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~花粉症の救世主?舌下免疫療法~

今年もスギ花粉の季節が到来し、辛い症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか。さまざまな治療が進められる中、注目を集めているのが「舌下免疫療法」。2014年からは保険適用の対象となり、受診者が急増しているとか。治療の内容についてご紹介します。

3年間の治療で、花粉に強いカラダをつくる

「舌下免疫療法」とは、アレルゲン免疫療法の一つ。アレルギーの原因となっているアレルゲン(スギ花粉)を少しずつ体内に投与することで免疫をつくり、アレルギー症状を和らげる治療法です。

アレルゲン免疫療法には、注射による「皮下免疫療法」、舌の下にある粘膜から投与する「舌下免疫療法」という2つの方法がありますが、注射に比べて痛みがなく、通院も少なくてすみ、副作用も比較的軽いという理由から「舌下免疫療法」を選ぶ方が増加しています。

●治療には最低でも3年かかる
治療には「シダトレン®」という薬を使用します。治療初日~14日目は増量期として薬の用量を徐々に増やしていき、15日目からは維持期として毎日1回、固定量を舌の下に投与し続けます。早ければ次の年の飛散時期には症状が緩和する実感がありますが、免疫として定着させるには、少なくとも3年間は続ける必要があります。

●年齢制限がある
治療対象は12歳以上の方に限られます。基本的に年齢上限はありませんが、医院によっては65歳以上の治療を制限している所もあります。

●スギ花粉アレルギーにのみ効果がある
「シダトレン®」はスギ花粉アレルギーにのみ効果があり、それ以外の方に誤って投与するとアレルギーを引き起こす可能性があります。治療前には必ず血液検査でスギ花粉が陽性であること、目のかゆみや鼻水など症状が出ていることなどを確認します。

●飛散時期には開始できない
飛散期に始めると、アレルゲンの摂取量が一気に増え、アナフィラキシーショック(強いアレルギー反応)を起こす危険性があります。治療開始は、花粉の飛散が収まる6月~12月に限られます。

治療を成功させるために、守るべきこと

舌下免疫療法を成功させるためには、守るべきポイントがあります。下記の他にも、自分で体によいと思っていることが、思わぬ副作用の原因になることがありますから、あらためて生活習慣を見直していくことが大切です。

●増量期は特に注意する
治療初日~14日間の増量期は、アレルゲンに体が慣れておらず、アナフィラキシーショックが出やすい時期でもあります。エステや髪のカラーリング、温泉や旅行など、体に刺激を与えるようなことは避けましょう。また、ハーブやサプリメントなど、自己流の花粉症対策も一旦やめてください。維持期になれば、ある程度のことはできるようになります。

●投与は午前中に、投与後は安静に
日中は体内で分泌されるアドレナリン(ホルモンの一種)がアレルギー症状を抑制してくれるため、薬の影響を少なくすることができます。また、投与後には激しい運動や飲酒、熱いお風呂などは避けてください。副作用が出やすくなります。

●胃腸の健康に気を配る
これは治療中に限ったことではありませんが、胃腸の調子が悪いと、アレルギーが出やすくなります。暴飲暴食を控えて丈夫な胃腸を保ちましょう。また、腸内環境を整えることは免疫力アップに繋がります。例えばヨーグルトなど、自分の体質に合う(胃腸の調子がよくなる)ものがあれば、続けていただくのもよいでしょう。

舌下免疫療法は、薬物治療をしていて副作用(眠気や喉の渇きなど)がひどい方や、飛散中ずっと薬を飲み続けなくてはいけないような方には大変有効です。一方、上でも述べたように生活にある程度の制約ができますから、花粉の時期に1週間くらい薬を飲めば症状が治まるような方は、今の投薬治療を続けたほうがよいかもしれません。また、あまりにも症状が強い方は、逆に効果が期待できないため、皮下免疫療法を選択した方がよい場合もあります。ご自分の症状やライフスタイルを考慮しながら専門医と相談し、適切な治療法を選んでいきましょう。

田中 佐和子

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