人々が想い描く、多彩なライフスタイルにお応えできる住まいをつくりたい。そんな想いから生まれたダイワハウスのマンションブランド「プレミスト」。プレミストが掲げるコンセプトを実現する大きな鍵となるのがデザインです。6年あまりで大きな変革を遂げてきたダイワハウスのマンションデザインへの取り組みを、担当者からご紹介します。

「デザイン」「植栽」のガイドラインで、“ひとつ上の上質”を標準に
 ダイワハウスでは従来、全国の各現場がそれぞれに培ったノウハウを活かして、独自性の高いマンションづくりを行ってきました。そのノウハウを一手に集約して平準化し、さらに統一感のあるレベルの高いデザインを実現するべく、デザインを統括する「設計デザイン室」が設立されたのは、今から6年半前のことです。ダイワハウスマンションのデザイン性はさらに向上し、2014年から2018年まで、5年連続でグッドデザイン賞を受賞させていただくまでになりました。
  •  品質平準化の第一歩として着手したのは、「デザインガイドライン」の作成です。改良を重ね、現在4版目。このガイドラインを見れば、常にダイワハウスの目指すデザインに立ち返ることができるようになっています。

     プレミストのデザインコンセプトは、“ひとつ上の上質さ”。目指すのは、住まう人の感性に訴え続け、時を重ねるごとに愛着が増すようなマンションをつくることです。上質なマンションの条件として、ファサード(建物の外観)・エントランス(建物の入口)・ランドスケープ(建物外の構造物や植栽)の3つを重要な要素と考え、デザインコードを設けました。過去のダイワハウスのデザインには質実剛健なイメージがありましたが、現在は女性的な柔らかさや優しさのエッセンスを取り入れることを主としています。

     また、「遠景・中景・近景」といった3つの距離からデザインを捉えることにも重点を置きました。マンションは、まず遠くから見た形(遠景)で印象が決まり、近づいていくと、影だと思っていた部分が濃い色で塗られている、色づいて見えた部分が影だったなど、徐々に建物のディテールがわかってきます(中景)。さらに近づくと、タイルが使われている、紋様が刻まれているなど、建材の種類や素材感を感じることができます(近景)。この3段階それぞれで魅力的に感じてもらえるようなアプローチや工夫を「デザインガイドライン」に盛り込みました。
 また、建物や建造物と同じくらい大切なのが「植栽」のデザイン。植栽が景観として与える印象は極めて大きいため、デザインとは別に独立した形で「植栽ガイドライン」を作成しました。例えば、業者さんにタマリュウを植えてもらう時に、図面に書くべき適切な用語はどんなものか。隙間なく敷き詰められた美しいタマリュウの緑地にできるかどうかは、指示一つで決まります。こういった細かいノウハウの他にも、寒さや暑さ、日向・日陰など気候や条件に合った植栽を分類しており、物件にふさわしい植栽を選ぶことができます。マンションに帰ってきた時、エントランスにきちんと刈り込まれた緑のサツキツツジ、赤や黄色のカラーリーフ、ツワブキのように面白いカタチの葉などバランスのよい植栽があると、とても豊かな気持ちになりますよね。色とりどりの花や、四季を感じる植栽があるのもいい。そういったアイデアも「植栽ガイドライン」には実際例として数多く紹介しています。

 建物と植栽、この2つのデザインにしっかりと取り組んでいけば、マンションのグレードは確実に上がる。この6年半のものづくりがそれを実証しています。
事業者・設計・デザイン。3者の知恵が結集し、より高みを目指すものづくりへ

プレミスト白金台(分譲済)

 設計デザイン室が設立して変わったことがもう一つ。それは、デザイン事務所との協働です。それまでは私たちダイワハウスの担当が、設計事務所と一緒に一からデザインを考えていました。しかし現在は、優れたデザイン事務所を積極的にお招きし、力をお借りするスタイルへと転換しています。この新しい取り組みで、今までになかった素晴らしい化学変化が生まれるようになりました。

  •  ダイワハウスでは、デザインを発注する際に、まず近隣にある施設なども全部組み込んだ簡易パース(完成図)のデザインを作成し、デザイン事務所や設計事務所とブレストしながら、どんどんブラッシュアップしていきます。当初、デザイン事務所の方には、この進め方についてよく驚かれました。「普通は発注先からデザインが来ることはない。図面を渡されるだけ」とのこと。昔からデザインを手がけてきた歴史もありますが、土地や住まう人のことを一番知っているのは私たちダイワハウスであり、どんなマンションをつくるべきかという軸を立てる責任があります。だから、まずは私たちが一つのデザイン案を出して共有するけれども、専門家にはそこからさらに良いデザインを提案してほしい、と期待していることをお伝えしました。すると、そのスタンスを理解していただいたデザイン事務所や設計事務所から、今までになかった素晴らしいアイデアを次々と出していただけるようになりました。例えば、ある物件で、デザイン案をお渡しする時に、「敷地が斜面地ゆえに高低差があり、階段が直線だと角度が急。住む方にとって危ない」というコメントを送ったところ、階段を雁行させて所々に植栽を設ける美しいプランをご提案いただいたことがあります。緑が入って景観が豊かになるし、万が一転倒しても、大きな事故に繋がらない。短い期間で課題を捉え、柔軟な発想で返して下さった意欲に感動しました。
  • プレミスト白金台(分譲済)

    プレミスト九段(分譲済)©️Forward Stroke inc.

