相続からの不動産活用資産価値を減らさない!
③つのポイント
「不動産の相続」は、多くの方にとって初めてのことであり、どうすればいいのかわからないと思っている方は少なくないでしょう。
また、2015年から相続税の基礎控除が引き下げられ、東京都では約6人に1人が相続税の対象※となるなど、相続の問題は多くの方にのしかかっています。何も対策をしなければ、大切な資産は相続のたびに減っていきます。
いかに相続した大切な資産の価値を減らすことなく受け継ぎ、そして次の世代に引き継いでいくことができるか、正しい情報を持っておく必要がありそうです。
※東京国税局 令和元年分 相続税の申告事績の概要より
\ 資産価値を減らさないためのポイント /
資産状況を把握し、
不動産賃貸経営の知識を得る
相続を控えている方は、早めに準備をすることが大切です。中でも、被相続人(親)の資産状況を把握し、所得税、法人税、相続税などのシミュレーションによって財産診断を行うことが重要となります。
資産状況が分かり、資産分割や税金のシミュレーションができれば、それに応じて、資産の有効活用のプランを作成することができます。
また、資産の有効活用について、正しい知識を得ることも大切です。税理士や建築会社など信頼できるパートナーから、不動産を活用して収益化する仕組み、方法を知ることが、不動産賃貸経営の第一歩となります。
資産を減らさないために、
今ある土地を活用して収益化を図る
相続資産に土地が含まれていれば、相続の際に「土地を減らしたくない」と考えるのは当然のことです。しかし、何もせずに不動産を相続し、税金などの納付の際にキャッシュが不足すれば、不動産を売却しなければならない場合もあります。
現在でも、所有されている不動産の活用についてそもそも真剣に考えたことがなく、「前からそこにあるから今もある」的な考えの方も少なくありません。収益化ができるのにしていないのは、もったいないことではないでしょうか。
「土地があるから土地だけ貸す」というのもひとつの方法ではありますが、収益性という面ではあまり期待できません。
資産を減らさないためには、不動産が活用されていなければ、建物を建てたり、買い換えや組み換えを行うなど、新たな投資は不可欠です。
資産を減らしたくない、次の世代へも引き継いでいきたいと望むのであれば、タイミングを見極めつつ、収益化を考えなければなりません。収益が生まれたら、生まれた資金でさらに投資し、さらに資産を増やしていくことも可能です。
プロの不動産賃貸業者として、
投資と回収に対する意識を持つ
土地オーナー様が土地活用を行われる場合は、「プロの不動産賃貸業者」になっていただく必要があります。まずは、プロとして賃貸業にしっかりと向き合い、収益を上げるためのシミュレーションをご自身で考えること、そして、収益化の仕組みをしっかりと把握することです。つまり、ときには投資が必要になり、その投資に対する回収にまで意識を持つことが大切です。
売却することはないとしても、いざという時に売却できるように「出口戦略」を持っておくことも、重要なことです。
プロの投資家(賃貸住宅経営者)は、土地から購入してスタートすることもあります。土地オーナー様の場合はすでに土地自体をお持ちですから、土地の場所によって多少の差はありますが、ゼロからのスタートではない分、結果を出しやすいといえるのではないでしょうか。
さあ、相続に備えて
今から資産状況を把握し次のステージへ
土地の有効活用という意味で言えば、賃貸住宅経営は有効な手段のひとつであると言えるでしょう。ただし、賃貸住宅か、一戸建てか、商業施設か、あるいは介護施設がふさわしいのかは、立地条件やケースによって違ってきます。
また、従来は賃貸住宅を建て、あとは管理会社に任せるという賃貸住宅経営のスキームを活用する土地オーナー様も少なくありませんでしたが、2021年に「賃貸住宅管理業法」が施行されるなど、土地オーナー様自身の知識が問われるようになりました。
つまり賃貸住宅経営を行うには、間に立つ不動産会社や建築会社、管理会社など、パートナーを組む相手をしっかり見極めることが、より重要になってきています。
賃貸住宅経営者としては、こうした管理・運営の方法まで理解したうえで、適切な収益化を目指す必要があると言えるでしょう。
監修 税理士法人 YFPクレア 代表社員・税理士・行政書士 柳田 幸紀