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通潤酒造

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SLOWNER WEB MAGAZINE

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食・趣味・娯楽

伝統の蔵で楽しむ、日本酒体験の新スタイル

ロイヤルシティ別府湾杵築リゾート/2025.09.30

通潤酒造

ロイヤルシティ阿蘇一の宮リゾートから南に位置する熊本県山都町(やまとちょう)は、阿蘇南外輪山や九州中央山地に囲まれる立地から、清らかな地下水やミネラル豊富な土壌に恵まれ、朝夕の寒暖差を活用した農作物栽培も盛んです。夏は涼しく、冬は「九州でいちばん」といわれるほど寒さが厳しい気候は、酒づくりに適した場所。1770年(明和7年)創業の『通潤酒造』は、伝統的な酒づくりを守りながら日本酒の新しい楽しみ方を提案しています。

(写真左)創業当時からの姿を残す外観
(写真右)中庭に敷き詰めた石畳は、家屋の基礎石などを再利用。さまざまな時代の阿蘇の地層から採掘されているとか

国宝にも選ばれた日本最大級の石造アーチ水路橋「通潤橋」は、通潤酒造からほど近い場所にあります。通潤橋ができたのは、通潤酒造の創業からおよそ80年後のこと。水不足によって厳しい生活を強いられていた農民たちを救うために、通潤橋をはじめとする大規模な水路工事の陣頭指揮にあたったのは、地元の惣庄屋 布田保之助(ふた やすのすけ)。彼の孫が9代目蔵元に嫁いだ縁から、看板銘柄に『通潤』と名付けられました。2016年(平成28年)の熊本地震では甚大な被害を受けましたが、その時の大きな力添えに応えるため、日本酒づくりだけでなく「日本酒のある豊かなひととき」に視野を広げるようになったといいます。

日本酒のある豊かなひとときを体感できる「寛政蔵」。結婚パーティー会場として利用されることも

通潤酒造の酒には、地元山都町の恵みがふんだんに取り入れられています。酒米は山都町の契約農家で栽培された山田錦と、種籾(たねもみ/種子のこと)から山都町で手がけられている熊本の酒米「華錦(はなにしき)」。酵母は、全国的には「きょうかい9号酵母」と呼ばれている「熊本酵母」。これらが華やかな香りと穏やかな酸味、豊かな味わいを醸し、看板銘柄『通潤』をはじめとする「料理を引き立てる名脇役」へと育てています。近年は、通年で酒づくりを行う四季醸造蔵が増えていますが、通潤酒造では冬から春にかけて集中的に醸す、伝統的な酒づくりを継承しています。

純米吟醸酒 利き酒セットの3種。左から、ランチのために開発されたライトな辛口「day time」、淡白な料理に合わせやすい「SOIGNER=ソワニエ」、フルーティーな香りの辛口「蝉」

2019年(令和元年)にオープンした「寛政蔵」は、料理やスイーツとともに日本酒をゆっくりと楽しめる空間です。この蔵は熊本県内に現存する蔵で最も古いとされる築約200年の歴史を持ち、熊本地震を経て約3年の歳月をかけてリノベーション。ホテルライクな雰囲気の中で、「おもてなしの蔵」として多くの人を招いています。通潤酒造では、この寛政蔵を中心に、夏は酒蔵見学、冬は酒づくりなど、日本酒のある多彩なひとときを「酒蔵ツーリズム」というスタイルで提供しています。

数量限定の酒粕チーズケーキは、酒粕とチーズという発酵食品同士のマリアージュ。濃厚でリッチな香りと味わいをもたらす

香りと口当たりを存分に楽しめるように、寛政蔵では日本酒をワイングラスで提供。純米酒、吟醸酒それぞれの利き酒セットやオリジナルカクテル、お酒の弱い方やドライバーのためのノンアルコールセットなど、誰もが楽しめるラインアップになっています。特製ランチでは、あえてドレッシングなしで提供される朝採れ野菜のサラダなど、日本酒と旬を感じる料理とのマリアージュに舌鼓。スイーツにも砂糖の代わりに甘酒を使うなど、日本酒が醸す多彩な味わいに魅了されます。

寛政蔵内観からの中庭の眺め。庇にはあえて樋をつけていないため、雨雫の美しさが際立つ

寛政蔵から見える中庭の景色も趣があります。サルスベリやアジサイ、モミジなどの季節の木々の中には、3代前にあたる9代目蔵元が生まれた時に植えられた、あすなろの木も健在。晴れた日には池の水面の輝きが2階まで照らし、雨の日には、長めに張り出した庇をすべり落ちる雫が美しく、そこから見える中庭もひときわ幻想的に。時間を忘れるという現代の贅沢も満喫できます。

(写真左)日本酒や発酵食品、オリジナルグッズが購入できるショップ。試飲も可能
(写真右) 「伝統を武器に、日本酒が大きな輸出産業となるように貢献したい。寛政蔵を酒蔵ツーリズムの最高峰にしていくのが、私の野望です」と語る、通潤酒造12代目社長の山下泰雄さん。「大学時代に寄席に通った経験が生かされています」という軽妙な語り口にも引き込まれる

取材撮影/2025年8月9日

通潤酒造[現地から約60.4km~62.9km]

通潤酒造[現地から約60.4km~62.9km]
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