや湿った日当たりがよい土手や道端などに生育する1年草。7~9月、青紫色の花を枝先に穂状につける。花は午後咲き夕方に閉じる。萼は大きく褐色の毛が密生する。マメ科の植物には珍しいササのような細長い単葉。名前は萼をタヌキにたとえたという説や、花の姿を正面から見た様子からついたという説がある。

 杵築市のある国東半島は神と仏が共存する神仏習合文化の発祥の地と言われています。また切支丹大名として有名な大友宗麟が積極的にキリスト教を保護したため、キリシタンや南蛮文化に関連する地も多くあります。そんな歴史文化に触れることができる国東市から杵築市を経て日出町まで続く111km(いい祈り)の道は『オラショ巡礼の道』と名付けられ、ウォーキングのイベントなども行われています。今回はその一部を訪ねてみました。

 最初に向かったのはロイヤルシティ別府湾杵築リゾートからも近い杵築市の中心に残る城下町です。1394年に築城された杵築城(現在の天守閣は1970年復元)の城下町は、南と北の高台に武家が、谷間に商人が暮らしていたことから、『サンドイッチ型城下町』と呼ばれています。『きものが似合う歴史的町並み』に全国で初めて認定された武家屋敷や古い商家が並ぶ中、有事の際は西の砦になった寺町の緩やかな坂道沿いに5つの寺が並んでいます。その一角に瓦屋根の尖塔が見えました。1953年に献堂された『杵築カトリック教会』です。教会は白壁塀と武家門に囲まれ、周囲の景観に溶け込んでいます。歴史のある街並みの中に教会が建っているのは、古くからキリスト教を受け入れる文化が根付いているからでしょうか。夕日を受けた尖塔のマリア像が印象的でした。


■杵築カトリック教会
1953年に開設されたカトリック・サレジオ会の教会。杵築城の城下町の西に位置する寺町の一角、5つの寺に並んで建つ。瓦屋根の小さな尖塔をもつ和風の建物で、周囲は白壁塀に囲まれ、武家門がある。

 今回の宿泊は杵築市から車で30分ほどの別府市内。朝食前の散策は前の晩にライトアップした帆船があったのを思い出し、港に向かいました。ラジオ体操の音が聞こえる公園の生垣に絡んだナツフジなどの写真を撮りながら別府国際観光港に着くと、帆船を見に来た人や釣りを楽しむ人が訪れていました。停泊していたのは二代目『海王丸』。引退し富山県氷見市の海王丸パークに展示されている初代海王丸の後を継ぐ帆船です。残念ながら帆はたたんだ状態でしたが、幸運にも『海の貴婦人』と呼ばれる美しい姿を間近で見ることがきました。ふと足元を見るとツユクサが咲いていました。よく見る物より大きく毛が多いので、海辺に多く分布するマルバツユクサです。別府国際観光港は大阪港と、大分港は神戸港との間でフェリーさんふらわあが運航しています。フェリーを利用すれば関西から自分の車で移動できるので、乗り慣れた車で別荘生活を送りたい人には便利です。


■左:ナツフジ(夏藤)
マメ科ナツフジ属 本州の関東地方南部以西から九州の山地や丘陵の林内や林縁などに生育するつる性落葉木本。日本固有種。葉や花はフジによく似るが、7~8月にクリーム色の花をつける。名前はここからついた。フジのようには太くならず、高くまで絡みつくことはない。つるはフジと同様に時計回りに伸びる。ヤマフジは反時計回り。
■中:海王丸II世
日本最大の帆船である日本丸と共に独立行政法人海技教育機構の練習帆船。1989年に『海の貴婦人』と呼ばれた初代海王丸の後を継いだ。船首の『紺青(こんじょう)』と名付けられた横笛を吹く女性の像が航海の安全を見守る。日本丸の船首像は手を合わせ祈る女性の像『藍青(らんじょう)』で、2隻を見分ける大きなポイント。
■左:マルバツユクサ(丸葉露草)
ツユクサ科ツユクサ属 本州の関東地方以西から九州に生育する1年草。海岸に多いと言われていたが、近年は内陸部にも分布を広げている。7~10月に淡青色の花をつける。ツユクサに比べ花は小型で色が薄く、花柄が長いので2つ折りになった苞から飛び出す。花は通常2個づつつける。葉がツユクサより大きく丸みを帯び、縁が波打つ。花の後にできる種子の他、地中にできる閉鎖花からできる種子で繁殖する。ツユクサに比べ葉が丸いことからついた名。ツユクサは古名の『着き草』が転化したという説や、朝咲いた花が昼にはしぼんでしまい朝露を連想させることからついたという説がある。

