由布市、別府市
自然・風土
ロイヤルシティ別府湾杵築リゾート/2025.08.29
ロイヤルシティ別府湾杵築リゾートの南西に位置する大分県由布市。全国屈指の湧出量と源泉数を誇る温泉に恵まれることから、市全域が「湯布院温泉郷」として国民保養温泉地に指定されています。温泉もさることながら、「豊後富士」と呼ばれる由布岳(標高1,583m)をはじめ懐の深い自然もあちこちに。訪れる人々を癒やしてくれる原風景が、湯けむりの町の中で、また喧騒から少し離れた場所で見つけられます。
(写真左上下)飛び跳ねた魚の鱗が夕日に照らされた様から名付けられた「金鱗湖」。大分川の源流のひとつ
(写真右) 約2000年の歴史を有する天祖神社。明治時代の神仏分離で佛山寺にあった金比羅宮も合祀。湖中に立つ石鳥居は佛山寺から移設されたものという
由布岳の裾野に広がる金鱗湖(きんりんこ)は、清水と温泉が入り混じる珍しい湖です。清水と温泉は湖底から湧き出ていたり、湖に流れこむ川に温泉水が混じっていたりするため、一年通して水温が高いのが特徴。冷え込みのきつい朝にはその温度差で湖面から霧が立ち上がります。この金鱗湖を中心に、由布院盆地に広がる朝霧は冬の風物詩。湖に浮かぶ天祖神社の鳥居も、四季折々の景色の中で静かな威厳を讃えています。
国内外から訪れた観光客らで賑わう湯の坪街道
JR由布院駅から白滝橋を進むと、そこからは「湯の坪街道」と呼ばれるメインストリート。由布岳に向けて真っ直ぐに伸びる通りには、歴史深い由布院になじむ落ち着いた色合いの建物が並び、飲食店やお土産屋、ギャラリーなどが軒を連ねています。見上げると穏やかな稜線の豊後富士が、そぞろ歩く人々を遠くから見守っています。
名水が流れる霧嶋神社。毎年、新米仕込みの甘酒で五穀豊穣を祈る「甘酒祭り(別名:かかあ天下祭り)」が行われる
由布岳の北側、標高約600mに広がる塚原高原では、なだらかなエリアが続きます。田園地帯に突如現れる大きな石の鳥居は「霧嶋神社」。伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)を祀った神社で、創建は4世紀中頃といいます。この神社は名水で知られ、境内には水を汲みに来る地元の方もちらほら見かけます。由布院の自然に磨かれた水は竹筒を通って、拝殿前の堀を右から左へ。せせらぎも涼やかに響いています。
(写真左)九州屈指の絶景ロード、やまなみハイウェイから由布岳の頂上部が見える
(写真右)由布岳に見守られて走るJR久大本線の赤いディーゼルカー
由布岳は、ふたつの頂上が並ぶ双耳峰(そうじほう)と呼ばれる山容で、文字通りふたつの耳が並んでいるように見えます。裾野の風景とのコントラストは印象的で、例えば熊本県阿蘇市までを結ぶ「やまなみハイウェイ」の途上では、広大な高原と由布岳の風景に遠近感がつかめなくなる錯覚を覚えたり、田園地帯では、由布岳を背にして走るJR久大本線のディーゼルカーに郷愁を感じたり。どこから見ても不思議な魅力を放っています。
赤提灯と石畳の坂道が印象的な湯平温泉。温泉街には花合野川のせせらぎが響く
九重町との町境に広がる「湯平(ゆのひら)温泉」は、およそ800年前の鎌倉時代に開かれたといいます。花合野川(かごのがわ)沿いに広がる温泉街で、江戸時代につくられた石畳の坂道の両脇に旅館が建ち並びます。胃腸病に特効がある温泉といわれたことから多くの湯治客で賑わい、戦前には療養型温泉として名を馳せ、一時代を築きました。2020年(令和2年)の豪雨で甚大な被害を受けましたが、共同浴場が一部で再開されるなど一歩一歩復興が進んでいます。明治期にも大火に覆われましたが、復活を遂げた歴史を誇る湯平温泉街の夜を、町中に並ぶ赤提灯が幻想的に照らします。
1年以上滞留した地下水が湧出する男池湧水群
阿蘇くじゅう国立公園の一角にある黒岳は、全体が原生林に覆われているくじゅう山群唯一の山。その山麓には1日に約2万トンが湧出する「男池(おいけ)湧水群」があります。池底まではっきりと見えるほど透明な水は、深さが増すほどエメラルドグリーンに変わって神秘的です。遊歩道を進むと苔むした岩や、大きな岩を掴む巨木たちにも遭遇。長い年月をかけてつくられたダイナミックな自然に包まれています。
(写真左)鶴見岳や扇山を背に、水蒸気が伸びる別府の温泉街。「湯けむり展望台」から撮影
(写真右)味わい深い町並みが続く鉄輪温泉街
由布市に隣接する別府市も、言わずと知れた湯けむりの町です。別府温泉、鉄輪(かんなわ)温泉、明礬(みょうばん)温泉など、市内全域に点在する代表的な温泉地は「別府八湯(べっぷはっとう)」といわれ、泉質や効能、温泉街の趣きがそれぞれに異なります。別府の中でも、源泉の大半が集中する鉄輪温泉では、コバルトブルーの海地獄をはじめとする「地獄めぐり」や、噴気を利用して食材を蒸す「地獄蒸し」など観光的な楽しみ方も魅力ですが、細い路地裏や坂道に逸れると、隠れ家的な共同浴場が点在。地域の人に溶け込んで、湯めぐりを楽しむのも一興です。
田ノ浦ビーチから望む別府市街地
湯布院温泉[現地から約41.2km~41.7km]/由布岳[現地から約40.7km~41.2km]
金鱗湖[現地から約46.0km~46.5km]/天祖神社[現地から約44.4km~45.1km]
佛山寺[現地から約45.7km~46.2km]/湯の坪街道[現地から約40.8km~41.3km]
JR由布院駅[現地から約41.2km~41.7km]/白滝橋[現地から約48.4km~48.9km]
霧嶋神社[現地から約35.2km~35.7km]/塚原高原[現地から約36.0km~36.5km]
湯平温泉[現地から約55.5km~56.0km]/男池湧水群[現地から約72.2km~72.7km]
黒岳[現地から約74.7km~75.2km]/湯けむり展望台[現地から約23.9km~24.4km]
鉄輪温泉街[現地から約38.3km~38.8km]/鶴見岳[現地から約37.8km~38.3km]
扇山[現地から約31.2km~31.7km]/田ノ浦ビーチ[現地から約30.5km~31.0km]
明礬温泉[現地から約28.0km~28.5km]
取材撮影/2025年7月8日~7月10日
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