
1575(天正3)年創業の加賀藩御用達を務めた老舗で、めぼそ針、加賀毛針をモチーフにしたアクセサリーの専門店です。店名の「めぼそ」は、初代八郎兵衛が作った絹針は糸が通しやすいと高く評価され、加賀藩主から針の名前を賜ったことに始まります。加賀毛針は、藩政期に武士の鍛錬の一つとして励行された鮎釣りから、その姿形を進化させてきました。鮎の関心を誘うため、色とりどりの羽毛や漆、金箔などで装飾し、疑似餌としての工夫が施されています。その美しさは、単なる道具にとどまらず、芸術や工芸の域にまで達したと言われています。
近年は、この加賀毛針の繊細な技術を生かし、ピアスやコサージュといったフェザーアクセサリーの制作にも力を注いでいます。2008(平成20)年には、世界的ファッションブランド「イッセイミヤケ」とコラボレーションし、イヤリング、ブローチ、ネックレスなどの作品がパリ・コレクションで発表され、アクセサリーをまとったモデルがランウェイを歩き、一躍脚光を浴びました。「新しいものづくりが伝統を守る」を信条に、これからも斬新なアクセサリーが誕生していくに違いありません。
「くりゑンテ金沢・東山」は、金沢の観光地して知られるひがし茶屋街のすぐ近くに店を構え、2014年3月で10周年を迎えた1日昼夜3組限定のフレンチの名店です。大正時代の町家を改装した店内は、貴重なアンティーク家具をはじめ、テーブル、イス、器、カトラリー、グラスに至るまで、すべてが選び抜かれており、特別なひとときを提供する空間の演出に細やかな気遣いが感じられます。
オーナーシェフの川端員意宜さんは、スペインや国内の有名店で腕を磨いた経歴を持ちます。「料理人としての良心を重んじており、料理を突き詰めていくと終わりがありません」と話すように、料理への情熱は年を追うごとに高まり、その料理は進化を続けています。メニューはコースのみ。さまざまな食材が立体的に盛り付けられた前菜、魚介や野菜の味わいがストレートに伝わる魚介のジュレカップ、ナイフがすっと入るほど柔らかで肉本来の旨みが口の中ではじけるメインの肉料理など、その日の食材の声を聞き、シェフが描くコースのシナリオは、一皿一皿が食べることへの感動にあふれています。
金沢の伝統工芸の中でも、希少となった「加賀象嵌」「茶の湯釜」「加賀毛針」「竹工芸」「二俣和紙」「金沢和傘」「琴」「三弦」「加賀提灯」「桐工芸」をはじめ、「加賀手まり」「加賀水引」といった18ジャンルの伝統工芸品などを一堂に集めたショップが「金沢・クラフト広坂」です。足を運べば、金沢が世界に誇るクラフトに、すべて出会うことができると言っても過言ではありません。
伝統工芸という言葉には、古いものというイメージがつきまといます。しかし、この店で扱っている商品は、歴史と伝統に裏打ちされた確かな技術をベースに、現代的な感覚を取り入れた逸品が揃います。例えば、武具の彫金技術から発達した加賀象嵌は、洗練された美しい意匠が特徴で、ネクタイピンやペンダントなどの商品は生活のさまざまな場面で活躍します。また、お祝いの席に欠かせない加賀水引は、祝儀袋はもとより、ポチ袋やストラップなど商品のバリエーションも豊富です。古いのに新しい。伝統工芸を生活に取り入れることは、心に落ち着きと潤いを与えてくれるでしょう。
明治末期の邸宅を生かした料亭「杉の井」の社長である越沢晃一郎氏が「料亭がプロデュースする甘味処を作りたい」と思い描き、10年前に出店したのが和カフェの「つぼみ」です。店内には、巨大な一枚板のテーブルがあり、奥には坪庭を配するなど、越沢氏の粋なセンスが随所に感じられます。最もこだわっているのは、甘味で使用する食材です。十勝産豊祝小豆、吉野産本葛、熊本産本蕨といった食材は、すべて越沢氏自身が現地に出向いて確かめ、納得したものだけを使っています。
数ある和スイーツの中でも特におすすめなのが、本蕨もち、本葛きり、白玉クリームあんみつです。本蕨もちと本葛きりは、希少な本蕨粉、本葛粉を使っているだけに、本物だけが持つ風味と食感が心地良く、リピーターが多いのもうなずけます。また、白玉クリームあんみつは、特別な炊き方で柔らかくした寒天に驚きます。口に入れた瞬間、優しい甘さだけを残して潔くすっと溶けていき、主役である抹茶アイスや白玉をしのぐ存在感に圧倒されるでしょう。一度食べたら忘れられない甘味をぜひ味わってみてください。
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