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霧島神宮駅リニューアルプロジェクト 光来 corai

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SLOWNER WEB MAGAZINE

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食・趣味・娯楽

駅からはじまる霧島詣に、もてなしの心をちりばめて

霧島高千穂リゾートランド/2025.03.28

霧島神宮駅リニューアルプロジェクト 光来corai

2022年(令和4年)、「本殿」「幣殿」「拝殿」が国宝に指定された霧島神宮。その最寄駅でありながら地元、旧霧島町の人口減も影響し駅利用者が減少していたJR霧島神宮駅から、霧島神宮までの道のりを魅力的によみがえらせるプロジェクト「霧島神宮駅リニューアルプロジェクト 光来 corai」が始動しています。手がけているのは、鹿児島の食や建築文化を通して地方創生を手がけるデザイン会社、株式会社IFOO(イフー)。駅前の銀行支店跡地に霧島オフィスを立ち上げ、スタッフも移住し、JR霧島神宮駅周辺のにぎわいづくりに取り組んでいます。

リニューアルしたJR霧島神宮駅の駅構内。鹿児島県産杉を大胆に使った大工の手仕事が冴える

「参道の起点」にふさわしい県産杉のアプローチ

霧島神宮へ「祀る」出発点となる駅として、ここで電車や人を「待つる」時間が安らぎ、地のものに敬意を払い「奉る」体験を通して、来訪した人すべてに非日常を演出=「祭る」駅、という4つの「まつる」をテーマに掲げた本プロジェクト。その第1弾として、2024年(令和6年)3月に霧島神宮駅駅舎がリニューアルオープンしました。鳥居を思わせる朱色の駅舎は、「霧島神宮への入り口」というストーリーのもと、1階通路から改札口まで、鹿児島県産の杉材で幻想的なアプローチを形成。改札前には高さ4mの「御神木」を設えるなど大胆なデザインで人々を迎えます。

(写真左)テイクアウトもできるガレット屋「Quili」の「神宿るお抹茶クレープ」
(写真右)日本の工芸品ショップ「慈慈」では、全国各地の手仕事品のほか、霧島神宮駅限定商品も販売

駅構内の両脇には、霧島神宮駅にしかないスポットが登場。ガレット屋「Quili(キリ)」では、ガレット生地に霧島産の有機そば粉100%を使用。卵や乳製品などを使わないヴィーガン仕様&グルテンフリーの手づくりスイーツが世代を超えて人気です。「慈慈(じじ)」は、日本の手仕事品や工芸品などを展示販売するセレクトショップ。九州をはじめ全国各地の工芸職人のもとを訪れたスタッフが商品を厳選。商品がつくられるまでの物語も興味深く、電車の待ち時間を日本の文化が再発見できるひとときへと変化させます。

(写真左)「御結屋(おむすびや)EKIZENみかど」の特製佃煮昆布と薩摩西郷梅のおむすび
(写真右)「御結屋(おむすびや)EKIZENみかど」の上原奈津子さん(右)と岡元昭美さん(左)。岡元さんは義母と夫と食堂みかどを営んできた。「子どもたちがおむすびを何回も注文してくれたときはすごく楽しかった。いい人生が待っていました」

埋もれていた魅力を引き出し、町に人が集まりはじめた

駅を出てすぐの場所で、1940年(昭和15年)から続いていた老舗食堂も変身しました。食堂の名を受け継いだ「御結屋(おむすびや)EKIZENみかど」は、霧島で育ったお米を主役にしたおむすびの専門店。薩摩西郷梅、有明産の海苔、みかど特製佃煮昆布や自家製の黒毛和牛のしぐれ煮など、「九州」「手づくり」をキーワードにした具材ばかりで、どれも気になる品揃え。週3日のペースで買いにくる人、大きなスーツケースを持った若い旅行客、スポーツチームの子どもたちも立ち寄り、その味わいと温かさが世代を超えて愛されています。

穀物倉庫として使われていた石蔵は、食とアートの空間に。(写真右)オールデイズラウンジ「光芒」(現地から約5.7km)は毎週火曜日が定休日

霧島神宮駅近くの坂道を上ると、戦時中に旧国鉄の穀物倉庫として使われていた石蔵が残っています。築100年は数えるというこの石蔵の中をラウンジやアートギャラリー、イタリアンレストランにリノベーション。無骨な外観からは想像できない幻想的な空間が広がり、観光客も地元の人も非日常の雰囲気を満喫できます。その横には、鹿児島大学工学部建築学科の学生たちと連携してつくったフィンランド式プライベートサウナ「閃閃(せんせん)」を併設。今後は、これらのスポットと2025年(令和7年)秋に商店通りにオープンする宿泊施設が連携し、町全体でのおもてなしを実現していく予定です。

1日3組限定のプライベートサウナ「閃閃」。ヨガ教室や「光芒」での朝食付きコースなどさまざまな楽しみ方を提供

このプロジェクトを企画運営している株式会社IFOOによると、霧島神宮駅周辺のリニューアルが完了してから駅の利用者も、各店舗の利用者も以前より増えているといいます。「まちづくりは、ものづくりができるものがするべきというのが、当社代表の考え。点から線につないだ旧霧島町のまちづくりが、これから『面』へと広がっていきます」と株式会社IFOO取締役 肥後直樹さんが語るように、神宮までの道のりを楽しめるプロジェクトへと新たなフェーズが進行中。駅から霧島神宮まで距離にして約5.5km。その道のりがにぎわい溢れる日が今から楽しみです。

(写真左)お話を伺った株式会社IFOO取締役 肥後直樹さん。株式会社IFOOは、JR久大本線を走る観光特急「特急かんぱち・いちろく」の内外装制作も担当。駅の有効活用を通じた「地域のにぎわいづくり」を担う、JR九州のにぎわいパートナーに認定されている。(写真右)石蔵エリアからは高千穂峰が望める

取材撮影/2024年12月16日

霧島神宮駅[現地から約5.4km]
株式会社IFOO霧島オフィス (鹿児島県霧島市霧島大窪)[現地から約5.6km]

霧島神宮駅[現地から約5.4km] 株式会社IFOO霧島オフィス (鹿児島県霧島市霧島大窪)[現地から約5.6km]
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