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2025年05月16日
24年度改定検証調査
リフィル処方箋の利用進まず、全処方箋の1割未満
厚生労働省が4月23日の中央社会保険医療協議会・総会に報告した2024年度診療報酬改定の検証調査の結果によると、リフィル処方箋の全処方箋に占める割合は24年7月診療分においても0.07%と、依然として低い水準にあることがわかった。
リフィル処方箋の推進策として24年度改定では、「生活習慣病管理料」や「地域包括診療料・加算」等の算定要件にリフィル処方箋の交付に対応できることの院内掲示などが追加された。この効果検証のため、医療機関、医師、患者等を対象にした調査やNDB(匿名医療保険等関連情報データベース)データの分析を実施した。
このうちNDBデータの分析結果をみると、全処方箋に占めるリフィル処方箋の割合は、▽22年7月診療分0.04%(病院0.08%、診療所0.03%)▽23年7月診療分0.05%(病院0.12%、診療所0.03%)▽24年7月診療分0.07%(病院0.14%、診療所0.05%)―と年々微増してはいるものの、十分普及しているとは言い難い状況にある。
発行しない理由は「長期処方で対応可能だったから」が最多
一方、医療機関調査でリフィル処方箋の発行経験があると回答したのは病院が40.6%、診療所が53.6%だった。リフィル処方箋の発行経験がない医師に理由を聞くと、病院・診療所とも最も多かったのが「長期処方で対応が可能だったから」で、それぞれ57.1%、59.6%を占めた。リフィル処方箋ではなく長期処方を選択した理由では、「患者にリフィル処方箋を必要とされていないから」(病院62.0%、診療所45.3%)、「薬を処方する際には医師の判断が毎回必須と考えるから」(病院49.0%、診療所69.8%)といった回答が上位となった。
リフィル処方箋の課題と考えられることでは、病院・診療所、リフィル処方箋発行実績の有無といった区分を問わず「患者への制度の周知が十分でないこと」との回答が最多、次いで「医師への制度の周知が十分でないこと」だった。この結果を裏付けるように、患者調査でリフィル処方箋について「制度の内容まで知っていた」と回答した割合は、郵送調査が33.2%、インターネット調査はわずか6.1%にとどまった。
2025年4月23日時点の情報に基づき作成