
まずは、万才町に伝わるいくつかのお話しをご紹介。現在の長崎地方検察局と長崎地方法務局の間に「天満坂」と呼ばれる坂があります。こちらでは、かの有名な赤穂浪士討ち入りの手本となったとされる、武士の名誉をかけた騒動の話が残っています。事の発端は1700年12月19日、武士である深掘三右衛門と柴原武右衛門の2人がこの坂を歩いていた折、はね上げた泥が町年寄の高木彦右衛門の仲間にかかり言い争いに。その後、高木家の仲間達が深堀屋敷に狼藉を働いたため、その仇討ちとして深堀藩士達は高木家へ決死の覚悟で討ち入り、高木彦右衛門の首級を挙げました。地元では、武士道精神を表す逸話として、この坂を「喧嘩坂」と呼んでいます。
さらに、坂の途中には、1583年に日本人キリシタンが寄付金をあつめて建設した「ミゼリコルディア本部跡」があった場所としても有名です。ミゼリコルディアとは、ポルトガル語で慈悲の意味を持ち、病院や孤児、老人のための長崎初の民間の社会福祉施設として注目され、江戸時代のはじめまで存続していました。
坂を上がった長崎地方法務局にはかつて長崎の豪商・小曽根家の邸宅が建てられていたという石碑があり、小曽根氏のバックアップのもと、坂本龍馬らが立ち上げた海援隊本部として多く志士が出入りしていたそうです。
今でも多くの人々が行き交う街角には、武士やキリシタン、商人がいきいきと活躍していた時代の名残が生きています。
万才町から少し足を伸ばして、江戸時代から続く「中通り商店街」へ。眼鏡橋がかかる中島川と、興福寺など数々のお寺が立ち並ぶ「寺町通り」の間にあり、昔ながらのノスタルジックな光景が広がります。約120店舗から成るアーケードには、1830年創業の老舗カステラ店「岩永梅寿軒」など、長崎ならではのお店も多く、ちょっと気の利いたお土産を求めて県外からの観光客も多く訪れるため、通りはいつも賑やか。
すぐ近くには、「日本橋」「錦帯橋」と並ぶ「日本三名橋」として数えられる「眼鏡橋」があり、情緒豊かな川沿いの景色も楽しめます。護岸のどこかにハートストーンがあり、見つけると「愛が叶う」とカップルに人気だとか。
さらに注目したいのが、商店街の周辺でゆったりとくつろぐネコ達。よく見ると尾の先がカギ型に曲がっているのが特徴です。これは、江戸時代、海外からの貿易船でネズミ番をしていたネコが上陸して広まったと言われています。
商店街をぶらりと歩いて、ちょっとディープな長崎の街を楽しんでみませんか?
万才町から歩いて5分ほど進むと、鎖国時代に唯一西洋に開かれていた貿易の窓口「出島」があります。こちらでは当時の外国人住居や料理部屋、蔵などを再現しようと2050年を目標に長期計画が進んでいるそう。
さらに海側へ進んで、今も多くの船が行き来する長崎港にある商業施設「出島ワーフ」へ。和洋中、イタリアンなど、多彩なジャンルのレストランが並んでおり、遠く海の向こうへ旅立つ船の汽笛を聴きながら、新鮮な長崎の食材を心ゆくまで味わえます。
堤防のつきあたりにある「長崎水辺の森公園」は、長崎港に出入りするさまざまな船を間近で見ることができる住民憩いの場所。青々とした芝生が広がる「大地の広場」、豪快な水柱を挙げる噴水が楽しめる「水の庭園」、並木道やレストランなどがある「水辺のプロムナード」といった趣向を凝らした設備が揃っています。
ベイサイドを歩きながら、どこまでも続く青空と海、鮮やかな緑とのコントラストを眺めていると、新しい文化を受け入れて発展を続けてきた長崎の人々の自由な気風を感じます。
続いては、海辺の自由な風に誘われてアートを巡る旅へ。長崎港のすぐそばにある「長崎県美術館」は「呼吸する美術館」をコンセプトに著名な建築家・隈 研吾氏がデザイン。一面をガラス貼りにして外光をふんだんに取り入れた建物は、気候や日照により刻々とその表情を変え、内部からも長崎市街の景色や運河のうつろいが楽しめます。また、芝生を有する屋上庭園があり、花火大会のシーズンには絶好のビューポイントとしても評判です。
古今東西の多彩な分野の企画展を開催。また、長崎にゆかりのある美術作品や、第二次世界大戦中に特命全権公使としてスペインに赴任していた須磨彌吉郎による「須磨コレクション」を中心にゴヤ、ピカソ、ダリといったスペイン美術を鑑賞できるコレクション展も催されています。スペインのプラド美術館と韓国の釜山市立美術館との交流事業をはじめ、県内各地への出張展示、ワークショップなどアートを通じた交流活動も積極的に行われています。
エントランスロビーにあるミュージアムショップでは、オリジナルのグッズや長崎デザインアワードを受賞した商品など幅広く取り揃えているのも魅力。マドリードにあるプラド美術館グッズも購入できます。
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