



天神の中心地、渡辺通4丁目交差点付近。多くの百貨店やショップが立ち並ぶ

天神といえば巨大な地下街も有名。若者たちに人気のファッションブランド店がずらり

那珂川から中洲エリアと天神を望む。左が中洲、右が天神
長らく九州の経済の中心地として
栄えてきた都市、福岡。
中でも天神エリアは、多くの人々が集まる
福岡の中心的な繁華街だ。
三越や大丸といった百貨店、
パルコやロフトのような
ファッションビル。
長い地下街には若者向けのブランドが
多く店を構え、天候を気にせず
買い物を楽しめる。
大通りから一本中に入れば
飲食店も軒を連ね、
昼夜問わず常に多くの人で
賑わう……そんな場所。

福岡の新たなランドマークとして1995年に建てられた公民複合施設・アクロス福岡。広大な屋上緑化が特徴で、歩いて登ることもできる

辰野金吾設計の赤煉瓦文化館は1909年竣工の歴史ある建物。現在は福岡市文学館として利用されている

百貨店のすぐ裏に立地しながら、不思議と静謐な空気が漂うのは神社ならでは。境内には樹齢300年の大楠も

「警め、固る」という名を持つ神社。平日の日中でも参拝者は絶えず、通勤や仕事の合間に参拝を、という人も多いようだ

近年境内に登場した「足湯」は買い物で疲れた足を休めることができる癒やしの穴場
商業エリアながら、憩いの場も
すぐ近くにあるのが天神エリアの特徴だ。
西日本鉄道・福岡(天神)駅の出口を
出てすぐの場所にある警固神社は、
天神といえば誰もが思い浮かぶ場所。
実は古い歴史を持ち、
福岡城主・黒田長政によって
現在の場所に社殿が造営されたのは
慶長13年、
つまり1608年。
福岡という土地の持つ長い歴史が
垣間見える場所は現在、
隣の警固公園とともに
ショッピング中の憩いの場として、
多くの人に愛されている。

![寿司・割烹 やまちょう[すし・かっぽう やまちょう]](images/part1/02_tenpo_pc.png)
福岡県福岡市中央区天神2丁目2-20
TEL:092-771-8551


ランチは1080円〜、夜のコースは5000円〜(要予約)。丁寧な「仕事」が施された寿司は思わず見とれてしまう美しさ

福岡ではポピュラーな高級魚、赤むつの煮付け。口に入れた途端溶けてゆくような、ふわりとした身の食感に酒が進む

河豚は冬に旬を迎える代表的な魚。臭みなど無縁、濃厚な旨味が口の中に広がる白子の白焼きは、新鮮な素材が手に入るからこその調理法

ご主人の鮮やかな手つきも、寿司店ならではの目で味わうごちそうの一つ
いつしか、「福岡=グルメ」という
イメージが強くなってきた昨今。
しかし一度福岡を訪れたなら、
それが間違いではないことが
実感できるはずだ。
ラーメンやうどんといった
日常的なグルメから、
和食やフレンチ、イタリアンなどの
高級店までそのラインナップは幅広い。
玄界灘をはじめとした近海の海の幸と、
野菜などの山の幸が
近隣から九州中まで幅広く集まるという
「地の利」がまずあるだろう。
そして経済の中心地ということもあり、
観光客だけでなく
出張や転勤などで
全国から多くの人が訪れることもあり、
そのクオリティは随時磨かれてゆく。
天神にある寿司・割烹店、
「やまちょう」は人気寿司店の一つ。
こちらの寿司の特徴は、
醤油を付けなくても良いように
一カンずつ「仕事」をしてある
江戸前スタイルだということ。
この事自体は別に珍しくはないが、
その「仕事」が面白い。
車海老やコハダには
スタンダードに煮切りを。
華やかな飾り切りが施された
ヤリイカには、柚子の皮と塩で
爽やかさと彩りを。
ヒラメの上に乗せられたのは、
なんと鯛ワタの塩辛。
淡白なヒラメの味わいと、
鯛ワタの風味が絶妙に合う。
目にしたときの新鮮さと、
口に入れたときの驚き。
これが魅力となり、
また足を運ぶ人が大半だという。
シャリは寿司専用米「笑みの絆」を使い、
魚は毎日自ら市場に通い、
「自分の目で見て、いいと思ったものしか
仕入れません」とご主人・長拓也さん。
そのこだわりと、料理に施される
「手仕事」が、この店の最大の魅力だろう。
寿司から福岡の「食」の魅力を
堪能できる、そんな場所だ。

