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住 暮らしを紡ぐ 住まいのエッセンス

マンション住宅市場を読み、賢く住まう
住まいの資産価値 住み替えを検討される場合、知っておきたいのは住まいの資産価値。査定のポイントや流れをご紹介します。
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マイホーム購入後も、ライフステージは変化するもの。家族の構成や仕事に合わせて、住み替えを検討する必要がでてくることも。いざという時に慌てないように、住宅市場動向をチェックしながら人生設計を立てて行くのも、安心した暮らしを紡いでいくためには必要です。
そこで今回は、一般財団法人日本不動産研究所の調査による「マンション住宅市場の動向」をご紹介します。ご自宅を購入したばかりの方は、ライフイベントに合わせたマネープランの参考に。長く住んだ方はリフォーム、買い替えなど老後のプランのためにも、ぜひチェックしてください。

  • マンション市場の概要
  • 新築マンション市場 動向と特徴
  • 中古マンション市場 動向と特徴
  • マンション市場の予測

マンション市場の概要マンション市場の概要

2017年上半期における首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新築分譲マンション販売戸数は14,730戸。それに対して、中古マンション成約戸数は19,520戸で、中古が新築を上回る状況が続いています(図1)。

図1 首都圏の新築分譲マンション販売戸数と中古マンション成約戸数の推移
図1 首都圏の新築分譲マンション販売戸数と中古マンション成約戸数の推移

資料:公益財団法人東日本不動産流通機構と株式会社不動産経済研究所の公表資料に基づいて作成

首都圏のマンション市場においては、2013年から新築の販売戸数が減少傾向を示している一方で、中古の成約戸数は概ね増加傾向が続いていることがわかります。特に2016年は中古マンションの成約戸数(37,189戸)が過去最高水準となり、初めて新築(35,772戸)を上回りました。

新築分譲マンション市場の動向と特徴新築分譲マンション市場の動向と特徴

2017年上半期の首都圏新築分譲マンションの販売戸数は、2013年上半期(24,299戸)と比べて約40%も減少しました(図2)。 その一方で、2017年上半期の平均販売価格(5,884万円)は、2013年上半期(4,736万円)より約24%上昇しています。

図2 首都圏の新築分譲マンションの価格と販売戸数の推移
図2 首都圏の新築分譲マンションの価格と販売戸数の推移

資料:株式会社不動産経済研究所の公表資料に基づいて作成

一般取得層の世帯年収の増加が新築分譲マンション価格上昇に追いついておらず、平均月間契約率は2016年上半期(68.4%)以降、販売動向の好不調の目安とされる70%を下回っている状況です。 2016年の歴史的超低金利や、住宅ローン減税の拡大があっても、新築分譲マンション市場の低迷状況の改善には繋がっていないと言えます。

中古マンション市場の動向と特徴中古マンション市場の動向と特徴

2017年上半期の首都圏中古マンションの成約戸数は19,520戸。各年の上半期の成約戸数のみをみると、2016年上半期(19,148戸)の過去最高水準を更新しました。 図3で表示された近年の月次の成約戸数の前年同期比をみると、2013年には住宅需要が拡大して、ほぼ2桁台の上昇が続いたものの、2014年になると鈍化し、消費税増税が実施された4月からは2桁台の大幅なマイナスに転じました。
2015年に入ると、3月までは前年に比べて減少が続きましたが、4月からは上昇に転換しています。
2016年以降、前年同期比は一進一退を繰り返しながらも毎月の成約戸数が3千戸を上回る月が多くみられます。

図3 首都圏の中古マンションの成約戸数の推移
図3 首都圏の中古マンションの成約戸数の推移

資料:公益財団法人東日本不動産流通機構の公表資料に基づいて作成

中古マンションの供給量は新築に比べると圧倒的に多く、2017年上半期の新築分譲マンションの販売戸数が14,730戸だったのに対して、中古マンションは毎月平均16,200戸の新規登録物件が市場に出ています。
中古マンションの物件が豊富になり、消費者の選択肢が幅広くなったことに加え、新築と比べた中古の値頃感も中古マンション成約戸数が増加する大きな要因と考えられます。

日本不動産研究所が中古マンションの成約価格をもとに集計している「不動研住宅価格指数」(図4)によると、首都圏の中古マンション価格は、2012年8月から概ね上昇傾向で推移し、2017年2月には2007年ミニバブルの最高値(2007年10月)を上回りましたが、4月をピークに5月、6月と2ヶ月連続でやや低下しています。
東京都も首都圏と同様の動きを示しており、この動きにより中古マンション価格は調整局面に入っていると考えられます。

図4 中古マンション価格の推移(2000年1月=100)
図4 中古マンション価格の推移(2000年1月=100)

資料:一般財団法人日本不動産研究所「不動研住宅価格指数」(2017年6月現在)

マンション市場の予測マンション市場の予測

日本不動産研究所が調査公表している「東京23区における新築マンションの価格と賃料の予測」では、2017年は、マクロ経済が安定的に推移することから、マンション価格はほぼ横ばいで推移し、マンション賃料は微増傾向が継続すると予測しています。2019年は、10月に消費税増税が予定されていますが、直接的な影響は少なく、マンション価格は引き続き横ばいで推移し、マンション賃料はほぼ横ばいながらわずかな上昇が継続する見込みです。2021年以降、経済成長率が0.5%前後と低く、一部の区では人口減少も始まるため、マンション価格はわずかですが低下傾向で推移し、2025年には2014年頃の水準に近づき、マンション賃料は2021年以降もほぼ横ばいでわずかな増加傾向が続き、2025年には2006年頃の水準に近づくと予測しています。

図5 東京23区における新築マンションの価格と賃料の予測
図5 東京23区における新築マンションの価格と賃料の予測

資料:一般財団法人日本不動産研究所「東京23区のマンション価格と賃料の中期予測」(2017年5月)

首都圏では地価の上昇によってマンション用地の確保はますます難しくなり、建設業における人手不足もさらに深刻化しており、新築マンションの建築コストの高止まりは一定期間収まらないと思われます。一方、政府が中古住宅市場活性化へ向けて本腰を入れることにより中古住宅の取引環境が改善されつつあり、中古マンションの選択の幅が広がっていることから、2017年後半も新築分譲マンションと比べて中古が堅調な推移を示すと予想しています。

記事協力記事協力

一般財団法人日本不動産研究所:

日本最大の不動産に関する総合調査研究機関。
各調査内容は、日本統計年鑑・土地白書・林業白書などの政府刊行物に引用され、また政策立案の基礎資料として重要な役割を果たす。

http://www.reinet.or.jp/

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