土地活用ラボ for Owner

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コラム vol.325
  • 不動産市況を読み解く

大都市への人口流入の推移から賃貸住宅需要を考える

公開日:2020/04/30

POINT!

・2019年の人口移動では、三大都市(東京23区、大阪市、名古屋市)は転入超過

・福岡市は23年連続で転入超過の一方、広島市は転出超過に転じた

人口移動は、賃貸住宅需要に大きく影響を与える

賃貸住宅需要を分析する際に、人口の移動は大きな要素となります。たとえば、都道府県をまたいで移動する大半は、進学 (大学・専門学校への進学)や就職で引っ越す18歳~ 25歳の方たちです。そして、そのほとんどは、何らかの形の賃貸住宅に住みます。
ここで「何らかの形」と書いたのは、主には民間賃貸住宅ですが、その他にも借り上げ社宅や寮のようなものもあるからです。しかし、これらも借り手と貸し手が直接ではないにしろ、そこには賃貸物件を利用する方と所有する方がいるわけです。

三大都市の人口移動の現状

2020年1月末に総務庁は2019年の「住民基本台帳人口移動報告」を発表しました。東京都は、当時「都心回帰」といわれ始めた1996年以降23年連続して転入超過です。2019年の東京23区への転入数は、過去最高の約37万2000人でした。こうしたことが、近年の東京での賃貸住宅需要が極めて高く、空室率が少ない要因になっていることがわかります。

(図1)転入者数と転入超過数(東京23区)

総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」より作成

大阪府は長く転出超過が続いていましたが、ここ数年は転入超過になっています。2019年は前年対比106%、約1万人の転入超過でした。これまで、東京都への人口移動が最も多かったのは大阪府からでした。転入超過に転じた背景には、大手企業本社の実質的な(登記簿上の本店はそのままで機能だけが移動)東京移転が一巡したことだと思われます。
また、大阪市は2001年から転入超過が続いていますが、2019年は過去20年間で最高の1万6000人となっています。大阪においても、賃貸住宅需要が高くなっていると考えられます。
また、2019年の名古屋市への転入数は、過去10年で最多の約8万3000人となりました。

(図2)転入者数と転入超過数(大阪市)

総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」より作成

また、2019年名古屋市への転入数は、ここ10年でもっとも多い約8万3000人となりました。

九州における“東京”になっている福岡

福岡市は1973年以来転入超過が続いています。2019年の転入超過数は1万人を超えました。東京23区、大阪市、名古屋市では、80年代から90年代前半にかけて転出超過の時代がありましたが、福岡市は一貫して転入超過となっています。九州・沖縄各地からの転入がその大半を占めており、福岡は、「九州エリアの圧倒的中心地」というポジションを長年かけて築いてきたことがうかがえます。もともと、福岡市はマンションに住む世帯が多い地域で、少し前までは東京23区よりもマンションに住む世帯が多い街でした。転入超過が続いていることからわかるように、以前から賃貸住宅需要も旺盛な地域です。街がどんどん大きくなってきており、福岡市の郊外エリアでも賃貸住宅が多く建てられており、空室率も少ないようです。

(図3)転入者数と転入超過数(福岡市)

総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」より作成

16年ぶりに転出超過になった広島市

大きな都市で転出超過なのが広島市です。
広島市は転入者数が減少を続けており、2019年は16年振りに転出超過となりました。

(図4)転入者数と転入超過数(広島市)

総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」より作成

広島市は、これまで長年にわたり転出数と転入数が拮抗していました。2000年以降は概ね、わずかに転入超過する年が続いていましたが、2019年は転出超過になりました。
広島市は、福岡と関西3都市(大阪・神戸・京都)に挟まれています。また、岡山市も政令指定都市となり、今後は、中国地方のメイン都市というイメージから少し変化が見えてくるかもしれません。

このように人口の移動の実態を長期的に見ると、今後の賃貸住宅需要がある程度見えてきます。賃貸住宅経営は、30年~35年の長期にわたります。単年での数字ではなく、長期推移を見ることで新たな気づきがあると思います。

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