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コラム vol.439
  • 不動産市況を読み解く

2023年の政治経済イベントと不動産市況への影響

公開日:2023/01/31

2022年12月に金融政策の一部変更が行われ、「この先どうなるのか」と、2023年は不安な幕開けとなりました。ポジティブな見通しとネガティブな見通しの報道が入り混じる状況となっています。 このコラムでは、2023年に予定されている政治経済(金融)のイベントをお伝えしつつ、それが不動産市場にどんな影響を与えるのかについて解説したいと思います。(執筆時点:2023年1月6日)

日銀の金融政策に変更はあるのか

金利やその他金融政策は、不動産市況はもちろん経済状況に大きな影響を与えます。
いうまでもなく、政策金利の上昇は「景気上昇スピードを抑える」、つまり「政策的に需要を抑える」方針を示すことになります。

我が国の金融政策を決める会合である日銀金融政策決定会合は、概ね2か月に1度開催されます。2022年度内の日銀金融政策決定会合は、1月17-18日、3月9-10日の2回で、この3月の開催の前後には、4月8日に任期満了を迎える日銀黒田総裁の後任(あるいは続投:ほとんど可能性はないと思いますが)が決まります。任期満了前の3月の会合では、金融緩和政策の変更があるかもしれません。

もし、金利の上昇があるようなら、好調が続く不動産市況に水を差す可能性があります。加えて、日米の金利差が広がる傾向が留まることにもなりますので、円安から円高方向へ進むことになります。その影響で、日経平均(株価)は下がる可能性が高くなり、株式市場からJREITや実物不動産など不動産資産への資産の移動が起こる可能性があります。こうして考えれば、金利上昇により直ちに不動産市況悪化という状況にはならないと思われます。

2023年4月:新年度以降の金融政策

新たな年度を迎え、新総裁の下で開催される初回の会合は、6月15-16日に行われます。思い起こせば、2013年に黒田総裁が就任したこのタイミングで「異次元緩和政策」が発表されました。今年6月の日銀金融政策決定会合は、大きな注目を集めるでしょう。また、通常会期ならば6月半ばで終了する通常国会の終盤には「骨太の方針」が閣議決定され、公表される予定です。
世界の金融政策に影響を与えるアメリアの金融政策はFOMCで決定されます。FOMCも日銀金融政策決定会合と同じようなペースで開催されますが、6月は13-14日に開催されます。2023年年初の見通しでは、6月か7月(25-26日)の会合あたりが金利上昇のピークで、以降は横ばい、2024年年初には下がる予測となっています。夏から秋ごろは、アメリカ株式市場は厳しい状況がつづくという予測もありますが、日本では、この時期に日本の金利がほぼ今のままで、景気が良ければ、経済市況にも良い影響を与え、不動産市況は上昇基調が続くのではないでしょうか。

2023年政治のイベントと不動産関連に影響すること

近年の国政選挙では、2021年10月31日に衆議院選挙、2022年7月10日に参議院選挙が行われました。解散がないとすれば衆議院選挙は2025年10月30日まで選挙がありません。解散のない参議院では選挙は2025年7月までありません(任期満了は7月28日)。与党が圧倒的多数を占めている現状であり、比較的政権も安定していることから、2022年12月の防衛費増のような大胆な政策、例えば消費税増税検討などが出てくるかもしれません。仮に消費税増税が検討・決定されるとすれば、建築請負契約、住宅購入などにおいて、駆け込み需要が起こるかもしれません。

2023年は4年に一度巡ってくる統一地方選の年です。そのため、例えば年初にあった「異次元の少子化、子育て対策」のような広く一般に恩恵のある政策や地域密着型の政策が展開されるでしょう。 一方で、2022年12月に公表された税制改正大綱にもありましたが、少数派である「富裕層に対する税の強化策検討」などが行われるでしょう。本サイトの読者に関することでいえば、地方税の柱の1つである固定資産税の見直しについては、富裕層に対する税強化検討の中では、見送りになりました。これは、統一地方選が控えていることも影響があったと思われます。

まとめ

2023年の建築市況・不動産市況は、これまで以上に政府日銀の金融政策に大きく左右されるでしょう。しかし、「これまでの金融政策と多少の変化はあったとしても、大きな変化はない」という予想の報道が大半を占めています。土地活用などを考えている方は、様々な情報をしっかりと入手すること、そしてパートナーである建築会社の担当者や税理士などの専門家にしっかりと相談すること、この二つを行っていただきたいと思います。

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