


日本最南端の都道府県である沖縄県。
年間を通して温暖な気候であること、
独特の文化を持っていることなど、
観光地として
さまざまな魅力を兼ね備えている場所だ。
マリンスポーツも楽しめることなどから、
人気の国内旅行先という印象が強い人が
多いのではないだろうか?
また、近年は国外からの観光客が増えており、
2015年から2016年にかけて
外国人観光客は1年間でなんと38.7%も増加。
海外からの人気も高まっている場所なのだ。

ビーチリゾート地というイメージが強い沖縄は、国内外から多くの観光客が訪れる

那覇市の中心部に伸びる「国際通り」は沖縄の人気観光地の一つ

亜熱帯性気候に属する沖縄本島。気候風土が織りなす本州とはまた違った風景が魅力

沖縄の代表的な観光地である首里城。
ここはまた、
沖縄の歴史と文化を
知ることができる場所でもある。
1429年に成立し、1879年までの間、
約450年間にわたり
日本の南西諸島に存在した王国、
琉球王国。
15世紀から16世紀に渡って
建築された首里城は、
国王とその家族が
居住する王宮であると同時に、
王国統治の行政機関
「首里王府」の本部でもあった。
1945年に戦災によって焼失し、
現在の首里城は
1992年に旧来の遺構を埋め戻す形で
復元されたもの。
18世紀当時のものを復元したという正殿は、
中国と日本の建築様式を融合させた
独特の様式美、
その色味の鮮やかさで観る人を魅了する。
また、実際に訪れてみるとわかるのは、
この城が那覇市内を一望できる小高い丘の上に
立地しているということ。
そして正殿だけでなく、
ぐるりと要塞のように城を取り囲む
石垣の壮大さと、高い技術……
雄大なスケール感と細かなディテール、
その両方が、
長きにわたり繁栄した
かつての王国の姿を想像させてくれる。

首里城正殿は琉球王国最大の木造建造物であり、支配の象徴としてかつては最も重要な建物とされた

正殿と御庭に入る「奉神門」前では、銅鑼の合図とともに門が開かれる「御開門」の儀式が毎朝行われている

「奉神門」前、城壁の手前にある「首里森御嶽(すいむいうたき)」。「御嶽」は沖縄における礼拝所であり、聖地であるとされている。

2000年の記念紙幣、2,000円札の絵柄にもなっている守礼門

公園内にある物見台「西のアザナ」からは、那覇の町や那覇港の様子が一望できる

沖縄に存在した「城」は、首里城だけではない。
琉球王国はいわば「統一王国」であり、
統一されるまでは数多くの豪族が
それぞれの地方を支配していた。
そのため、実は沖縄県内には
300以上の城跡が存在するのだという。
2000年12月、
日本で11番目の世界遺産として
文化遺産に登録された
『琉球王国のグスク及び関連遺産群』。
グスクとはわかりやすく言うと「城」のこと。
首里城をはじめとした沖縄県内の9つの遺跡が登録された。
そのうちの一つがこの「中城城跡」。
14世紀後半から先中城按司によって
数代に渡って築き上げられたという城は
6つの郭からなり、
自然の岩石と地形的条件を巧みに生かしながら
美しい曲線で構成されている。
県内のグスクでも
もっともかつての姿を
留めているものの一つであり、
歴史的な価値も高い。
おそらく訪れた人は皆、
琉球石灰岩で積まれた石積みの技術の高さに驚かされるはずだ。
その築城技術の高さはかつてペリー提督が
日本本土に向かう途中に訪れ、
賞賛したという逸話も残されている。
そして何よりも、周囲に何もない高台に位置し、
南国ならではの青空に
石垣がそびえ立つ
そのシチュエーションは都会の喧騒とは対極。
そんな非日常の中であらためて、
歴史の流れの中に自分たちも存在することを
実感できるはずだ。

美しい石積みの曲線が中城城跡の魅力。また、場所によって微妙に石積み技法が違うのも興味深い

城跡は6つの「郭」に分けられており、それぞれは門でつながっている。石積みのアーチの美しさは必見

海も見える高台に位置する中城城跡。かつてこの景色を見ていた城の持ち主たちに思いを馳せる

那覇市内から中城城跡までは、車で30分ほど。
帰りには宜野湾市のカフェに寄り道など
どうだろうか?
米軍基地が近いことから、
アメリカンスタイルのカフェや輸入家具店が
多く立ち並ぶ宜野湾周辺。
国道58号線沿いにある「cactus eatrip」は、
人気のベーグル専門店。
店内で次々と焼きあげられるベーグルは
天然酵母を使用。
天然酵母使用というと
酸味がきいたしっかり目のパンを
想像する人もいるかもしれないが、
こちらのベーグルは
ほのかな甘みとふんわりした食感が特徴で、
近隣に住む外国人にも
リピーターが多いという本格派。
個性的な家具が並ぶ
広々とした店内でいただけば、
優しい味わいにゆっくり心もほどけてゆく。

人気メニュー、フムスベジのサンドイッチ500円(税込)。プラス500円(税込)でスープとドリンクセットにすることができる

サンドイッチはプレーンやセサミ、チーズなどまず使用するベーグルを選んでからオーダーするシステム。シンプルなものにするか、それとも……とこちらも迷いどころ

オーナーの勝見さん夫妻によって、くるくると瞬く間にベーグルが完成してゆく