 この日は杵築市と別府市の間に位置する日出(ひじ)町に向かいました。最初に訪れた『大分トラピスト修道院』は1980年に創立された日本で2番目のシトー会の男子修道院で、「祈り、働け」の修道生活を送っているそうです。資料展示室にフランシスコ・ザビエルの聖遺物(身体の一片)が祀られていることからも、大分が日本のキリスト教の歴史上でいかに重要な地であるかがわかります。資料展示室の横にあるトラピストクッキーを焼く製菓工場ではガラス越しに作業を見ることができ、ここで作られたクッキーは他の修道院で作られた製品とともに売店で購入できます。買い求めたクッキーはバターの風味が豊かで甘さ控えめの素朴な味。もっと買ってくればよかったと後悔しました。修道院は別府湾を一望できるなだらかな丘に建ち、手入れが行き届いた庭からは天気が良いと佐田岬も見えるそうです。綺麗に刈られた土手にはネコハギカワラケツメイがひっそりと小さな花をつけていました。

■左:大分トラピスト修道院
正式名称『厳律シトー会・お告げの聖母修道院』。ローマ・カトリック教会に属す。北海道の灯台の聖母トラピスト修道院から派遣された7人の修道士によって1980年に創立された日本で2番目のシトー会の男子修道院。「祈り、働け」の修道生活を送っている。本館は見学できないが、資料展示室で修道生活が紹介されている他、聖遺物などの展示物が見られる。売店ではここで作られたトラピストクッキーや、他の修道院で作られた製品が購入できる。(写真は修道院の庭から見た別府湾)[速見郡日出町]
■中:ネコハギ(猫萩)
マメ科ハギ属 本州から九州の日当たりがよい道端や荒れ地などに生育する多年草。7~9月に赤紫の斑点が2個入った白い花をつける。葉は3出複葉(3枚がセットでつく)。茎は地面を這う。全体に軟毛が多いことから名前にネコとつけられた。ハギは毎年古い株からたくさんの新芽が芽吹くことから『生え芽(はえき)』が転訛したという説や、枝がホウキに使われることから『掃(は)き』から、などの説がある。
■右:カワラケツメイ(河原決明)
マメ科カワラケツメイ属。本州、四国、九州の日当たりのよい河原や道端などに生育する1年草または多年草。8~9月に淡い黄色の花をつける。葉はオジギソウに似ている。ハブ茶にするエビスグサ(生薬名:決明)と薬効が似ていて河原に生えることからついた名。

 日本に最初にキリスト教を伝えた宣教師フランシスコ・ザビエルは、戦国時代の1551年に山口から大友宗麟の待つ豊後府内に向かう際、日出町の西鹿鳴越道(にしかなごえどう)を歩いたと伝えられています。『ザビエルが歩いた道』と呼ばれるその道の途中には棚田と水を汲みにくる人が絶えず訪れる有名な山田湧水があります。湧水の駐車場ではイヌビワがたくさんの実がつけ、色づき始めていました。駐車場の横の細い坂道に『ザビエルが歩いた道 西鹿鳴越道登り口』と書かれた看板が立っています。登り始めは軽自動車が通れるくらいの道幅ですが、さらに進むと険しい道になり、大友氏が城を建てる際に石を切り出した石切跡などもあるそうです。450年以上も前にザビエルは何を思いながらこの道を歩いたのでしょうか。道沿いの樹々にはヤマノイモカエデドコロ、センニンソウ、カラスウリなどのつる植物が絡みついて花をつけていました。といってもカラスウリの花が咲くのは夜なので昼間はしおれています。実もまだ緑色でしたが、細長い不思議な形のものが下がっていました。ヘビのようにも見えるので一瞬ドキッとしましたが、よく見るとカラスウリクキフクレフシと呼ばれる虫こぶでした。


■右・中:山田湧水と棚田
日出町は鹿鳴越連山に降った雨が長い年月をかけて湧き出る良質な湧水が多い。その中でも山田湧水は有名で、水を汲みに来る人が絶えない。すぐ横には棚田もある。[速見郡日出町]
■左:イヌビワ(犬枇杷)
別名イタビ クワ科イチジク属 関東地方以西の暖かい地方の海岸沿いの山野に生育落葉低木。ビワとつくがビワの仲間ではなくイチジクの仲間。実は黒く熟すと食べられる。秋に鮮やかな黄色に紅葉する。果実がビワ(バラ科)に似るが味が劣るのでついた名。ビワは果実の形が楽器の琵琶に似ていることから。『イヌ』は劣るという場合や似ているが違うという意味で使われる。

