島根ビール株式会社


食・趣味・娯楽
ロイヤルシティ大山リゾート/2026.02.26

松江城の近くで、地ビール『ビアへるん』を醸造している島根ビール株式会社は、1999年(平成11年)から醸造を開始した県内で最も古いブルワリーです。『ビアへるん』という銘柄は、地元で「へるん先生」と呼ばれ慕われていた松江ゆかりの作家、小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)にちなんで。仕込みから瓶詰め・缶詰め、ラベル貼り、梱包、出荷、販売までの工程をすべて、7名のスタッフが担っており、毎週8,000本のビールを生産しています。
仕込みタンクは14台。仕込み水は車で20分の場所にある井戸から汲んでいる
日本全国に競合が点在する中でも、個性を放ち、なおかつ好まれる味が出せるように。原料はできるだけ島根県産のものを厳選しています。
3tにも及ぶ仕込み水は、松江の造り酒屋も使っている北山山系の湧き水を使用。大麦麦芽はドイツ産やイギリス産のものに島根県産を2割ブレンド。ビールの命といわれるホップは、出雲のハーブ農家と試験栽培している希少品種ゼウスビターの生のホップ(フレッシュホップ)を採用しています。
湧き水と小麦麦芽を入れて、麦のエキスを取り出すところからビールづくりが始まる
島根ビールが目指したのは、日本酒のように晩酌に選ばれるビール。松江や出雲地域では、濃厚で甘みのある刺身醤油が好まれたり、コクが深い「あごだし」で知られるトビウオが島根県の県魚だったりと、しっかりとした風味が好まれるとか。そんな食文化を考慮し、日本の晩ごはん、ひいては島根の晩ごはんと一緒においしく味わえる地ビールを目指した結果、香りや味わいが濃厚で、しっかりとした飲みごたえを感じられるビールに仕上がりました。
4種の定番ビールのほか、出雲そばに合うビール、島根産の生山椒入りビールなど毎年10種以上の数量限定ビールも製造
島根ビールでは、ひとつでもお気に入りが見つかるようにと、全く味の違うさまざまな飲み口のビールをラインアップ。「ヴァイツェン」というとすっきりとした香りや味わいをイメージしますが、『ビアへるん』は、一口目から完熟バナナのような香りとまろやかさが際立つ個性派です。黒ビール『縁結麦酒スタウト』には、国内でも採用例が数少ないアイルランドの伝統製法・ミルクスタウト製法を採用。強く焙煎した麦芽に乳糖を加えるため、香ばしくもほのかに甘みを感じるマイルドな口当たりで、多くの固定ファンを得ています。
口に近づけるだけで、バナナのような甘い香りが広がる『ヴァイツェン』。10年かけて理想の味を実現した
日本酒どころでもある島根県をアピールできるように、県内の酒造会社とも積極的にコラボレーション。日本酒づくりで使われる米麹と清酒酵母を使ったビール『おろち』は、30蔵以上ある県内の酒造すべてとのコラボを目指し、毎年酒造を変えて展開しています。日本のビールの歴史をたどってみると、幕末の横浜で製造され、松江藩が販売会社を運営した史実が残っているといいます。小泉八雲も松江で買ったという当時のビールを再現するために、代表取締役の矢野学さんも文献を探しているところだとか。松江愛にあふれたビールに、新しい物語が刻まれるのが今から待ち遠しく思えます。
今後は『ビアへるん』の輸出も視野に入れているという島根ビール。「国内ではマニアックなビールと位置付けられる『ビアへるん』が海外でどう評価されるか。ドキドキしますが、ぜひいろんな人に知ってほしいです」と、矢野学さんも期待を込める
![島根ビール株式会社[現地から約49.9km~51.0km]](images/article28/img10.png)