
弥生時代の大規模環濠集落・東奈良遺跡の中に佇む資料館。旧石器時代の道具や縄文時代の土器、弥生時代の農耕具や古墳の模型など、茨木市内で発掘された文化財が数多く展示されています。
中でも注目したいのが、東奈良遺跡で出土した銅鐸の鋳型。青銅製の銅鐸をつくるために用いられたもので、全国で唯一という完全形で残っているもののほか、破片を含めて36点の鋳型が見つかっています。同遺跡からは銅戈や勾玉の鋳型なども発見されており、この地には鋳造の工房とその職人たちが住んでいたのではないかと考えられているのだとか。まだまだミステリーのヴェールに包まれているところも多いですが、館内の展示物を見ていると、古代ファンでなくてもロマンをかきたてられます。
また、同館では古代の文化財だけでなく、戦国時代に存在した茨木城に関連する資料や、明治・大正・昭和にかけての民俗資料なども見ることができます。さらに、12月15日までは開館30周年記念テーマ展として、茨木市出身の郷土史家である故・免山篤氏のコレクションを中心とした企画展「茨木に眠る資料」を開催。遥かな時をかけ、茨木を舞台に脈々と紡がれてきた暮らしの歴史。貴重な文化財を鑑賞しながら、その軌跡を辿ってみてはいかがでしょうか。
6世紀末から7世紀初めに造られたとされる、緑豊かな山手にある巨石古墳。花崗岩を3段積みにした横穴式石室があり、玄室内には形式の異なる2基の石棺が安置されています。それぞれの被葬者には主従関係があったのではないかという説もありますが、詳しいことは分かっていません。帝人株式会社大阪研究センターの敷地内にあり、受付に申し込めば見学することができます。
JR茨木駅と阪急茨木市駅をつなぐ、茨木市街地のメーンストリート・府道139号線。多くのお店が立ち並ぶにぎやかなこの通りに面しながら、時がとどまったかのような静けさを守り続ける一画があります。それこそが、茨木の氏神として人々に親しまれる茨木神社。807(大同2)年、坂上田村麻呂が荊切(いばらきり)の里をつくった際に創祀されたという、天石門別神社を起源とする古社です。
風格ある南参道大鳥居をくぐって境内に足を踏み入れると、まっすぐ伸びる参道の先に、大樹に守られるように悠然と本殿がたたずんでいます。また、境内には豊臣秀吉がここから湧き出る水を大いに気に入り、大阪城へ運ばせて茶の湯として使ったという「黒井の清水」と呼ばれる井戸、茨木城が廃城となった際にここへ移築されたという東門など、戦国時代を偲ばせる文化財もあります。時の厚みを感じさせる都会の杜は、茨木の歴史を静かに物語っているかのようです。
1月初旬には十日戎、7月中旬には夏祭り、10月には観光協会が主催する清水大茶会などさまざまな行事が行われ、多くの参拝者が訪れます。
江戸時代、西日本を拠点とする西国大名たちが参勤交代の折に利用したという西国街道。京都から西宮までの街道沿いには5つの宿場町があり、中でも重要な役割を担ったといわれているのが郡山宿本陣です。重厚な純日本建築の屋敷内には、大名などが宿泊したという宿帳が残されており、その中には忠臣蔵で有名な浅野内匠頭の名前もあります。本陣の17代当主である梶さんに詳しい話を伺いました。
「本陣は別名で呼ぶならわしがあったようで、郡山宿本陣は"椿の本陣"という名で知られていました。正門の脇に椿の木があり、毎年、五色の見事な花を咲かせたことが由来だとか。その美しさは『音に名高きご本陣の椿 折って一枝欲しゅうござる』と唄にも残されているほどです」と梶さん。今、玄関脇にある椿は、初代のものに差し木をした二代目。花は三色しか咲かないということですが、見つめていると往時の光景が目に浮かんでくるようです。
今の建物は、およそ290年前の1718(享保3)年に焼失し、その3年後に再築されたもの。内部には文化財も数多く保存されており、春と秋には特別公開が行われるほか、5人以上のグループで10日前までの事前予約をすれば見学することも可能です。全国にわずかしか残っていないという貴重な本陣の中に入れば、時代劇の世界へ迷い込んだかのような気分を味わえます。
空間デザイナーでもあるオーナーの河上さんが、築約100年超の木造邸宅をリノベーション。歴史を感じさせる趣ある空間に、モダンなインテリアがゆったりとレイアウトされた個性派カフェです。店内には、気鋭のアーティストの作品と出会えるギャラリー「la galerie」とショップ「mougins」が併設されており、刺激的なカルチャー発信空間ともなっています。河上さんいわく「ここでお店を開いたのは、自分の出身地である茨木をもっと盛り上げたいと思ったから。梅田や難波といった都心では味わえないひとときを愉しんでほしい」。
おすすめのメニューは、スペシャリティ・コーヒーと手づくりのケーキ。11:00~14:30のランチタイムだけオーダーできるスパイシーチキンカレーも絶品です。ブックセレクターが選んだ100冊の月替りライブラリー「百花の百本。」を手に取って、庭ごしに届く自然光をたっぷりと浴びながら、時間を忘れてゆったりとくつろぐ。そんなちょっと贅沢なカフェタイムを堪能できます。
Copyright DAIWA HOUSE INDUSTRY CO.,LTD All rights reserved.