■左:ザビエルが歩いた道
古くは豊後(大分県中から南部)と豊前(福岡県東部と大分県北部)をつなぐ鹿鳴越峠越えの街道のひとつだった西鹿鳴越道(にしかなごえどう)。日本に初めてキリスト教を伝えたカトリック教会の司祭、宣教師であるフランシスコ・ザビエルが1551年に豊後の守護大名大友義鎮(法号:宗麟)の招きで山口から豊後に向かう際に通ったといわれる峠道。その後ザビエルは大友義鎮の庇護を受け宣教を行った。
■左中:ヤマノイモ(山の芋)
別名ジネンジョ ヤマノイモ科ヤマノイモ属 本州から沖縄の山野や藪に生育するつる性多年草。雌雄別株。葉はハート形で対生につく。7~9月にひも状に白い花を多数つけ、雌花は垂れ下がり、雄花は立ち上がる。雌花は全開しないので球形に見える。種子には丸い翼が3個あり、下向きにつく。葉の付け根に珠芽(ムカゴ)がつくことがあり、これが落ちて翌年発芽する。この珠芽も食べられる。サトイモ(里芋)に対して山野に生るのでついた名。別名ジネンジョは自然に生えるイモ(薯)の意。(写真は雌株)
■右中:カエデドコロ(楓野老)
ヤマノイモ科ヤマノイモ属 本州中部以西から沖縄の日当たりのよい山野林縁などに生育するつる性多年草。雌雄別株。葉は3~9裂の掌状で互生につく。7~10月に黄色い小さな花を紐状の花序につける。雄花は枝分かれした花序に多くの花をつけ、雌花は1~2本の花序にはまばらにつき楕円形の子房が花の元にある。種子には丸い翼が3個あり上を向く。珠芽はつかない。葉の形がカエデに似ていることからついた名。野老はヒゲ根の多い根茎の様子を、腰が曲り鬚を蓄えた老人にたとえ「野老」と書き、海産の「海老(えび)」と対比させたという説がある。
■右:カラスウリクキフクレフシ(烏瓜茎膨れ附子、付子、五倍子)写真は雄株
ウリウロコタマバエ(瓜鱗玉蝿)に卵を産みつけられ蛇のように肥大し変形したカラスウリの茎。名前はカラスウリの茎が膨らんだフシ。フシは虫こぶ(虫えい)のこと。

 この日の昼食は地元のカメラマンさんお勧めの店に向かいました。遠浅の砂浜が広がる糸ヶ浜は海水浴はもちろん、テニスコートやキャンプ場、オートキャンプ場、ログキャビンなども整備されている海浜公園です。ここの売店棟をリニューアルして今年オープンした『砂浜食堂』は、地元の大神で水揚げされた海産物を使ったフィッシュバーガーやパスタなどが楽しめます。窓の外に広がる遠浅の海岸を見ながら食事をしていると南国にいるような気分に。眺めているとボードとパドルを持った人達が沖の方に歩いていくのが見えました。スタンドアップパドルというボードの上に立ちパドルを漕いで進むウォータースポーツを楽しむ人達で、隣の『糸ヶ浜サップテラス』でボードなどのレンタルとスクールがあり、初心者でも楽しめるそうです。


■:糸ヶ浜
国東半島の南の付け根、別府湾に面した広大な遠浅の砂浜。大分県有数の海水浴場。
周辺はオートキャンプ場やキャンプ場、テニスコートなどが整備された糸ヶ浜海浜公園。[速見郡日出町]


 白い竜が棲んでいたという伝説が残っている羽門の滝(うどのたき)は、樹々に囲まれた岩肌を流れ落ちる落差12mの美しい滝です。ここを流れる松尾川は下流で八坂川と合流し杵築市を流れ、杵築城の近くで守江湾に注ぎ込みます。滝の周辺は夏でも涼しく、周囲の石にはユキノシタやコケ、マメヅタ、数種のシダなどが生えていました。川の中の石に沿うようにワスレナグサに似た小さな花をつけているのはミズタビラコです。歩道の近くではヤブミョウガやフユイチゴも花をつけていました。滝の下流には川の水を引き込んだ松尾川河川プールがあり、夏休み中だったこの日も子供達が楽しそうに歓声をあげていました。

