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小田島水産食品株式会社

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SLOWNER WEB MAGAZINE

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時と自然が引き出すうま味。杉樽仕込みの塩辛

ロイヤルシティ鹿部リゾート/2024.01.19

小田島水産食品株式会社

函館漁港の袂で、戦後間もなくから変わらぬ製法でいかの塩辛をつくり続けている1軒の加工場があります。「小田島水産食品」でつくられるその塩辛は、「桜色の塩辛」といわれる身の白さと、昔ながらの木樽仕込みが特徴的。約80年使い続ける木樽の中で育まれた乳酸菌の働きと、その働きを促す職人さんの手仕事で、まろやかな味に仕上がります。プラスチック容器が普及していなかった先代の頃には、全国の特約店に三貫樽で出荷されていました。

マキリと呼ばれるいか捌き用の刃物で、いかの身からミミやアシを外していく

時代錯誤の杉樽から、おいしさが生まれる

「小田島水産食品」は、函館都心の食料品店として1914年(大正3年)に創業。先代の小田島喜一郎さんが漁港に近い現在の場所に拠点を移し、1947年(昭和22年)より塩辛製造に専念します。当時の塩辛は貴重な保存食。常温でも日持ちするように、大量のいかを20%の塩分で漬け込み、秋田産の杉の木樽で1年間熟成させていたといいます。小田島隆さんが3代目を継いだ頃、時代錯誤な杉樽ではなく、プラスチック樽に変える計画もありましたが、思うような味の塩辛に熟成しなかったとか。いつもの3倍の調味料を入れてやっと塩辛らしくなりましたが、「うちの味にはならなかった」と小田島さんは振り返ります。

杉樽内での発酵を促すため、突き棒で塩辛を攪拌(かくはん)する小田島隆さん。伝統的な食文化を守る製法が評価され、魚が姿を変える過程を学ぶ小学生向けの書籍に、小田島水産食品の塩辛が掲載されている

『木樽仕込いか塩辛』の原料は、近海もののいかと、いかごろと呼ばれるいかのはらわた、そして5%の塩分は赤穂の塩と少しの調味料。いかの身を傷つけずに1杯ずつ手で捌き、一晩塩漬けしてから細く切っていきます。醤油や酒、味噌などのように発酵のチカラに任せてつくるため、着色も一切なし。発酵中に出てきた色味をそのまま生かしたことで、小田島水産食品の塩辛は「桜色の塩辛」といわれるようになりました。通常なら2~3日の熟成で出荷されるところ、小田島水産食品の熟成期間は1週間。その間も1日1回、突き棒で突いて樽の中を撹拌し空気を入れ換えます。わずか数分間だけの作業ですが、小田島さんたちのこの作業が、杉樽に棲む酵母菌や乳酸菌を覚醒させ、自然の力を引き出すのです。

(写真左)約80年間現役の杉樽。往年は道内で獲れたいかで、工場中の樽がいっぱいになったとか
(写真右)写真が趣味だった先代がデザインしたポスター(当時は「小田島喜一郎商店」)

「塩辛バル」でいろいろな塩辛&新しいレシピを実食

塩辛と一緒にお酒やご飯を楽しみたいというリクエストに応え、2022年(令和4年)からは「塩辛バル」を営業。明治40年頃の元作業場の趣が残る試食コーナーもあり、看板商品の『木樽仕込』をはじめ、小田島水産食品の塩辛全11種が試食可能。また、ワンプレートに10種類一口ずつ添えられた状態での食べ比べは、生産現場だからできる体験です。また、定食メニューも充実。塩辛入りのアヒージョやパエリア、チャーハンなど、塩辛を発酵調味料として使うアレンジレシピも参考になるものばかりです。近年、函館のいか漁は、温暖化による海水温上昇と外国船の乱獲によって不漁続きといわれています。伝統食のともしびを絶やさぬよう、再び函館の港に活気が戻るよう、小田島さんの新しい挑戦は続きます。

(写真左)『木樽仕込』ほか、新潟出身の祖父母へのオマージュとして、唐辛子の発酵食品で新潟特産を加えた『かんずり入りいか塩辛』、自宅で簡単にアヒージョができる『塩辛deアヒージョ』など、バラエティ豊かなオリジナル商品
(写真右)さきいかの乾燥室の雰囲気を残す『塩辛バル』

取材撮影/2023年10月2日

小田島水産食品株式会社[現地(鹿部シェアサロン)から約51.0km]

小田島水産食品株式会社[現地(鹿部シェアサロン)から約51.0km]
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