 私たちがデザインを考える時には、どうしても冒険を恐れて思考が制限されてしまうことがありますが、その壁を飛び越え、新しい発想をもたらしてくださるのが専門家。私たちはその発想を歓迎しながらも、かかるコストや納まりを考え、「作り方が難しい」「住まう方や周囲に不便」「販売価格が上がってしまう」といった内容にはブレーキをかけつつ、プランニングを進めていく。大変良い関係性で、切磋琢磨しながら精度の高いデザインをつくることができています。現場で実際に物件を創り上げてくださる施工業者の方々も含め、すべての方々に感謝して進められるのがダイワハウスのものづくり。設計事務所やデザイン事務所のお名前をパンフレットやウェブサイトに掲載しているのも、協働したパートナーとして皆さんに知っていただきたいからです。物件ができあがった時には一緒に喜び、質の高い物件を一緒に提供できている手応えがありますね。
街と調和し、全ての人に「建って良かった」と思っていただけるマンションに
  •  マンションをデザインする上で第一に考えるのは、街並みとの調和です。例えばマンションの色は、青空や植栽の緑といった自然の色に映えるアイボリー系を基調にしていますが、周りの建物が全て茶系であれば、周囲になじみながら上質感のある明るい茶系を採用したりします。逆に、街並みが不揃いである場合には、私たちのデザインをこれから建つ他の物件に真似てほしいという想いから、ベンチマークとなるような確固たる色合いやデザインにすることもあります。また、住まう方々だけではなく、近隣の方々にも評価してもらえるような工夫も必要です。
  • プレミストひばりが丘フィールズ(分譲済)

 たとえば、壁面にフットライトを設置して道を照らすようにすると、夜道がドラマチックになったり、防犯性が向上したりしますし、足元周りの植栽を豊かにすれば、見た目にも潤いが生まれたりする。我々のつくるマンションを良くするだけではなく、周りにも「このマンションが建って良かった」と喜んでもらえる環境をつくることができているか、開発者としてチェックしなくてはいけません。ですから、デザインでも第一段階の時から、近隣や建物の位置をしっかりと入れて、「エントランスが他の建物と近いから、向きを90°変えて距離を取る」など、心地よく暮らせるような具体的な検討を最初から行うようにしています。
住まう方の生活や幸せをどこまで想像し、工夫を凝らせるか
 マンションが建つ土地へは、朝・昼・夜と時間を変えて何度も足を運びます。実は夜、目の前の道路が抜け道になっていて交通量が多い、朝は近くの工場から甘い香りが漂ってくるなど、その時間に行ってみないとわからないことがたくさんあります。設計事務所やデザイン事務所にもしっかりと土地を見ていただき、快適さや安全を守る必要がある場所には費用をかけるなど、緩急をつけてデザインをしていただくようにしています。中でもマンションの顔となるファサードや、お客様をお迎えするエントランスなどは特にしっかりとデザインを考え、住まう方がこのマンションを選んで良かったと誇りに思ってもらえるような“上質さ”を実現する必要があります。ただ、高い素材を使うだけがデザインではありません。例えばエントランスでも、あえてエントランスを奥に配置してアプローチを長く引きこんだり、横から長く距離を置いて入ったりするようにつくる。見えない角度にエントランスを設けるように動線を工夫すると、隠れ家的な落ち着きや、住人しか入れないプライベート感を醸し出すことができます。そういった配置のアイデア一つで、過度な費用をかけなくても素敵なデザインが生まれ、お客様にも自信をもってマンションをご提供できる。前出した「デザインガイドライン」にも、そういったアイデアや工夫が込められています。他にも、マンションの構成要素を配置する位置や方向、大きさなど、住まう方の利便性を実現するデザインについては、実にいろいろな検討を行います。このマンションを買ってくれる方がどんな方で、どういうものを望まれているのかを考え抜けば、具体的な雰囲気やイメージが見えてきます。どこまで想像できるかが、私たちの腕の見せ所でもあるというわけです。
  •  このような想いを込めてつくられたマンションの素晴らしさを共有できるよう、社内では定期的に「商品デザインレビュー」を開催しています。デザイン事務所を3社お招きし、竣工した物件の中でも、特に優れている4~6つのデザインを物件担当者がプレゼンテーション。外観、外構、内観、コンセプト、そしてプレゼンテーションの5つで、外部の先生方に客観的に評価していただきます。今年で12回目になりますが、今回も、どれが一位になってもおかしくないような僅差でした。デザインレベルの向上はもちろんですが、回を経るごとに社員がとても意欲的になっており、次は絶対に一位を取りたい!という気概を感じます。「建物の顔は特に力を入れる」「植栽は丁寧に」といった共通言語もよく耳にするようになり、ガイドラインで掲げたダイワハウスのものづくりが、深く浸透してきたことを実感しています。
ダイワハウスのデザインは、まだまだ進化できる
 これからも、お客様に評価していただけるマンションをつくることが私たちの使命であり、デザインが重要な要素であることに変わりはありません。その上で強みとなるのは、ダイワハウスのスケールメリット。私たちは札幌から沖縄まで、日本全国で物件を手がけてきました。また、あらゆるグレードのマンションや戸建、店舗、再開発と、実にさまざまな種類の物件を手がけてきた実績もあります。これらのノウハウをさらに横展開して、例えば評価を受けたあるマンションのエントランスを、素材を変えて違うグレードのマンションで表現する、というようなこともできるはず。大きな可能性を感じますね。また、協力し合える良いパートナーに巡り合えれば、デザインはどんどん広がって行くと思います。デザイン事務所には国内外でグローバルに活躍されている方も多く、いつも新しい形を提供してくださいます。私たちも常に勉強し成長して、パートナーの方々に、またいいものを一緒に創りたいと思っていただけるような関係性を続けたい。それが、お客様に新たなデザインを提供できることへ繋がっていくと感じています。私たちと一緒にやった仕事が、他のデベロッパーと一緒になった時に違う形で開花することもあるでしょうし、逆もある。良い意味で業界全体のレベル向上に繋がっていけば光栄ですね。