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ブドウのポリフェノール、トマトのリコピン、ゴマのセサミン、お茶のカテキンなど…。植物が作りだす成分「ファイトケミカル」には、人間の健康に欠かすことのできない、驚くべきパワーが秘められています。老化や生活習慣病も防いでくれるという、その力とは…?ファイトケミカルの第一人者に伺いました。

植物が生き残るため身につけた、特別な成分

ファイトケミカルとは、野菜や果物など植物(ファイト)に含まれる色素、香り、辛味、苦味などの天然成分のこと。
抗酸化作用や免疫強化、デトックスなど多くの健康効果が次々と明らかになり、今では糖質・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素、食物繊維に続く第7の栄養素として注目を集めるようになりました。

なぜ、植物にこのような力が宿っているのでしょうか。
その答えは、植物と環境との闘いの歴史にあります。自分で移動することができない植物は、どんなに過酷であろうと、根付いた場所で生き残っていかなくてはなりません。そこで植物は、外敵から身を守る機能をみずから生み出すことで進化を遂げてきました。紫外線を浴びると発生する活性酸素を中和する、種子を腐敗やカビから守る、独特の色や香り、味で害虫を撃退する など、これらのさまざまな自衛機能を支えている成分がファイトケミカル。
私たち人間はファイトケミカルを体の中でつくることができませんが、これらの成分を体内にとりいれることで、植物と同じようにカラダの「自衛」に役立てることができるのです。

ファイトケミカルは、①ポリフェノール ②イオウ化合物 ③カロテノイド ④糖関連物質 ⑤アミノ酸関連物質 ⑥香気成分 の6種類に分類されますが、同じ分類内でも、植物にそれぞれ豊かな個性があるように、働きも実にさまざま。
現在ではおおよそ数千種類が判明していますが、1万種ほど存在する可能性もあるといわれています。

体を守る、ファイトケミカル7大作用

ファイトケミカルにはさまざまな働きがありますが、中でも注目すべきなのは、

①抗酸化作用
②デトックス作用
③免疫調整作用
④がん抑制作用
⑤血管の病気を防ぐ作用
⑥アンチエイジング作用
⑦ストレス緩和作用

の7つです。

①抗酸化作用
紫外線やストレスにより発生する活性酸素を無毒化し、体の酸化を食い止めて老化や疾患を防ぎます。

【主なファイトケミカルと含まれる食材】
アントシアニン(赤ワイン、紫芋、黒米)、イソブラボン(大豆)、ケルセチン(タマネギ)、ケンぺロール(ブロッコリー、茶)、カテキン(緑茶)、クロロゲン酸(コーヒー)、フェルラ酸(米ぬか、玄米、コーヒー)、α-カロテン(ニンジン)、β-カロテン(ニンジン、カボチャ)、β-クリプトキサンチン(温州みかん)、リコピン(トマト、スイカ)、フコキサンチン(ひじき)

②デトックス作用
肝臓の解毒酵素の働きを促進し、体内に入った有害物質を無毒化します。

【主なファイトケミカルと含まれる食材】
セダノライド(セロリ)、クルクミン(ウコン、カレー粉)、スルフォラファン(ブロッコリー)、イソチオシアネート(キャベツ)、アリルイソチオシアネート(大根、ワサビ)、アリシン(ニンニク)、ジアリルスルフィッド(ニンニク)

③免疫調整作用
免疫は強くなりすぎてもよくありません。
A:がん細胞や病原体などに対する攻撃力を強化する B:アレルギー反応や炎症など、暴走した免疫を抑えるの2つでバランスを整えることが、健康の秘訣です。

【主なファイトケミカルと含まれる食材】
A:攻撃力を強化する…NK細胞やT細胞、白血球を増やすなどの働きをするもの
ジンゲロール(ショウガ)、β-カロテン(ニンジン)、β-グルカン(キノコ類)、フコイダン(海藻類)
B:暴走した免疫を抑える
ルテオリン(ピーマン)、ケルセチン(タマネギ)、ヘスペリジン(ゆず、みかん)、プロアントシアニジン(クランベリー、ブドウ種子)、ジンゲロール(ショウガ)

④がん抑制作用
A:がん細胞の増殖を抑える作用をするもの、B:がん細胞の自滅(アポトーシス)を誘導する作用をするものがあります。

【主なファイトケミカルと含まれる食材】
A: がん細胞の増殖を抑える
ケルセチン(タマネギ)、カテキン(緑茶)、テアフラビン(紅茶)、フコキサンチン(ひじき)
※イソフラボン(大豆)は乳がんや前立腺がん、リコピン(トマト)は前立腺がんや肺がんを抑制します
B:がん細胞の自滅を誘導する
ジインドリールメタン(白菜)、イソチオシアネート(キャベツ)、ワサビイソチオシアネート(ワサビ)、アリシン・アホエン・ジアリルジスルフィッド(ニンニク)

⑤血管の病気を防ぐ作用
A:血液をサラサラにして、血栓ができるのを防ぐ作用と、B:悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する作用で、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などを防ぎます。

【主なファイトケミカルと含まれる食材】
A:血液をサラサラにする
ケルセチン(タマネギ)、アントシアニン・レスベラトロール(赤ワイン)、ルチン(そば)、トリスルフィッド・アホエン・ジチイン(ニンニク)、アリルイソチオシアネート(ワサビ、大根)、イソチオシアネート(キャベツ)
B:動脈硬化を予防する
セサミン・セサモリン(ゴマ)、セラミノール・セサモール(ゴマ油)、アントシアニン・レスベラトロール(赤ワイン)、テアフラビン(紅茶)、クロロゲン酸(コーヒー)、アリシン(ニンニク)、リコピン(トマト、スイカ)、β-カロテン(ニンジン、かぼちゃ)、β-クリプトキサンチン(温州ミカン)

⑥アンチエイジング作用
老化とともに顕著になる、A:脳  B:目 C:骨それぞれの働きを強化し、機能の低下を防ぎます。

【主なファイトケミカルと含まれる食材】
A:脳の老化を防ぐ…認知症やアルツハイマー病予防、記憶力の改善など
フィセチン(イチゴ)、テアフラビン(紅茶、ウーロン茶)、レスベラトロール(赤ワイン)、カルノシン酸(ローズマリー)、フェルラ酸(玄米・コーヒー)
B:目の老化を防ぐ…加齢性網膜黄斑変性症、白内障の改善、視力低下の予防など
アントシアニン(ブルーベリー、赤ワイン)、ルテイン(ホウレンソウ、ケール)、ゼアキサンチン(トウモロコシ、ネクタリン、パパイア)、β-クリプトキサンチン(温州ミカン)
C:骨の老化を防ぐ…骨粗しょう症を予防
イソフラボン(大豆)、ケンペロール(ニラ、ブロッコリー、赤タマネギ)

⑦ストレス緩和作用
ストレスや興奮を抑え、精神を安定させることで、カラダの健康に繋げます。

【主なファイトケミカルと含まれる食材】
α-ピネン(ミョウガ、春菊)、シネオール(カモミール)、アピイン(パセリ、セロリ)、セダノライド(セロリ)

素晴らしい効果を持つファイトケミカルを、毎日の生活の中で上手に取り入れていきましょう。
次回は、効果的なファイトケミカルの摂取方法についてお伝えします。
高橋 弘

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