広島県内の開局薬剤師をはじめ、病院、診療所、医薬品販売業、医薬品卸売業、製薬企業、行政機関、教育機関等、あらゆる職場で働く薬剤師約3,000名が加入されているのが、公益社団法人広島県薬剤師会さま。日本薬剤師会傘下の薬剤師職能団体で、県下15支部で構成されています。
日々の業務の中で、「会員(薬剤師)に対する研修および情報提供を通じた職能向上サポート」や、一般に向けた「お薬に関する正しい知識の提供や相談の受付」など、県民の健康維持増進に向けたさまざまな活動に取り組まれています。また、平成30年7月豪雨の際には、特殊車両を使った移動薬局を現地に派遣し、被災地の救済活動に取り組むなど、さまざまな方面から薬業による社会貢献を実践されておられます。
広島市中区にあった薬剤師会館において、長年活動を続けてこられた同法人ですが、ここ数年来、施設の老朽化に伴う使い勝手の悪化などに課題を抱えておられました。そんな折、行政から打診されたのが、JR広島駅北側(新幹線口)に隣接する二葉の里地区に計画中だった「まちづくり事業(土地区画整理事業)」の医療エリアへの拠点移転計画です。三師会といわれる広島県医師会、広島県歯科医師会も同エリアへの移転を決めており、日ごろから密な連携が求められる3つの団体が隣接すれば、それぞれの活動により大きな相乗効果が期待できると、平成25年の代議員会にて新会館の移転・新築が決定しました。
建設計画にあたっては、ECI方式による設計・施工業者の公募・選定が採用されました。ECI(Early Contract Involvement)とは、これまで原則だった公共工事の発注・契約の設計・施工分離発注方式とは異なり、設計段階から施工者が参画し施工者の技術力とノウハウを設計段階から投入する、民間の建設事業で行われている柔軟な発注・契約方式。平成26年の法改正により可能となった方式で、建設コストの縮減、工期短縮を図れることが大きなメリットだといわれています。
公募によって、広島県歯科医師会の新会館建設にも関わった設計会社、そして大和ハウス工業が施工会社として採択され、新会館の建設計画は本格的にスタート。法人内に建設特別委員会を組織され、9名の委員が設計会社と施工会社である大和ハウス工業と協議・調整しながら、全体構成から細かな部位にプランが詰められていきました。
こうして平成30年7月に完成したのが、延床面積1,586.40m²・3階建ての新・広島県薬剤師会館。既存施設の課題を参考に、レイアウト面における大きな改善ポイントは2点です。
さらに、ホールで行われるセミナーや講演を小さなお子さま連れでも聴講できるスペース、より高度な研修・研究が行える無菌調剤室を備えた会営の薬局を設置するなど、建設特別委員会メンバーの“薬剤師の視点”を活かした施設づくりが施されています。
周辺には、一足早く広島県医師会と広島県歯科医師会の新会館が完成。三師会の拠点が集約したこのエリアが今後、広島県の医療の発展をより確かに支えていくことが期待されます。
CASE4
広島県薬剤師会館