豊かな自然に守られた住宅都市として開発。
開発面積約1,160ha、計画人口15万人というニュータウン建設は当時世界でも例を見ない大事業※で、建設省(当時)や大学の研究機関が調査研究・企画立案に参加し、都市建設に関する新しい法律も整備されました。そこでまちづくりのモチーフになったのが、豊かな自然に守られた「田園都市」という考え方です。まちの外周に緑地帯を巡らし、計画的に大型公園を配置。縁地率約21%というみどりに包まれた住宅環境を実現しました。
※豊中市HPより


「近隣住区」システムにより整備されたコミュニティ。
千里ニュータウンでは、まちを12住区に分け、住区ごとに学校や公園、商店、診療所を設ける「近隣住区」システムを採用しています。これにより、日常の用事を歩ける距離で済ませることができ、単なる大規模団地ではなく、生活に根付いたコミュニティタウンとして機能するようになりました。各住区の特徴がそれぞれ育まれたまちづくりが形成されています。
さらなる発展を目指して再生指針を策定。
現在も居住地として人々が集う千里ニュータウンですが、一方で少子・高齢化などの課題を踏まえ、第2段階のまちづくりを検討する時期に差し掛かっています。そこで2007年に、大阪府や豊中市、吹田市などの関係団体が「千里ニュータウン再生指針」を策定。美しい景観の継承や多様な世代が暮らせる環境づくり、地域コミュニティの活性化など、新たな都市像の形成に向けてさまざまな取り組みを推進しています。


人々の絆を未来へつなぐ「千里キャンドルロード」。
2012年に、まちびらき50年事業のひとつとして、千里ニュータウンまちびらき50年事業実行委員会とボランティア団体が協力し「千里キャンドルロード」を開催しました。千里南公園を会場に、まちの人口と同じ9万個のキャンドルを点灯。約1万5千人が訪れ、大きな反響を呼びました。ここで生まれた感動や人々の絆を未来へつなげていきたいという思いから、その後有志により独自の運営団体が立ち上げられ、継続的に開催されるアートイベントになっています。
「歩車分離」を徹底し、高い安全性を実現。
住区を囲うように大きな道路が敷かれ、住区の内部は基本的に車が通らないようになっている千里ニュータウンでは、「歩車分離」 が徹底されています。そのため、安全性が高く、子どもやお年寄りが安心して暮らしやすいまちといえます。さらに、車が通る道と並行に設けられた歩道や、歩行者専用道などのほとんどが並木道で構成され、安全性と美しい景観を両立しています。


近隣大学との連携に加え、住民発信のイベントも。
幼稚園から高校まで教育施設が充実した千里ニュータウンですが、近隣には大学も点在し、大学生がボランティアとして地域事業に参加するなど大学と連携した取り組みも盛んに行われています。そして、住民が積極的にイベントを企画することも特徴のひとつです。2013年には、まちの子どもと大人が交流できるように、古江台ではハロウィンイベントを開催。その他の住区でも、それぞれのコミュニティが中心となってイベントが運営されており、まさに地域が一体となったまちづくりが進められています。
- 吹田市立千里ニュータウン情報館
- まちづくりの歴史や生活文化に関する貴重な資料を展示し、さまざまな地域情報を発信している施設。書籍や模型だけではなく、映像ライブラリーやパソコンを使った情報検索コーナーも設けられています。ニュータウン研究の場や千里ニュータウンに関わる団体・グループの交流拠点として利用され、まちづくりの推進に役立てられています。
※掲載の写真は平成26年10月に撮影したものです。