■左:羽門の滝(うどのたき)
杵築市内を流れる八坂川の支流のひとつである松尾川の上流にある滝。落差約12m。樹々に囲まれた岩肌を流れ落ちる。白い竜が棲んでいたという伝説が残る。
■中:ユキノシタ(雪の下)
ユキノシタ科ユキノシタ属 本州から九州の半日陰の湿った岩場などに生育する多年草。5~7月に長い花茎を伸ばし、白い5弁の小さい花を多数つける。上部3弁の花弁は短く、下部2弁は長いので『大』の字のようにも見える。丸く厚みがある葉の表面には毛が密生し、葉脈に沿って白い斑が入る。古くから民間薬として用いられた他、山菜として食べられた。名前の由来は寒さに強く雪の下でも葉が枯れないから、白い花を雪に見立て、その下に葉が見えることから、など諸説ある。
■右:ミズタビラコ(水田平子)
ムラサキ科キュウリグサ属 本州から九州の渓流や谷筋などの湿地などに生育する多年草。5~6月に白色から淡青紫色の小さな花をサソリの尾状につける。花は下から咲き進む。同じ属のワスレナグサやキュウリグサによく似ている。名前は水辺に生えるタビラコの意味。タビラコは同属のキュウリグサの別名だが、本来のタビラコ(コオニタビラコ)はキク科で春の七草のホトケノザのこと。田に平らに張り付くように葉を広げる様子からついた名。

■左:ヤブミョウガ(藪茗荷)
ツユクサ科ヤブミョウガ科 本州関東地方以西から九州の暖地の林や藪に生育する多年草。6~9月に白色の花をつける。1株に両性花と雄花が混在する。果実は黒紫色に熟す。藪に生え、葉の形がミョウガに似ていることからついた名。ミョウガはショウガとともに大陸から入ってきた際に、香りの強いショウガを『兄香(せのか)』、香りの弱いミョウガを『妹香(めのか)』と呼んだものが転訛した。
■右:松尾川河川プール
羽門の滝の下流、渓流の水を引き込んだプール。2つあるプールには小さな滑り台がある。(写真は羽門の滝の下流に架かる羽門の橋より)

 空港へ戻る途中立ち寄ったのは『日本の白砂青松100選』『快水浴場百選』に選ばれた2kmの砂浜と松並木が美しい風景が続く奈多(なだ)海岸です。その松林の中に鎮座する『奈多宮(なだぐう)』は八幡宮の総本社である宇佐神宮と関係が深く、海の中に見える鳥居が建つ小島、市杵島(いちきみや)に比売大神(ひめおおかみ)が降臨したと伝えられています。静かな境内で佇む2匹の側にユリが1輪咲いていました。タカサゴユリかと思いましたが、筒の外側が白いのでシンテッポウユリのようです。

■左・中:奈多宮(なだぐう)市杵島(イチキミヤ)
八幡宮の総本社である宇佐神宮と関係が深く、宇佐神宮の別宮として神亀6年(729年)に創建されたと伝わる。沖合300mにある鳥居が建つ小島は市杵島(いちきみや)または賢島と呼ばれる本宮。比売大神(ひめおおかみ)が降臨したと伝えられている。伊予灘に面した『快水浴場百選』(環境省)と『日本の白砂青松100選』(社団法人 日本の松の緑を守る会)に選ばれた奈多(なだ)海岸のほぼ中央に鎮座する。[杵築市]
■右:シンテッポウユリ(新鉄砲百合)
ユリ科ユリ属 本州関東以西から九州の荒れ地などに生育する多年草(球根)。7~11月に白い筒状の花を横向きにつける。タカサゴユリとテッポウユリとの交配種。テッポウユリとよく似るが葉が細い。花は純白でタカサゴユリのように外側に紫褐色の筋が入らないが、タカサゴユリの中にも筋が入らない個体が出ることもあるので、見分けるのは困難。繁殖力が強く発芽後1年以内に花が咲くので分布地が拡大している。高砂はタカサゴユリの原産地、台湾の古い呼称。写真はシンテッポウユリと思われる。


 大分県というと温泉がクローズアップされることが多い『温泉県』ですが、日本のキリスト教の歴史に大きく関わった場所や由緒ある神社、豊かな自然などに触れ、もっといろいろな場所を見て、深く知りたくなりました。いつかゆっくり国東半島を巡ってみたいと思います。

 
※上記写真は全て平成28年7月撮影


担当スタッフ紹介

ガイド写真

自然観察指導員1級造園施工管理技士
グリーンアドバイザー

関口 亮子

群馬県前橋市出身、恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒業、現在「むろたに園芸研究所」勤務、設計、草花植栽、園芸講座講師を担当、特に自然風の庭造りを得意とする。

 

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