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コラム vol.315
  • 不動産市況を読み解く

消費税増税による駆け込み需要はあったのか? 2019年住宅着工数の検証と賃貸住宅の復活

公開日:2020/02/28

2020年1月末日に前年12月の住宅着工戸数の発表がありました。これにより、2019年の年間データが出そろいましたので、そのデータを見ながら、消費税増税による駆け込み需要について検証してみたいと思います。

図1:住宅着工戸数の推移

※上段:実数値(戸) 下段:前年対比(%)
(国土交通省「建設着工統計調査報告」より作成)

2019年1年間の住宅着工戸数(総数)は90万5000戸で、前年から-3万7000戸、マイナス4%という結果になりました。
2019年10月に消費税が8%から10%に増税されましたので、多少は駆け込み需要があったものと思われますが、それ以上に落ち込みが大きかったといえるでしょう。

持ち家の消費増税に伴う駆け込み需要は少なかった

過去の消費税増税時には、持ち家(いわゆる注文住宅)が、駆け込みが最も顕著でしたので、今回の消費税増税時においても、駆け込み需要が期待されましたが、2019年は前年比プラス1.9%に留まりました。前回の増税は2014年4月でしたが、この時は前年10月までに請負契約が行われると5%のままでの引き渡しでしたので、2013年1年間はかなりの駆け込み需要がありました。上の表を見ればわかるとおり、この年の持ち家カテゴリーは約35万戸、前年比13.9%ととても高い伸びを示しました。しかし、今年はその1/10程度の伸びしかありませんでした。持ち家建築需要が落ちているという側面もありますが、駆け込み需要がほとんどなかった背景には、2014年の増税の際は、政府は「5%から8%に上げて、その後10%に上げる」と公言していましたので、税率が倍(5%から10%となった場合)になるわけですから、多くの方が「駆け込んだ」というわけです。つまり、この時は、かなりの「需要の先食い」があったものと思われます。表の通り2014年はその反動で、実数で約7万戸もの大きな落ち込みとなりました。

大きく落ち込んだ貸家着工戸数

2012年から賃貸住宅(貸家)の着工戸数は右肩上がりで伸びてきました。しかし、2018年は、7年ぶりに前年比でマイナスとなりました。そして、2019年は、そこからさらにマイナス13.7%と大きく落ち込みました。消費税増税にともなう、駆け込み需要もほとんどなかったものと思われます。

繰り返しになりますが、2013年は消費税増税(5%から8%)の駆け込み需要で大きく伸ばしましたが、翌2014年はその反動減で、総数、持ち家(注文住宅)、分譲住宅(戸建、マンション)は大きくマイナスとなりました。しかし、貸家(賃貸住宅)は、相続税改正に備えた需要の伸びがあり、反動減を吸収し、さらにプラスとなりました。
その後も賃貸住宅(貸家)の着工件数は伸び続けていきます。その勢いに歯止めがかかり始めたのは2017年の後半でした。そして2018年は7年ぶりのマイナスとなります。
2018年は、年間約39万6000戸の貸家が建設されますが、月別で見ると前年比プラスだったのは8月だけで、他の月はすべてマイナスになりました。1月と3月は2桁のマイナス、春から夏は少し盛り返してマイナス幅が減少しますが、そのご秋から年末はまた大きなマイナスとなります。そして、2019年は34万2000戸と、7年ぶりに落ち込んだ2018年からさらに14%近い落ち込みとなり、2012年頃の水準になっています。
この落ち込みは、リーマンショック直後の2008年から2009年の貸家着工数の急落(-31%)には及ばないものの大きな落ち込みとなりました。その背後にあるのは、金融機関による融資の引き締め、そして7年も好調が続いた賃貸住宅建築需要の一服感だと思います。
確かに、2013年~2017年にかけて貸家着工戸数は大きく伸びましたが、それでもミニバブル期によりもだいぶ少なく、「賃貸住宅バブル」には程遠いものでした。

底堅い、賃貸住宅ニーズ。貸家着工戸数の回復は、そう遠くない

近年、全国的に広がっている「持ち家比率の低下」、「積極的に賃貸住宅を選ぶ方の増加」など、賃貸住宅需要は高まっています。都市部を中心に「借りたいニーズはあるけれど、築浅物件が少ない」状況は続いています。こうしたことからも、一次的に貸家着工戸数は少なくなっていますが、少し時間をおけば再び回復するものと思われます。

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