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頭痛や腰痛、月経不順や更年期障害など…さまざまな悩みの駆け込み寺として、漢方薬を処方してもらえる病院を選ぶ女性が増えています。漢方薬は薬局でも買うことができますが、自己判断で選ぶと思わぬリスクを抱える可能性も高いとか。専門家に診察・処方してもらうメリットや安全性について伺いました。

自分に合った治療や体質改善ができ、女性の悩みにも強い

漢方外来を受診するメリットには、下記のようなものがあります。
■原因不明の不調を改善できる
西洋医学は診察や検査で、不調が起こる原因(疾患)をつきとめ、疾患の治療を行いますが、原因が見つからないと、不快な症状を緩和させる対症療法のみとなることも多々あります。漢方医学では、体内を巡る「気」・「血」・「水」のバランスの崩れがさまざまな不調を引き起こすと考え、崩れたバランスを整えていく治療をおこないます。漢方薬の服用や食養生、生活習慣の改善などで体がバランスのとれた状態=「中庸」に近づけていくことで、原因がわからなかった不調を改善に向かわせます。また、漢方医学では、疾患や症状の部位に関わらず、心身を総合的に診ていきます。

■自分の体質・体調に合った治療ができる
漢方では、「望・聞・問・切(ぼうぶんもんせつ)」という診察法で、時間をかけて患者さんをすみずみまでじっくりと診ていきます。たとえば「頭痛」といっても、頭痛の原因となる心身の状態は実にさまざま。患者さん一人ひとりに合わせた処方を行うので、「頭痛」に処方される漢方薬も、皆、同じではありません。

■不調にならない体づくりができる
いま感じている不快な症状を抑えることはもちろん、来年、再来年とその症状が出ない体質に整えていくことを目指します。風邪をひきやすい方はひきにくい体へ。お腹を壊しやすい方は壊しにくい体へ。花粉症がひどい方は症状が緩やかに…といった体質改善が可能です。

■女性特有の悩みや不調を和らげる
月経不順や月経時の下腹部痛、月経前症候群(PMS;月経前の不快な症状)、更年期症候群など、女性特有の悩みを和らげるのも漢方の得意分野。妊娠しやすい体づくりにも役立ちます。女性特有の症状は年代によって移り変わるもの。更年期には女性ホルモンの値が一気に下がるため、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、急な発汗)、イライラや落ち込みなどの症状が出易いですが、適切な漢方薬を服用することで辛さを和らげ、穏やかに閉経を迎えることができます。

■漢方の効果を、より実感できる
専門家の指導を受けると、効果的な漢方薬の服用方法などを知ることができます。たとえば、体を温める生薬が配合されている漢方薬(エキス製剤)は、お湯に溶かし飲むことをおすすめしています。エキス製剤だけでなく、煎じ薬を処方する場合もありますが、その際には、煎じの方法も詳しく説明いたします。「お湯に溶かす」ことや「煎じる」ことは、どちらもひと手間かかりますが、その手間を加えることによるメリットや、面倒と感じないようにするコツなどもお伝えしています。また、服用の際、漢方薬の香りや味を感じていただくのも治療の一環です。同じ薬であっても、体調の変化によって、味や香りの感じ方が異なることもあります。細やかな状態を治療の中で話し合い、処方を検討することで、患者さんご自身にも体の変化をしっかりと感じていただくことができます。

漢方薬はあくまで「薬」。自己判断は時として危険です
「効きめが穏やかで安心」と思われがちな漢方薬ですが、自己判断で選ぶと思わぬ健康被害が出ることがあります。

■体質に合わなければ効果がない
漢方薬は「体質」や「状態」に合わないと意味がありません。箱などに記載されている効能書きだけを見て安易に選ぶと、かえって症状が悪化したり、予期せぬ症状が出てしまうこともあります。例えば、風邪に葛根湯(かっこんとう)とよく言われますが、本来、葛根湯は「比較的体力があり、首や肩がこわばり、無汗(汗はかかず)、風にあたると寒気を感じる」方に処方するもの。虚弱体質の方、発熱しても冷やすのを嫌がるような方、熱が上がっていく過程でじわじわ汗が出るような方には用いません。「体質や「状態を見極めることはかなり難しいので、専門家の診察を受け、合ったものを処方してもらいましょう。

■漢方にも服用リスクがある
最近は西洋薬だけでなく、サプリメントの服用でも肝機能障害になる方が増えていますが、もちろん漢方薬でも起こる可能性があります。間質性肺炎が起こったという事例も報告されており、漢方薬による治療においても、定期的な副作用チェックは必要です。

■摂りすぎると副作用につながることも
漢方薬の成分には、摂取量が多くなりすぎないよう、注意を払わなければならないものもあります。例えば、約7割の漢方エキス製剤に含まれている「甘草(かんぞう)」という生薬の代謝産物には、カリウム排泄促進作用があります。そのため、甘草を含む漢方薬の併用や、一部の西洋薬との併用(例:ループ系利尿剤、サイアザイド系利尿剤、グリチルリチン酸含有製剤など)により、低カリウム血症を引き起こしやすくなる危険性があるため、注意が必要です。血清カリウム値の低下、ナトリウムや体液の貯留、むくみや血圧上昇といった症状をひきおこす偽アルドステロン症を引き起こすこともありますので、厳重に管理していきます。甘草を甘味料としている食品もあれば、リコリスという名前でハーブティーの甘みづけにも使われていることもありますので注意が必要です。医師が複数の漢方薬を処方する場合には、注意すべき生薬が多くなりすぎないように配慮しますが、自己判断で飲み合わせをすると、過剰摂取による副作用発現の危険性が増すこともあります。

■継続・中止の自己判断はやめる
風邪など一過性の症状を抑える漢方薬は短期間の服用ですみますが、体質改善や慢性的な症状を改善させるには、ある程度の期間服用を続ける必要があります。また、飲んでいて体調が悪くなった時も、やめるか続けるかという判断を自己判断で行うのはおすすめしません。専門家に判断してもらうことが大切です。

適切な処方によってはじめて体のバランスを整えてくれる漢方。次回は「体質」や「状態」に合った適切な処方をするための診察方法や、不調を引き起こす体の状態について詳しくお伝えします。

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