ヒラメの握りに鯛ワタの塩辛を乗せてゆく。合わせられた素材を推理しながら食べるのもまた一興

店内はカウンター+テーブル席が2つ。お客様の大半が常連だというのもうなずける


![寿司・割烹 やまちょう[すし・かっぽう やまちょう]](images/part1/03_tenpo_pc.png)
福岡県福岡市中央区春吉3-22-20
TEL:092-716-0638
<営業時間>
11:00~14:00(13:30LO)
18:00〜22:00(21:30LO)
<定休日>
日曜休
http://www.sushi-yamachou.jp/

近年、雑貨店やセレクトショップが多く開店し立ち並ぶ薬院エリア

天神からは1駅、徒歩10〜15分ほどの薬院エリアは、アクセスの良さから住宅地としての人気も高い
繁華街・天神から西鉄天神大牟田線、
福岡市営地下鉄七隈線で一駅。
そんなお隣の駅ながら、
少し違った雰囲気を持つのが
「薬院」だ。
もともと、天神や博多にほど近いことから、
オフィスビルや住宅地が
多く立ち並んでいた土地。
しかし近年は住宅地としての
魅力が高まり、それと同時に
洋服や雑貨など、
生活に密着したものに
まつわるセレクトショップが
次々とオープン。
感度の高い人たちが
買い物に訪れる場所となっているのだ。

店舗はビルの1・2階部分。1Fにはキッチンツールやインテリアのアイテム、文房具などが揃う

コーヒーにまつわるアイテムにしても、ポットからドリッパーまで各種揃う。その1つ1つが機能美に溢れている

B・B・B POTTERSを象徴するアイテム、「白い食器」。まだシンプルな白い器は業務用にしか無かった頃、いち早くこういった器を販売したことで人気雑貨店として知られることになった

そんな中、「薬院といえば」という店がここ、
「B・B・B POTTERS」。
「日々の暮らしを楽しむ道具の店」
というキャッチフレーズの通り、
食器や調理道具、文房具まで
幅広い雑貨、そして「道具」を
扱う店だ。
実はその開店は古く、現在の店舗より
少し離れた浄水通りに開店したのが
1991年。
その後11年前に薬院の
現在の店舗に移り、昨年2016年に
25周年を迎えたという。
薬院周辺に現在は数多く存在する
雑貨店・セレクトショップだが、
その中でも先駆けとなった店なのだ。
広々とした店内に一歩足を踏み入れると、
ずらりと並べられたアイテムたちに
つい目を奪われてしまう。
シンプルなふだん使いの食器から、
伝統工芸の技法で丁寧に作られた
キッチンツール、
デザイン性の高い文房具、
作家ものの個性的な器……
そのどれもが「手仕事」を感じさせ、
かつそれらを使って自分も
手を"動かしたくなる"。
この器を使ってどんな料理を作ろう、
この便箋にどんな手紙を書こう。
ここに来れば、誰もが「手仕事」の
楽しさを膨らませることができるはずだ。

「B・B・B POTTERS」の2F、棚にずらりと並んだ小石原ポタリーの器たち

意外と現代のインテリアにもしっくりと馴染み、近年また人気が高まっている南部鉄器の鉄瓶

パン皿や浅鉢、カップ……どれも使い勝手が良さそうなものばかり