いま、健康食としてあらためて見直されている「発酵食」。微生物のチカラを食生活に取りいれると、カラダによいことがたくさんあります。実は食べ方を工夫すると、もっと良さを実感できるとか…。発酵のスペシャリストに伺いました。

中でも注目されているのは、健康のカギを握っている「腸内環境」を整えてくれること。腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌という3種類の菌がいますが、発酵食に含まれている菌体は、善玉菌を育てるエサになります。善玉菌が元気になると腸内細菌のバランスが理想に近づき、腸内では必要なビタミンやホルモンをつくったり、病原菌を撃退したり、免疫機能を高めたりとカラダを健康にする働きが活発に。その結果、便秘が解消される、肌や髪がキレイになる、感染症やアレルギーになりにくくなる、といったうれしい効果が起こるのです。

発酵に使用される主な微生物は、麹（こうじ）菌、酵母菌、乳酸菌、納豆菌など。これらを単独、もしくは複合的に食品に加えることで、いろいろな発酵食品が作られます。

【麹菌由来の食品】味噌、醤油、塩糀、甘酒、みりん、日本酒、マッコリ　など
【乳酸菌由来の食品】チーズ、ヨーグルト、キムチ、ぬか漬け　など
【納豆菌由来の食品】納豆

発酵食品は、それだけでもさまざまな栄養素が取れるのが魅力ですが、もっと健康に活かすには
●毎日食べる
●いろいろな菌を食べる
ことが大切。腸内の善玉菌に毎日いろいろな栄養を与えることになり、良い状態を保つことができます。そこで食べていただきたいのが「発酵調味料」。毎日、無理なく美味しく飽きることなく、複数の菌体を摂取することができます。

■味噌
昔からおなじみですが、実は非常に栄養バランスがよい食品。イソフラボンなど大豆の栄養が増えて吸収されやすくなっており、ビタミンB群、ビタミンK、アミノ酸、乳酸菌も豊富。美肌やデトックス、生活習慣病の予防にも効果的です。

【食べ方のヒント】
・味噌汁1杯分の味噌をラップにくるんで持っていき、お昼や夕方の空腹時に、出汁や具と一緒にお湯を注いで飲めば満足感アップ。塩分が気になる方は乾燥ワカメを加えてください。
・お肉を漬けると風味がついて柔らかくなります。使った味噌は味噌汁にすれば、お肉の旨味も残さず味わえます。
・味噌をみりんで溶いてキャベツとお肉を炒めれば、簡単回鍋肉（ホイコーロー）になります。他の炒め物にもぜひ。


■塩糀（しおこうじ）
ここ数年で、すっかり定着した調味料。こちらも味噌と同じくビタミンB群、ビタミンH、アミノ酸（うまみ成分）など栄養素が豊富です。肉や魚の臭みを消して旨味を加えるだけでなく、柔らかくする効果も。もろみごと食べれば、栄養をまるごと摂取できます。ご自分でも簡単に作れます。
http://hakkoushoku.jp/recipe/4424/　※防腐のため、塩の容量はくれぐれも守ってください。

【食べ方のヒント】
・塩の代用として何にでも使えます。酢やごま油、オリーブ油などとドレッシングにして野菜を和えたり、スープに加えても。
・肉や魚を一日ほど漬けておき、焼くだけで香り高く美味しいおかずになります。


■甘酒
優しい甘みが特徴。ブドウ糖やビタミンB群、必須アミノ酸、葉酸、オリゴ糖に食物繊維と、あらゆる栄養が豊富で「飲む点滴」といわれます。消化吸収が良いため、赤ちゃんの離乳食からお年寄りの嚥下食まで、幅広く使えます。

【食べ方のヒント】
・砂糖の代用として、何にでも使えます。
・豆乳＋バナナ＋甘酒で、朝のエネルギーチャージに最適なドリンクが出来上がり！


上の３つに酢、醤油または醤油糀をプラスすれば、基本的な調味料はすべてまかなえます。発酵食といって構えずに、毎日の調理の中で気軽に使ってみてください。カラダが健康に近づいていくのを実感していただけると思います。